ネット上では賛否両論と活字メディアが書く時、賛否が伯仲していることはない気がする(@_@;)

【読んだ本(バカチン?)】

久保田淳&山口明穂(校注)『新日本古典文学大系38 六百番歌合』(岩波書店,1998)所蔵本

訳も含め本書から引くが、藤原有家の「唐国の虎臥す野辺に入るよりもまどふ恋路の末ぞあやうき」
(外国の虎の臥す野辺に入るよりも、迷っている恋の道の行く先は危険だ)と番えられて負とされた
藤原家隆の「我宿は人もかれ野の浅茅原通ひし駒の跡もとゞめず」(あの人の訪れも途絶えて、わた
しの家の庭は浅茅が原と荒れてしまい、以前通ってきたあの人が乗っていた馬の足跡もとどまってい
ない)の「通ひし駒の跡」について脚注の語釈は次の通り(@_@;)

    あの人が通って来た馬の足跡。韓非子に見える「老馬知道」の故事を踏まえた表現か。

「老馬知道」という四文字が疑問(@_@;) 通説と異なり『大和物語』の平兼盛の歌の典拠を白居易
(白楽天)「長恨歌」とする(⇒ https://yomubeshi-yomubeshi.blog.ss-blog.jp/2022-04-27
今井源衛『大和物語評釈 上巻 笠間注釈叢刊27』(笠間書院,1999)から、その通説を引く(返り点
等は略)(@_@;)

    『韓非子』説林篇に「管仲隰明従桓公伐孤竹。春往冬反。迷惑失道。管仲曰、
    老馬之智可用也。乃放老馬而随之、遂得道」とあり、『蒙求』にも「管仲随馬」
    とある。『奥儀抄』以来、[北村]季吟その他諸注すべてこれらを典拠として
    引くが、・・・

ここに「老馬之智」とあるように、常石茂&駒田信二&後藤基巳(編)『中国故事物語』(河出書房
新社,1972)やその文庫版(全三冊)の駒田信二&寺尾善雄(編)『中国故事物語 処世の巻』(河出
文庫,1983)も「老馬の智」で立項しているが、『韓非子』には今井源衛が引用した上記の件以外に
「老馬知道」なる語句が出てくるのかね(@_@;) いつか図書館で『韓非子』を調べなきゃ(@_@;)

・照れ隠しっぽく「馬が連れて来たんだよ」と平兼盛、嬉しいくせにスネてみせる兵衛の君(〃'∇'〃)

 ⇒ https://yomubeshi-yomubeshi.blog.ss-blog.jp/2020-02-18

・平兼盛は「老境にある男」、兵衛の君は「老女」、そして、ついに馬まで「老馬」に((;゚Д゚)ヒィィィ!

 ⇒ https://yomubeshi-yomubeshi.blog.ss-blog.jp/2020-03-29