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221109読んだ本

「くそみそ【糞味噌】」とは「①価値のあるものとないものを同じように扱うさま。・・・」であり、
「一級史料も思いつきも──にならべ論じた論文」という用例が『大辞林』第一版第一刷に(⌒~⌒)
大手出版社から今日発売の漫画が街の有名書店に置いてなかったのは糞な作品だか・・ヘ(__ヘ)☆\(^^;

【読んだ本】

倉本一宏(日本歴史学会編集)『一条天皇』(吉川弘文館人物叢書,2003新装版)所蔵本

ともに近侍して一条院の辞世の歌を聞いたはずなのに、藤原道長の日記『御堂関白記』のとは歌句が
異なる藤原行成の日記『権記』(@_@;) その記述から行成は歌才が無い上に、そのことを自覚してた
可能性を先日は指摘(⇒ https://yomubeshi-yomubeshi.blog.ss-blog.jp/2022-11-02 )(@_@;)
この一条院の辞世の歌は『御堂関白記』や『権記』だけでなく、歴史物語の『栄花物語』や説話集の
『古事談』、勅撰和歌集の『新古今和歌集』にも載っていて、しかも、歌句がそれぞれ異なるので、
どれが実際の辞世の歌(に近いの)かが論点に(@_@;) ところが、それを探るために本書が採った
方法は読んでてアホくさ!と口にしてしまうほどのものだった(^_^;)

    ・・・/さて、ここで寛弘八年[1011年]六月二十一日に詠まれた一条の辞世歌に
    ついて触れておきたい。これは彰子に先立つ悲しさを詠んだものであるが、諸書
    [=上述の五つの書]に収められているものを列挙してみる。傍線を付した句は、
    他の書の歌と共通するものである。/

     ・・・
     ・・・
     ・・・
     ・・・
     ・・・

    最大公約数を取ると、『権記』のものが一条が実際に詠んだ歌に近いのであろうか。
    ・・・

一条院の薨去から200年以上も経った「後世に書き記したり、様々に書き換えたり」された『古事談』
(←しかも、説話集じゃんか!)のや『新古今和歌集』のを含めて、その「共通する」歌句の数から
「最大公約数を取る」なんてナンセンス(^_^;) んで、結論が歌才の無い行成の『権記』とはね(^_^;)

松村博司『日本古典評釈・全注釈叢書 栄花物語全注釈(三)』(角川書店,1972)は「異なる」歌句
を吟味してるv( ̄∇ ̄)ニヤッ 例えば、第二句に関しては〈・・・C[=『古事談』]D[=『権記』]
の「風の宿り」は、たとえば『古今集』〈春下〉に「花散らす風の宿りは誰か知る我に教へよ行きて
恨みむ」(素性法師)のような用例が検索できはするが、無常な現世を意味する用法があるかどうか。
以上の検討によっても、『御堂関白記』の「草の宿り」はそれでよいと思われる。/・・・〉などと
いった具合で、やはり『権記』の行成は和歌の才能が乏しかったことを裏書き(^_^;) 第四句や結句も
検討した上で、松村博司は次のような結論v( ̄∇ ̄)ニヤッ

    ・・・/結局以上の評価によれば、A[=『御堂関白記』]は歌句に難もなく、これを
    原形としてなんらさしつかえなく、B[=『栄花物語』]は最も早いころの変化、
    C[=『古事談』]E[=『新古今和歌集』]がこれに次ぐというべきであろうか。
    ABCは歌形は似ているが、Cは最も劣り、Eは初二句が他と異なる点において
    特殊であるが、どのような伝承経路を経たものか明らかにし難く、最も問題になるのは、
    AD[=『権記』]が共に直接伝聞したと思われるにかかわらず、大いに歌句を異に
    していることである。/・・・

松村博司は『御堂関白記』のを「原形」としたが、倉本一宏は「最も劣」る『古事談』のと第二句が
「共通する」ことも加算した「最大公約数」で『権記』のを「一条が実際に詠んだ歌に近い」(^_^;)
タグ:歴史 古典 和歌
コメント(6) 
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コメント 6

tai-yama

町の有名書店より今やAmazonな時代とも・・・・
「権記」が一番原形を留めているという結論から導きだした
(なんとか理屈づけるための)最大公約数なのかも。
by tai-yama (2022-11-10 00:32) 

ナベちはる

大手出版社から今日発売というのに店頭にないとは、残念ですねorz
by ナベちはる (2022-11-10 01:55) 

middrinn

史料批判もせずに『権記』のが一番近いという結論を先に下すのは、
tai-yama様、歴史学の研究者として流石にありえないかと(^_^;)
この条の藤原行成の自信なさ気な記述を見落としてますし(^_^;)
by middrinn (2022-11-10 06:19) 

middrinn

「累計150万部突破」と前巻の帯にありましたけど、
ナベちはる様、電子書籍の割合が多いのかも(^_^;)
書店にない気がしたのでネット書店で予約しておきま
したが、ますます書店には入らなくなりそう(^_^;)
by middrinn (2022-11-10 06:36) 

df233285

藤原行成の書が当時から著名で、辞世の句の書も
かなり出回っていて、後世に対する影響度は高かっ
たようにも見えますね。臥した天皇との距離は、
常識的に見て藤原道長の方が、藤原行成より近かっ
たのでしょう。聞き取り精度としても、道長の方
が行成より高い可能性が、ありありですよね。
by df233285 (2022-11-10 07:47) 

middrinn

行成の書が人気だから『権記』の閲覧が引く手数多で
記載された一条院の辞世が伝播普及したというのは、
非常に面白い仮説ですね(^_^;) 『権記』の当日条に
よると、「召しによって、近く伺候した。・・・更に
召し寄せ・・・」とあるので行成は道長と同じくらい
一条院のお側に近寄っていたかもしれません(^_^;)
ただ、「近侍していた公卿や侍臣、男女の道俗でこれ
を聞いた者は、この為に涙を流さない者はなかった」
とあり、結構多くの人が「近侍」してたかと(^_^;)
また歌才のある道長が脳内補正した可能性も(^_^;)
by middrinn (2022-11-10 09:07) 

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