松本清張の小説の主人公の中でも超サイテーな輩のモデルに名指しされてるけど本当なのか( ̄◇ ̄;)

【読んだ本(少々ネタバレ)】

郷原宏『松本清張事典 決定版』(角川学芸出版,2005)

大昔に読んだ松本清張『落差』(角川文庫,1966)の主人公について、少々ネタバレになるが、本書の
「松本清張人名事典」の「島地章吾 しまじ・しょうご」の項は次のように記す(本書211頁)(^_^;)

    『落差』の主人公。歴史学者。戦前は皇国史観だったが、戦後は進歩的な学者として
    売り出し、教科書の監修者となった。昭和30年代初めに風向きが変わって文部省の圧力
    が強まると、今度は「中正」に重心を移して教科書出版社を喜ばせた。学界では
    その変わり身の早さと女癖の悪さで知られている。零落した左翼系歴史学者の妻を
    親切ごかしにたらし込んで愛人にし、高校同期の電力会社員が四国のダム工事現場に
    単身赴任すると、その妻に野心を燃やす。学者としての虚名と生身の人間としての
    生き方の「落差」が余りにも大きすぎる卑劣漢。

松本清張の小説の主人公等は実在する人物がモデルの場合もあり、「石の骨」は直良信夫、「断碑」
は森本六爾、「菊枕」は杉田久女、「笛壺」は黒板勝美、「鷗外の婢」は野田宇太郎と指摘されたり、
清張自ら明らかにしてる(^_^;) この長篇小説「落差」の主人公にモデルがいるのかどうかは、本書や
志村有弘&歴史と文学の会(共編)『松本清張事典[増補版]』(勉誠出版,2008)にも出てないが、
谷沢永一『「正義の味方」の嘘八百 昭和史のバランスシート』(講談社文庫,1985)には次の記述が
あった∑( ̄ロ ̄|||)ニャンですとぉ!?

    ・・・/教科書会社は幾つかあっても、その採用を決定するのは学校側の判断である。
    その学校が日教組に支配されていれば、教科書会社としては、否応なくそれに迎合
    せざるを得ない。また、その教科書を編纂する、あるいは委託される学者連中も、
    教科書会社の方針には逆らえない。なぜなら、編集会議後の供応、手当て、車の送迎等、
    生活は膨張し、やがて迎合せざるを得なくなるからである。/こうした醜い教科書編纂
    の舞台裏、学者連中の腐敗を告発したのが和歌森太郎を主たるモデルにしたと噂される
    松本清張の小説『落差』である。・・・

・松本清張『棲息分布 長篇ミステリー傑作選』上下(文春文庫,2009)のモデルたち( ̄ヘ ̄)y-゚゚゚

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