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220211読んだ本

次から次へとやらなきゃいけないことが増えるのには困ってしまうね〇 o 。.~~━u( ゚̄  ̄=)プハァ

【読んだ本】

與那覇潤『平成史 昨日の世界のすべて』(文藝春秋,2021)

村松剛『死の日本文學史』(中公文庫,1994)には、「『太平記』の時代」という章と「キリシタンの
一知識人の肖像」という章の間に、〈「中世」の秋〉という章があって、(細)目次では次のように
なっている〇 o 。.~~━u( ゚̄  ̄=)プハァ

    「中世」の秋

     十五世紀の混沌と光輝/「浮世」の理念の系譜/連歌師と「浮世」/宗長と一休/
     辭世の定式化

またソレより前の方の「平安朝の夢と怨靈(續)」と「『平家物語』の運命」の間の「夢のうき橋」
という章には、「中世とは何だろうか。」という一文で始まる節があり、ヨーロッパの中世について
叙述した後、

    ・・・/日本では一般に鎌倉期から、中世の名で呼ばれている。その日本の中世と
    ヨオロッパ中世とを、同日に論じるわけにはゆかない。それでもいくつかの刻印に
    關しては、互いに地球の反對がわにあるこの二つの地域が、奇妙な共通性を見せて
    いる。その一つが、都市の崩壊である。/・・・

    ・・・/日本の中世もまた、都會とその文化の衰微とを刻印に負ってはじまる。
    鎌倉は幕府の所在地とはいえ土地はせまく、都會という名には値しなかった。
    鎌倉の後期にここを訪れた『とはずがたり』の著者は、京都とくらべて町が小さく、
    ・・・

云々と論じ、鎌倉時代に関し日欧の「中世」の「共通性」を指摘してる〇 o 。.~~━u( ゚̄  ̄=)プハァ

さて、本書の「第Ⅱ部 成熟は受苦のかなたに」の「第12章 「近代」の秋 2011-2012」に次のような
件(402~403頁)があった∑( ̄ロ ̄|||)ニャンじゃそりゃ!?

    ・・・橋下旋風の下で起きているのは日本における「西洋化の終焉」だというのが、
    当時の私の判断でした。

     ───「近代」の秋、だな。

     三島由紀夫の盟友と呼ばれた批評家の村松剛が、三島の自死にまで連なる日本人の
    死生観を探究した『死の日本文学史』(1975年)に、「「中世」の秋」と題する
    章があります。歴史家ホイジンガの名著として知られる『中世の秋』(1919年)
    を意識しつつ、「中世ということばには、ヨオロッパの時代区分のにおいがしみつい
    ていて、室町時代を中世の後期と呼ぶことには多少のためらいが感じられる」ので、
    応仁の乱を描く際にはカギカッコをつけて「中世」の秋。
     そのひそみにならえば、そもそも日本史上に十全な近代化があったかといえば
    怪しいが、それでも一応は西洋近代を範としてきた時代がおわるという意味では、
    いまはカッコつきの「近代」の秋なのだろう。
     ホイジンガの著書はルネサンス期を扱うフランス/オランダの文化史ですが、
    タイトルが『近代の春』ではないことがポイントです。新しい何かが始まろうとする
    ポジティヴな時代としてではなく、むしろ既存の体制が爛熟するとともに煮詰まり、
    限界に直面し、滅びの予感に包まれてゆく。
     ・・・

まるで村松剛が『死の日本文學史』で〈カギカッコをつけて「中世」の秋〉として応仁元(1467)年
~文明9(1477)年の「応仁の乱を描」いたかのような書き方は如何かと〇 o 。.~~━u( ゚̄  ̄=)プハァ

この『死の日本文學史』からの引用文は本書403頁に同書文庫版の「240・321頁」と出典が注記
されてるので同書から引く( ̄ヘ ̄)y-゚゚゚ なお、全ての漢字の字体を原文ママに引くのは無理(;_;)

    ・・・/ホイツィンガーはその名著『中世の秋』で、西歐中世末期の、爛熟した輝きを
    えがき出した。古代ローマが築きあげた文化の廃墟から出發した西歐は、いくつもの
    世紀ののちに、中世末期の爛熟に達するのである。/これにたいして日本の場合は、
    ───鎌倉期以降が日本の中世なら、───中世は前時代の爛熟と頽廢とを、内に
    うけついではじまっている。/・・・


    ・・・/[宗長は]二十歳で應仁の亂に際會し、「兵馬の塵に交りて、流落十有餘年」
    (前掲書、原文漢文)、彼を引き立ててくれた今川義忠も、文明十一年には戰死して
    いるのである。文明十年には師の宗祇に隨従して京都から越後の春日山城に行って
    上杉房定に會い、翌々十二年にはやはり宗祇とともに山口に行った。同年京都に
    もどって一休を訪れ、彼に深く傾倒する。/銀閣寺は、その翌々年に完成している。
    『新撰菟玖波集』が宗祇によって編輯され宮中に奏覧されるのは、宗長四十七歳の年
    (一四九五年)で、狩野正信の歿年の五年後である。土佐光信は、宗長の七十五歳の
    ときに死んだ。同時代人にはこのほか雪舟と後藤祐乘が、一條兼良と肖柏、兼載など
    がいる。一世代若い層には、山崎宗鑑がいた。心敬[僧都]がその『ひとり言』で
    「延喜一條の御代」に比較し、禪門から琵琶法師、圍碁尺八から能樂、連歌まで、
    各界一流の人びとを數えあげているのは、正確には應永から應仁までの時期に
    ついてだが、餘映はなおつづいていたのである。/中世の秋というものだろうか。
    中世ということばには、ヨオロッパの時代區分のにおいがつみついていて、室町時代
    を中世の後期と呼ぶことには多少のためらいが感じられる。鎌倉とちがって室町時代
    は當初から京都中心であり、都市文化としての色彩があまりに濃厚だった。/しかし
    いずれにせよ東山が、ひとつの時代のおわりを示していることはうたがいをいれない。
    現世否定的な宗教と世俗性と、傳統と新來の文物と、悲惨と豪奢とが共存し、混沌の
    なかで搖れ動いている。憂世という平安朝いらいの觀念も、次第にそのなかで變質
    してゆく。/浮世という世俗的な理念の登場は、この時期からである。浮世の語は、
    漂泊の歌人たちの作中に點滅している。/・・・

(冒頭で紹介した通り)「ヨオロッパ中世」と「奇妙な共通性」のある「鎌倉とちがって室町時代は
當初から京都中心であり、都市文化としての色彩があまりに濃厚だった」ので、ヨーロッパのような
「中世の後期と呼ぶことには多少のためらい」はあるが、醍醐帝と一条帝の「御代」のように「各界
一流の人びと」が現れ、「このうちつづく亂世には、文化の多彩な輝きがともなっていた」と(^o^)丿
ホイジンガがルネサンスの始まりを中世の終わり=秋としたのに倣い、〈「中世」の秋〉と(⌒~⌒)

では、同書の〈「中世」の秋〉の章において村松剛が「応仁の乱を描」いた件を引くC= (-。- ) フゥー

    ・・・/『應仁記』以下のこの時代の軍記物語を讀むと、戰いの凄惨さにしばしば
    息を呑むのである。/たとえば應仁元年十月の洛中の戰いでは、西軍は東軍の首を
    車八兩に積んで引揚げて來た。「死骸ハ白雲ノ門ヨリ東今出川迄ノ堀ニ埋レテ幾千
    萬也。此中ニ過半ハ寄手ノ屍骸也。又堀底ヨリカツギ上ル死人ノ中ニ、生テ上ル人
    アマタアリ。」幾千萬云々は誇張としても、『平家物語』の時代の戰いの優雅さは、
    ここにはない。/この戰鬪の翌々日、東軍は復讐戰を演じて敵の首八百をあげたと
    いう。「高聲ニ申シケルハ、一昨日花ノ御所ノ惣門ニテ車八兩トラレシ首ノ返報ニ
    (中略)首八百給候ハ不足ニ候ヘ共、堪忍イタスト呼リテ勇ミケル。」/・・・

僅か9行で、この章47頁中の半頁程度に過ぎず、単に「この時代の・・・戰いの凄惨さ」の一例として
紹介されているだけ(^_^;) 「・・・/應仁文明の大亂をほぼそのさかいとする室町の後期は、日本の
史上空前ともいえる混沌と文化の輝きとの、異様に交錯する時代だった。/そこに渦卷いていたのは
だいいちに、戰亂と下剋上と飢餓とである。・・・」とあるように、応仁の乱は〈「中世」の秋」〉
の影の部分を示す一例なのにソレが全てかの如く紹介はミスリードかと〇 o 。.~~━u( ゚̄  ̄=)プハァ
タグ:歴史 評論
コメント(6) 
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コメント 6

ナベちはる

次から次へとやることが増えて、それらに対応しきれずにパンク状態に…なんてことにはなってほしくないですね((+_+))
by ナベちはる (2022-02-12 01:13) 

middrinn

頭の中は既にパンク、てゆーか、パニック状態です(+_+)
by middrinn (2022-02-12 05:53) 

tai-yama

江戸時代は「中世の冬」になるのかな?
確かに、混乱(内乱・戦争)が少ないから中世っぽくないのかも(笑)。
by tai-yama (2022-02-12 18:55) 

middrinn

日本史には「近世」というヨーロッパ史には無い時代区分が(^_^;)
江戸時代は近代の萌芽が見られるので「近代の立春」は如何(^o^)丿
by middrinn (2022-02-12 19:01) 

yokomi

私は処理能力が老化してきた為か、やらなきゃならないことが溜まりつつあります(>_<)
by yokomi (2022-02-13 10:31) 

middrinn

処理能力の低下に加えて、やる気が失せてます(+_+)
by middrinn (2022-02-13 16:47) 

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