読書の厄介なところは、著者も読者も眼識の有無が問われることである〇 o 。.~~━u( ゚̄  ̄=)プハァ
お墓をキレイにし、お寺にお金を納めに行くため、尾根道を歩いていたら、ある家の前に首輪をした
猫がいて、こちらが立ち止まると、近寄って来て、洗い立てのジーンズにスリスリしまくった(^_^;)

【読んだ本】

倉本一宏『平安朝 皇位継承の闇』(角川選書,2014)

ベスト&ロングセラーの土田直鎮『日本の歴史5 王朝の貴族』(中公文庫,1973初版→2004改版)、
2004年の新装改版から新たに巻末に加えられた「解説」で、倉本一宏が「『王朝の貴族』の問題点」
として次の指摘をしている〇 o 。.~~━u( ゚̄  ̄=)プハァ

    ・・・/次に、私が『王朝の貴族』を読んでいて、いつも気になっている点を
    一つだけ挙げさせていただくこととする。それは、叙述に使用している史料の問題
    である。土田先生が男性貴族によって漢文で記された古記録を第一義的な史料と
    考えられ、『栄花物語』や『大鏡』などの歴史物語が歴史叙述には不適切である
    ということを論文や講演で縷々述べられてきたということは、周知のことであろう。
    『王朝の貴族』においても、「・・・歴史物語が史料としてこれほど日記に劣る
    とすれば、これからはめんどうでも日記中心に調べるくせをじゅうぶんにつけて
    いかなければなるまい。もっともこれは専門家にとっての心がまえではあるが。」
    (日記を書く人々)と述べておられる。/ところが、当の『王朝の貴族』において、
    歴史物語を史料として使って記述した部分が、やたらと目立つのである。・・・

倉本一宏は『平安朝 皇位継承の闇』(角川選書,2014)94頁でも、土田直鎮が冷泉天皇の「狂気」を
「自明の歴史事実として述べられている」点を次のように批判している〇 o 。.~~━u( ゚̄  ̄=)プハァ

    ・・・/以上の土田[直鎮]氏の[『日本の歴史5 王朝の貴族』(中公文庫,1973)での]
    推論は、主に説話を根拠に述べられているにもかかわらず、その流麗な文章と、(この書
    以外は)古記録の精確な解読を駆使した著述方針、現在では信じられない量の販売部数、
    そして何より、「土田先生が書かれた」という重みが加わって、断固たる権威を賦与され、
    冷泉の「狂気」を確実なものとして人々に認識させる結果となった。それのみならず、
    時によって説話集や「歴史物語」を使用して歴史叙述を行なうという著述態度もまた、
    平安時代史研究の基本姿勢として、多くの研究者に受け継がれてしまうことになった
    のである。/・・・

土田直鎮と同書の影響力は凄いんだね( ̄◇ ̄;) 歴史学の研究者というよりも、土田直鎮から指導を
受けた者の一人として、倉本一宏がその「思い」を告白した次の件(本書101頁)が本書の白眉(;_;)

    ・・・/注意しなければならないのは、これらが説話の寄せ集めで、古記録の名に値する
    ようなものではなかったという点である。・・・土田氏がこれらを使って冷泉の「狂気」
    を事実として語られたとは、とても信じられない(信じたくない)思いである。/・・・
  
ただ、倉本一宏は『藤原道長の日常生活』(講談社現代新書,2013)5頁では次の如く述べてた(^_^;)

    ・・・これらの[大鏡、栄花物語といった]歴史物語や[今昔物語集をはじめとする]
    説話集に描かれた説話にも、確実な原史料にもとづく箇所も多いのであるが、一方では
    特定の史観によって創作されたり改変されたりした箇所も多い。残念ながら私には、
    それらを分別する能力がない。よほど達人的な能力を備えた人か、さもなければ史実を
    重視しない人でなければ、これらの文学作品を歴史叙述に使用するのは危険というもの
    であろう。・・・

本書でも花山院の円教寺への2度目の御幸(長保4年=1002年)に関して「・・・/私には、これらの
史料の史実性を確定する能力(勇気?)はないのだが、・・・」(本書182頁)云々と述べてる(^_^;)

「分別する能力がない」のを自認する研究者が「達人的な能力を備えた人」を批判するのは筋違いな
ように、土田直鎮に歴史物語や説話集の「確実な原史料にもとづく箇所」(=史実)と「特定の史観
によって創作されたり改変されたりした箇所」とを「分別する能力」が備わっていたなら、歴史物語
や説話集を歴史叙述に用いても問題は無いかと(^_^;) 眼識が有ったとは思えないけどC= (-。- ) フゥー

・「古今集に次ぐ勅撰和歌集である拾遺集」だとぉ!土田直鎮も無教養ヾ(`◇´)ノ彡☆コノ! バカチンガァ!!

 ⇒ https://yomubeshi-yomubeshi.blog.ss-blog.jp/2018-03-26

・土田直鎮『日本の歴史5 王朝の貴族』は『紫式部日記』を誤読してるヾ(`◇´)ノ彡☆コノ! バカチンガァ!!

 ⇒ https://yomubeshi-yomubeshi.blog.ss-blog.jp/2019-12-04

・土田直鎮は『江談抄』を誤読あるいは恣意的に利用しているじゃんヾ(`◇´)ノ彡☆コノ! バカチンガァ!!

 ⇒ https://yomubeshi-yomubeshi.blog.ss-blog.jp/2021-03-10