超高~いタイサンボクの木に花が咲くも、2階の窓ぐらいあり、天上界の人々しか愛でられぬ( ̄◇ ̄;)

【読んだ本(ネタバレ)】

野田昌宏『NHK人間大学 宇宙を空想してきた人々 SF史に見るイメージの変遷』(日本放送出版協会,
1998)所蔵誌

本誌の「第一回 SFは絵で始まった~宇宙人の肖像画~」に気になる件〇 o 。.~~━u( ゚̄  ̄=)プハァ

    ・・・/毎月開かれる「宇宙塵」の例会では、自分たちの作品の合評もそこそこに、
    「こんなSFを読んだ」、「アメリカにはこんな作品がある」という情報交換が
    行われます。/英語に強い矢野徹、今日泊亜蘭、星新一……という人たちが、
    自分の読んで面白かった作品を紹介する、それをみんながワイワイ論評するという形、
    いわば〝集団で一冊の本を読む〟とでもいえばいいのでしょうか。月1回の日曜日、
    昼過ぎから終電車ぎりぎりまで続くこの例会の無類の楽しさ、面白さはとても口では
    説明できません。/私はレイ・ブラッドベリーやフレデリック・ブラウンの存在を
    星新一さんから教えられました。/ブラッドベリーに『刺青の男』という作品集があって、
    ・・・その中のひとつ『万華鏡』という短編を星新一さんが話してくれました。本当に
    星さんはこの作品に感動していました。/星さんが何故この作品に感動したのか?/
    本当は皆さんに自分で読んで欲しいし、放送ではそれぞれ縁のある人たちに朗読を
    お願いしようと思っているのですが、とにかく簡単に筋をお話しようと思います。

    遠い未来、大型の宇宙船が宇宙空間で事故を起こして木端微塵になってしまいました。
    大部分の船客や乗組員は死んでしまいますが、ちょうど宇宙服を着ていた数人が
    即死を免れ、宇宙空間に放り出されてしまいます。

      救助される可能性は皆無。
      宇宙服のタンクの空気を吸い尽くせばもうおしまいです。
      彼等は宇宙服についている無線機の電池が続く限り連絡を取り合い、
      やがて順々に死んでいきます。そして1人の乗組員は地球の引力に引かれ、
      みるみる速度を上げながら大気圏へ突入していきました。
      話は変わって地球上、イリノイ州のある町外れ。郊外の日暮れ時、夕空に
      さっと流れ星が走りました。
      「あ! お母さん! 流れ星!」と、空を見上げて少年が言いました。
      すると、母親が言うわけです。
      「願いごとをなさい[メイク・ア・ウィッシュ]」

    流れ星に祈れば願いが叶うという昔ながらの素朴な慣習と、宇宙開発の途上で
    遅かれ早かれ必ず発生するに違いない事故を、こんな詩情溢れる形で結びつけた
    『万華鏡』は、これこそSFだという私の主張として皆さんにも理解して頂ける
    のではないでしょうか?/・・・

この後の余談=スプートニク2号の犬の話が悲しすぎるが、それはさておき、科学技術の粋を集めた
「宇宙開発」(に伴う事故)とソレとは対極的な「昔ながらの素朴な慣習」とを「結びつけた」点が
萌えポイントなんだ( ̄◇ ̄;) ただ、レイ・ブラッドベリ(中村融訳)『ブラッドベリ自選傑作集
万華鏡』(東京創元社創元SF文庫,2016)を図書館から借りて来て「万華鏡」を読んだ時に書いた記事
(⇒ https://yomubeshi-yomubeshi.blog.ss-blog.jp/2018-05-30 )を確認すると、この2つを繋ぐ
ミッシングリンクである、〈宇宙から地球へと落下中の主人公が、自らの卑しさの埋め合わせとして
何か一つでもいいから善行をしたいと考え思い付いたのが、大気圏で流星のように燃えるだろうけど、
もしかしたら、誰かが見てくれるかな?と〉という件こそが、本作品に余情を持たせたかと(@_@;)
002と大気圏に突入して流れ星となる009は宇宙で死の商人「黒い幽霊[ブラックゴースト]」を倒し、
地上で流れ星を弟と目撃する姉は世界平和を祈る、このハーモニーこそ神韻縹渺だよ(´;ω;`)ウッ…