「かたつぶり そろそろ登れ 富士の山」、一茶の作と伝わってるけど、たしかにいいなぁ(〃'∇'〃)

【読んだ本】

足利健亮『地図から読む歴史』(講談社学術文庫,2012)所蔵本

読了(^o^)丿 本書は1997年7月~9月期に教育テレビで放送されて話題になったNHK人間大学の足利健亮
「景観から歴史を読む 地図を解く楽しみ」のテキスト(日本放送出版協会)に加筆し、またテーマも
新たに六つ書き加えた『景観から歴史を読む 地図を解く楽しみ』(NHKライブラリー,1998)を没後に
文庫化したもの(^^) 足利健亮の専門の歴史地理学とは、「歴史時代の地理、過去のさまざまな時点の
地表の様子(景観)を明らかにする研究分野」(本書の「はじめに」)の由(^^) 歴史地理学では地図
(空中写真=航空写真、古い時代の絵図、土地台帳とセットの地籍図なども含む)が固有の資料だが、
古文書・古記録といった史料に基づく歴史学や遺跡・遺稿・遺物を資料とする考古学などの成果をも
活用していく学際的な歴史研究といった感じが本書からはする(⌒~⌒) そもそも、地理学そのものが
〈諸科学の母親〉なんだから当然だけど( ̄ヘ ̄)y-゚゚゚ なお、〈諸科学の母親〉と評したのは1920年
のアメリカ地理学会会長就任講演でのイザヤ・ボウマンで、それは実は誇りというより地理学という
ディシプリンの確立・維持への悩みの告白だったと大島襄二『文化地理学序説』(理想社,1976)には
ある・・・と前に書いたな(⇒ https://yomubeshi-yomubeshi.blog.ss-blog.jp/2016-09-24 )(^_^;)
とまれ、本書は歴史上の謎を次々と解いていく知的ミステリーで愉しくないわけがないv( ̄∇ ̄)ニヤッ
本書の目次を引いておく〇 o 。.~~━u( ゚̄  ̄=)プハァ

    序章 地図と地名に残された先人のシグナル

    Ⅰ 古代・中世編

    第1章 聖武天皇の都作り
    第2章 平安京計画と四神の配置
    第3章 古代地方行政の中心地、国府──その平面構成はどこまで分かってきたか
    第4章 古代の大道は直線であった
    第5章 条里──地を測り地を掌握するシステム
    第6章 荘園の範囲を確定する手順──美濃国大井荘域が分かるまで

    Ⅱ 近世編

    第7章 織田信長の城地選定構想を読む
    第8章 天下の大道と隠れ道の並走──古山陰道と唐櫃越を舞台にした二つの物語
    第9章 豊臣秀吉の「首都」作り①──聚楽第プラン
    第10章 豊臣秀吉の「首都」作り②──伏見城プラン
    第11章 徳川家康の江戸選地理由

    Ⅲ 地名編

    第12章 「野」とは何か──その地形と歴史的意味
    第13章 溜池分布の謎を解く
    第14章 新しい地名解釈から見えるもの
    第15章 耳納山・伊吹山・浅間山──その山名由来を考える
    第16章 小字「心蓮寺」が発信した情報──姿を見せた山田寺
    第17章 都市内道路名称の意味を解く

家康が小田原や鎌倉ではなく江戸を選んだ理由(潮見坂+富士見坂⇒「死を見」ても「不死身」)に
ついての第11章や、放送・テキストの第一回(本書の序章)に対しての高島俊男の批判をネット上で
反駁した人がいることなどは上記の記事に既に書いたが、高島俊男の批判を意識したんだろうけど、
足利健亮が加筆していることに気付いた(^_^;) 明智光秀が亀山城から本能寺を目指したルートは実は
唐櫃越で、だからこそ「成功」したのではないか、とする第8章とか、京都の北野や嵯峨野、大阪の
交野、滋賀の蒲生野、東京の武蔵野などなど、「野」と呼ばれるのは「比較的平らな地形」なのに、
奈良の吉野は「大変狭い尾根そのもの」なのは何故かを説明した第12章とか、その他、興味深い章が
多かったし、関心のもてない章でも色々と学べた(^^) ただ、説明が解らない個所もあったり(小生の
理解力の問題だろう)、また掲載されている地図など図がどう考えても小さすぎる(ノ;ω;)ノ ~┻┻