今月買おうと考えてる古本は上下2冊で2275円だけど、2018年10月に吉祥寺の古本屋で上下2冊600円で
買ったら数日後に荻窪の古本屋に上下2冊200円であったという日記をネットで読むと何か腹立つ(-"-)

【読んだ本】

石川栄作(訳)『ニーベルンゲンの歌 後編』(ちくま文庫,2011)

一昨日の前編に続き、後編も読了(^o^)丿 「第二十歌章 エッツェル王がヴォルムスのクリームヒルト
のもとに使者を送ったこと」から「第三十八歌章 ディートリヒがグンター王とハーゲンを取り押えた
こと」まで(^^) 前編所収の「作品解説 『ニーベルンゲンの歌』の成立と展開」に「・・・『ニーベ
ルンゲンの歌』は五、六世紀に生まれた二つの伝説がいくつかの段階を経て、十三世紀初頭の詩人に
よって一つに結び付けられて成立したのである。」(同書356頁)とある如く、前編はブリュンヒルト
伝説、後編はブルグント伝説で、「作品解説 『ニーベルンゲンの歌』における悲劇の二重構造」には
「・・・全体の作品構造によく目を向けてみると、前編と後編は単に結び付けられただけではなく、
前編と後編のあらすじが細部に至るまで均整のとれた物語構造になっていることが分かる。」(本書
187頁)(^^) このことは、前編のどの点が後編のどの点と対になっているか、コントラストを成すか
等々を本書の訳注は丁寧に指摘してくれてる(⌒~⌒) ただ、「前編においてハーゲンは、どちらかと
言えば、ジークフリート暗殺の行為を隠そうとしていたが、後編では逆にフン国でクリームヒルトに
出会った際にそれを堂々と打ち明ける・・・」と151頁注40でも指摘されてる点など違和感があるも、
もともと別の「二つの伝説」なら仕方ないかな(^_^;) 後編は途中から凄惨な殺戮場面ばかりとなり、
チト辟易しながら結末へ至ったけど、その後に読んだ巻末の上記作品解説がタメになる内容で、この
叙事詩が幾重にも「二重構造」を持っている深~いストーリーであることが理解できたv( ̄∇ ̄)ニヤッ
前編がブリュンヒルトの「悲しみ」(名誉を傷つけられた侮辱の意)の復讐、後編がクリームヒルト
の「悲しみ」(愛しい夫ジークフリートを殺された)の復讐という二つの復讐物語が同じ結婚と招待
という二重構造の中で語られていること、古代ゲルマンと中世騎士というジークフリートの二重像、
ジークフリートの世界(ニーベルンゲン世界)とグンター王の世界(ヴォルムス社会)、そして、
ジークフリートとハーゲン・・・等といったコントラストが解り易く説明されてた(⌒~⌒) さてさて、
前編の第一歌章の一六詩節(一昨日に引用)で既に示されていたとされる「作品のテーマ」にあたる
第三十八歌章の二四三八詩節(384頁)を引いておこうオホホホ!!♪( ̄▽+ ̄*)

    大きな誉れに包まれていた者たちは、ここに倒れ果てた。
    人々は皆、悲しみと苦しみに包まれた。
    国王の饗宴はこうして悲嘆でもって終わった。
    歓びは最後には決まって悲しみをもたらすものなのである。

今泉文子は「これは、よく言われるところの運命的、悲劇的なドイツ精神の原点だろうか? ともあれ
これがドイツ文化の大きなバックボーンの一つになっているのは事実だ。」(「リテレール別冊文庫本
の快楽 ジャンル別ベスト1000」1992年)、三宅晶子も「それにしてもこれほど破滅的な叙事詩を持つ
民族が他にいるだろうか。」(「リテレール別冊②読書の魅惑 ジャンル別ベスト1200」1993年)と、
ともに岩波文庫版(相良守峯訳)に対してだけど、評していたよん〇 o 。.~~━u( ゚̄  ̄=)プハァ