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【読んだ本】

スヴェトラーナ・アレクシエーヴィチ(原作)小梅けいと(作画)速水螺旋人(監修)
『戦争は女の顔をしていない 1』(KADOKAWA,2020)

読了(^o^)丿 この漫画については朝日新聞夕刊の「中条省平のマンガ時評」で取り上げられる前に、
ぽムたんが紹介していて、図書館に予約も予約者多数で、やっと順番が回ってきて読んだ次第(^o^)丿

原著者はノーベル文学賞を受賞したジャーナリストで、「彼女が取材した、500人にのぼる第二次世界
大戦従軍女性たちの証言をマンガ化」したもの(@_@;) 巻末の190~191頁の監修者による解説を先に
読んで良かった(ノ_-;)ホッ… 独ソ戦(大祖国戦争)で、社会主義ならではの志願した女性たちであり、
「想像力、それはこの作品を読むにあたってとても、とても大事なことだ。」(191頁)とあり(本書
の具体的な場面に即して「背景」や「別の物語」の可能性を指摘してる)、「もうひとつ大事なこと。
本作の証言はかならずしも事実とは限らない。彼女たちは歴史家ではないし、記憶は変わるものだ。
アレクシエーヴィチもその主観に手を加えることはない……そういう本ではないのだ。」(191頁)と
ある(@_@;) 本書の主旋律として、第三話(後編)でのクラーヴァ(クラヴヂヤ・グリゴリエヴナ・
クローヒナ)の独白を96頁(全5コマ)から引いておく(@_@;)

    そりゃ軍隊で宣誓したわ 「必要ならば 命も投げ出す」って

    でも どうしても死にたくない

    生きて帰っても心はいつまでも病んでる

    今だったら足とか手をけがしたほうがいいと思うね
    身体が痛むほうがいいって

    心の痛みはとてもつらいの

読んだのは奥付によると4版だが、目次と本編の漫画で名前が異なる人がいるのは何なんだ(@_@;)

    第一話 従軍洗濯部隊政治部長代理ワレンチーナ・クジミニチナ・ブラチコワ‐
        ボルシチェフスカヤ中尉の話

    第二話 軍医エフロシーニヤ・グリゴリエヴナ・ブレウス大尉の話

    第三話 狙撃兵クラヴヂヤ・グリゴリエヴナ・クローヒナ上級軍曹とマリヤ・
        イワーノヴナ・モローゾワ(イワーヌシュキナ)兵長の話(前編・後編)

    第四話 衛生指導員マリヤ・ペトローヴナ・スミルノワと看護婦アンナ・
        イワーノヴナ・オスモロフスカヤ二等兵の話

    *目次はこの通りも、第四話の109頁は「アンナ・イワノーヴナ・ベリャイ看護婦」(@_@;)

    第五話 高射砲兵クララ・セミョーノヴナ・チーホノヴィチ軍曹と通信兵マリヤ・
        セミョーノヴナ・カリベルダ軍曹、斥候リュボーフィ・イワーノヴナ・
        オスモロフスカヤ二等兵の話

    第六話 一等飛行士アントニーナ・グリゴリエヴナ・ボンダレワ中尉と
        航空隊クラヴジヤ・イワーノヴナ・テレホワ大尉の話

    第七話 書記エレーナ・ヴィレンスカヤ軍曹と機関士マリヤ・アレクサンドロヴナ・
        アレストワ、射撃手ローラ・アフメートワ二等兵の話

さて、さて、さ~て! 本書の表紙カヴァー袖(の片方の側)には、次の言葉が記されている(@_@;)

    戦争で一番恐ろしかったのは、男物のパンツをはいていることだよ。

これは第七話でのローラ・アフメートワ二等兵(射撃手)の証言だが、186頁の最後のコマから187頁
の最後のコマまでの彼女の独白を引く(@_@;)

    あたしたちの土壕には十人の女の子がいて みな男物のパンツを穿いてた。

    まったくどうしようもない! 夏も冬も四年間だよ

    ソ連の国境を越えた……

    政治教育で軍事委員が言った表現によれば「獣どもを巣に追いつめた」ってわけよ……

    ポーランドの最初の村で新しい衣服が支給された……

    そして初めて女物のパンツとブラジャーがもらえたんだ

    戦中を通して初めてだよ

そして、この後、188頁の冒頭コマで、「わかるよね……あたしたち初めてあたりまえの女物の下着を
もらったんだよ」とローラ・アフメートワは大笑いしながら言ったあと、取材者=原著者に対して、
「どうして笑わないのさ」と訊ねて、大変印象的なラストシーンへと繋がっていく(´;ω;`)ウッ…

ここで、拙い「想像力」を働かせてみる(@_@;) チェコスロバキアから帰国し、ソ連の小説雑誌で
「・・・町の百貨店にチェコスロバキア製のブラジャーやらパンツやらが入荷したとかで、町中の女
たちが、いや近隣の村々の女たちまでが、百貨店の前に列をなして並んでいた」(S・セミョーノフ
『わがアンガラ河』)という描写を読んで、「・・・その後、いくつかの小説やエッセイを通して、
ソ連の女たちにとってポーランド製やドイツ製やチェコスロバキア製の下着が、大変貴重だったらしい
ことも確認できた。」という米原万里は、同『パンツの面目ふんどしの沽券』(筑摩書房,2005)で
次のように記している( ̄◇ ̄;)

    ・・・/もしかして、ソ連ではレースの縁取りがついた明るい色の薄手のパンツを
    工業生産していなかったのかもしれない、とそのときハタと思った。流行に左右されない
    質実剛健なパンツこそ、社会主義に相応しいと考えられていたのではないか。/
    第二次大戦後、東欧諸国がソ連の傘下に組み込まれた事は、政治的、社会的、
    イデオロギー的側面から語られることが多いが、それが経済、わけても庶民の女たちの
    私生活にも何と画期的な変化をもたらしたことだろう、と感慨にもふけった。/ところが、
    事実ははるかに上手だった。「身体の記憶──ソビエト時代の下着」という展覧会で
    入手したカタログに記された簡略ソ連下着史によると、第二次大戦が終了するまで、
    ソ連では下着のパンツが一切工業生産されていなかった、とのことである。・・・

ローラ・アフメートワらに支給された、新しい女物の下着を、ソ連軍は、どこから、どのようにして
( ← ここ大事)入手したのかを「想像」すると、全く「別の物語」が浮かび上がってくる(@_@;)