190119読んだ本
村上龍の「小説を読んだからといって小説を書けるものじゃない」という発言に対して、金井美恵子が
「映画だって、観てなくても撮れるわけだけど、でも、あんなものしか撮れないでしょう。/それは
確かにそうで、読まなくても小説は書けるわけですよね、もちろん。だからお前みたいな小説になる
だろうって言いたい(笑)。」という辛辣な批評をしてた(^_^;) モチ小生は小説なんか書かない(^^)
だけど、本を多く読んだからといって本が正しく(?)読めるわけでもない、とも言えるかもね(^_^;)
【読んだ本】
小島憲之&新井栄蔵(校注)『新日本古典文学大系5 古今和歌集』(岩波書店,1989)所蔵本
Amazonのレヴューでベタ褒めされてたので読んだらマジ良かった森本元子(全訳注)『讃岐典侍日記』
(講談社学術文庫,1977)(⇒ https://yomubeshi-yomubeshi.blog.so-net.ne.jp/2017-12-31 )だが、
作品の中で和歌が引かれている場面がある(^^) 例の秦兼方の秀歌「去年見しに色もかはらず咲きにけり
花こそ物はおもはざりけれ」(⇒ https://yomubeshi-yomubeshi.blog.so-net.ne.jp/2019-01-03 )も、
第一句が「いにしへに」と変えられているけど、作品の中で紹介されているんだよv( ̄∇ ̄)ニヤッ
そんな同書の〈解説〉において「・・・効果的に引用されている。」と、森本元子から評されてるのが
僧正遍照の歌で、詞書ともども、小町谷照彦(訳注)『古今和歌集』(ちくま学芸文庫,2010)による
それぞれの現代語訳も付けて引く(⌒~⌒)
深草帝の御時に、蔵人頭にて夜昼なれつかうまつりけるを、
諒闇になりにければ、さらに世にもまじらずして、比叡の山に登りて、
頭おろしてけり、そのまたの年、みな人御服脱ぎて、あるは冠賜はりなど、
喜びけるを聞きてよめる
みな人は花の衣になりぬなり苔の袂よかわきだにせよ
仁明天皇の御代に、蔵人頭として夜昼親しくお仕えしていたところ、
天皇が崩御され、世の中は諒闇になってしまったので、世間との交際を
一切絶ち切り、比叡山に登って出家してしまった。その翌年、
世の人々は喪服を脱ぎ、ある人は位階を賜わったりしてなどして、
喜んでいるのを聞いて詠んだ歌
世の人々は皆忌[いみ]が明けたので、喪服を脱いで華やかな平常の服に
着がえたようだ。私の変ることがない僧衣の袂よ、せめていつまでも
涙に濡れていないで、乾いてほしいものだ。
「苔の袂」だが、片桐洋一『歌枕 歌ことば辞典 増訂版』(笠間書院,1999)の「こけ【苔】」の項に、
・・・「苔の衣」はいうまでもなく俗世を離れた世捨て人の着る衣。仏にすがる人が
着る法衣のこと。・・・「苔の狭衣」(俊成女集)「苔の袖」(新古今集・雑上・俊成)
「苔の袂」(古今集・哀傷・遍昭)なども、「苔の衣」の美称であったり、「苔の衣」の
「袖」や「袂」であったりして、一括してよいものである。
とあり、手元の古今集の各注釈書も「苔の袂」を「僧衣」と注記し訳している、一冊を除いて(-ω-、)
新井栄蔵より18歳年上の小島憲之は万葉集が専門という本書による同歌の大意は次の通りヒィィィィィ(゚ロ゚;ノ)ノ
人々は皆花やかで色とりどりの衣服になったとのことである。涙に濡れて苔の生えた
わたくしの衣よ、せめて乾いてほしい。
「映画だって、観てなくても撮れるわけだけど、でも、あんなものしか撮れないでしょう。/それは
確かにそうで、読まなくても小説は書けるわけですよね、もちろん。だからお前みたいな小説になる
だろうって言いたい(笑)。」という辛辣な批評をしてた(^_^;) モチ小生は小説なんか書かない(^^)
だけど、本を多く読んだからといって本が正しく(?)読めるわけでもない、とも言えるかもね(^_^;)
【読んだ本】
小島憲之&新井栄蔵(校注)『新日本古典文学大系5 古今和歌集』(岩波書店,1989)所蔵本
Amazonのレヴューでベタ褒めされてたので読んだらマジ良かった森本元子(全訳注)『讃岐典侍日記』
(講談社学術文庫,1977)(⇒ https://yomubeshi-yomubeshi.blog.so-net.ne.jp/2017-12-31 )だが、
作品の中で和歌が引かれている場面がある(^^) 例の秦兼方の秀歌「去年見しに色もかはらず咲きにけり
花こそ物はおもはざりけれ」(⇒ https://yomubeshi-yomubeshi.blog.so-net.ne.jp/2019-01-03 )も、
第一句が「いにしへに」と変えられているけど、作品の中で紹介されているんだよv( ̄∇ ̄)ニヤッ
そんな同書の〈解説〉において「・・・効果的に引用されている。」と、森本元子から評されてるのが
僧正遍照の歌で、詞書ともども、小町谷照彦(訳注)『古今和歌集』(ちくま学芸文庫,2010)による
それぞれの現代語訳も付けて引く(⌒~⌒)
深草帝の御時に、蔵人頭にて夜昼なれつかうまつりけるを、
諒闇になりにければ、さらに世にもまじらずして、比叡の山に登りて、
頭おろしてけり、そのまたの年、みな人御服脱ぎて、あるは冠賜はりなど、
喜びけるを聞きてよめる
みな人は花の衣になりぬなり苔の袂よかわきだにせよ
仁明天皇の御代に、蔵人頭として夜昼親しくお仕えしていたところ、
天皇が崩御され、世の中は諒闇になってしまったので、世間との交際を
一切絶ち切り、比叡山に登って出家してしまった。その翌年、
世の人々は喪服を脱ぎ、ある人は位階を賜わったりしてなどして、
喜んでいるのを聞いて詠んだ歌
世の人々は皆忌[いみ]が明けたので、喪服を脱いで華やかな平常の服に
着がえたようだ。私の変ることがない僧衣の袂よ、せめていつまでも
涙に濡れていないで、乾いてほしいものだ。
「苔の袂」だが、片桐洋一『歌枕 歌ことば辞典 増訂版』(笠間書院,1999)の「こけ【苔】」の項に、
・・・「苔の衣」はいうまでもなく俗世を離れた世捨て人の着る衣。仏にすがる人が
着る法衣のこと。・・・「苔の狭衣」(俊成女集)「苔の袖」(新古今集・雑上・俊成)
「苔の袂」(古今集・哀傷・遍昭)なども、「苔の衣」の美称であったり、「苔の衣」の
「袖」や「袂」であったりして、一括してよいものである。
とあり、手元の古今集の各注釈書も「苔の袂」を「僧衣」と注記し訳している、一冊を除いて(-ω-、)
新井栄蔵より18歳年上の小島憲之は万葉集が専門という本書による同歌の大意は次の通りヒィィィィィ(゚ロ゚;ノ)ノ
人々は皆花やかで色とりどりの衣服になったとのことである。涙に濡れて苔の生えた
わたくしの衣よ、せめて乾いてほしい。
タグ:和歌
でも沢山本を読むと文章力は上がるのではないでしょうか?
ちなみにウチの娘、趣味で小説書いてます(^^;
by そら (2019-01-19 20:06)
たしかに語彙が増えて文章力は上がるかも(〃'∇'〃)
「そら娘」がペンネームだったりして(⌒~⌒)ニコニコ
でも、書いてるのはBL小説だったりヒィィィィィ(゚ロ゚;ノ)ノ
by middrinn (2019-01-19 20:18)
こんばんは。
バーナード・ショーが言ったと言われていますが、ある絵画展の審査員を務めた時に他の画家である審査員から「絵を描いた事がない奴にわかるもんか」と言われたのに対して「私は卵を産んだことはないが卵の良し悪しはわかる」と言ったそうな。
by センニン (2019-01-19 20:25)
知恵は現場にありとして、小生も実務経験を重んじてますけど、
実務を経験してないと実務は解らないなどと言う人に対しては、
じゃあ、死刑は死刑を経験した人しか語れませんね、と(^_^;)
by middrinn (2019-01-19 20:29)
おはようございます^^
ちょっと例えが違うけれど「百聞は一見に如かず」何て言う。
やはり経験に勝るものは無いのかも。でも経験しないからって
分からないわけじゃないですよね。
本を正しく読むって(@@? 本の読み方も人それぞれじゃない?
by mimimomo (2019-01-20 07:37)
たくさん本を読む人は周りにいましたが
その人達に共通するのは物事を考える力が
とてもありましたね(*´∇`*)
私はあまり本を読まなかったので
考える力が弱いですね(苦笑)
野球の場合はいくら頑張って練習しても
フォームがおかしかったりやり方が良くないと
伸びないですね・・・
by たじまーる (2019-01-20 07:43)
「正しく」という表現が最適とも思えなかったので、
mimimomo様、「(?)」を付した次第です^_^;
小説は読み方はさまざまで、読んでどう感じるかは
それぞれでしょうけど、歴史や評論などは記述内容
の理解において、〝誤〟読というものがあるわけで、
〝正〟しい読み方もあるとお思いになりませんか?
遍照僧正の歌の「苔の袂」に関して、本書の解釈は
読み方を誤っており、他書は「正しい」読み方(^^)
by middrinn (2019-01-20 08:07)
ショウペンハウエル(斎藤忍随訳)『読書について 他二篇』(岩波文庫,1960→83改版)
の表紙カヴァーに「読書とは他人にものを考えてもらうことである。1日を多読に費やす
勤勉な人間はしだいに自分でものを考える力を失ってゆく。」ともあります^_^; だから、
たじまーる様の周りの人達も読み方が良かったのでしょう(^^) 野球の例も正しく導いて
もらうことが大事ということでしょうし、あまり本を読まなくても大丈夫ですよ(^o^)丿
by middrinn (2019-01-20 08:15)
あ、なるほどね。そう言うのは分かりますよ。
数学と一緒で「間違い」ってあるものはね^^v
by mimimomo (2019-01-20 12:21)
「苔の袂」ではなく「カビの袂」だったなら、
「涙に濡れてカビの生えたわたくしの衣よ」
というのも「正しい」読み方ような気も^_^;
by middrinn (2019-01-20 12:55)
涙で苔に...
そうとう 流しましたね(^_^;)
by DON (2019-01-20 18:15)
カビじゃなく苔ですから、かなりの年月が経たないと(^_^;)
by middrinn (2019-01-20 18:47)
苔の袂の解釈で「苔が生える」のは初めて聞いたな。
昔,苔を育ててた祖父が,移植すれば1~2カ月で定着することもあると言ってた気がするけど,それじゃあ野暮ってものだよな (;´Д`)
by こじろう (2019-01-20 19:36)
袂にカビが生えるなら筋は通りましたね^_^;
衣服に苔の移植は出来ないでしょうに(^_^;)
by middrinn (2019-01-20 20:06)
本も映画もその人の受け取り方次第で
変わっちゃいますよねぇ(⌒-⌒; )
でも訳注者はちゃんと調べて正しい訳をしてほしいなぁ(*_*)
お金もらってるんだし(ー ー;)
by ニッキー (2019-01-20 22:15)
「新井栄蔵より18歳年上の小島憲之は万葉集が専門」なのですが、
本書の「月報」で「実はこのたび初めて古今集の隅の隅まで読んで
みた。・・・しかもその読了後の感想をいえば、古今集の理解は
極めてむつかしいということであった。」と告白してます(^_^;)
この仕事を何で引き受けたんだよぉ~という感じですねぇ(^_^;)
by middrinn (2019-01-20 22:25)
小説のネタはいくつかあるのですが、文才乏しいので誰かに書いてもらいたいなぁと思っております。
by ワンモア (2019-01-21 23:08)
ワンモア様の文才なら、芥川賞も狙えるかも(^o^)丿
by middrinn (2019-01-22 06:39)