一つの研究領域を究めることすら困難なのに、比較文学・比較文化論は複数だからねぇ(@_@;)

【読んだ本】

池田温&劉俊文(編)『日中文化交流史叢書 第2巻 法律制度』(大修館書店,1997)所蔵本

本書所収の古瀬奈津子「官職唐名成立に関する一考察」は、「古代以来、日本においては、官職名を
唐の官職名に言い替えて呼ぶことが広く行なわれていた」ことに関する論文で面白く勉強になる(^^)

    ・・・我国における漢詩文の創作は、平安初期、嵯峨天皇を中心に積極的に
    進められたが、内容的にみると、六朝から中唐にかけての詩句・詩語を
    『芸文類聚』『初学記』などの類書や、新しくもたらされた盛唐・中唐の
    詩集から、手当たり次第に利用したものであり、表面的な享受ということが
    できる。/白居易の詩集は、弘仁期から伝来、もしくは詩句の口伝が認め
    られるが、全面的に輸入されるようになったのは、承和期になってからである。
    ・・・承和期以降の詩は、専ら白居易の個人集(別集)を全面的に享受する
    ことになり、「白詩語」を共通基盤とする「白詩圏の文学」が形成される。
    さらに、漢詩文にとどまらず、白詩の詩句・詩語は和歌の中にも取り入れ
    られるようになっていくのである。それだけ、漢詩文の受容が深化したと
    いうことができよう。/・・・

「深化」とは言い切れず、拡大しただけとも(@_@;) 母親の喪に服している真っ最中に白居易が女を
家に連れ込もうとしたかの如く白詩を解した藤原定家らのような作意無視のレトリック摘み食い和歌
(⇒ https://yomubeshi-yomubeshi.blog.ss-blog.jp/2022-04-03 )は「漢詩文の受容が深化した」
どころか、まさに「手当たり次第に利用したものであり、表面的な享受」としか言いようがないし、
古瀬奈津子は「日本古代史」が御専門らしいが、自ら「和歌」を調べてきちんと吟味すべき(@_@;)
菅野禮行も「白楽天の日本文学への影響のあり方は、・・・総じてその佳句麗章を主とした断章取義
的なものであった」と評してたことは前に引いた( ̄ヘ ̄)y-゚゚゚ 「断章取義」とは「詩文の一部だけ
を切り離して、自分に都合よく解釈して使うこと。」(『大辞林』第一版第一刷)C= (-。- ) フゥー