読書の厄介なところは、「喪神」を「鯨神」と勘違いしてしまうことである〇 o 。.~~━u( ゚̄  ̄=)プハァ
前に「喪神」のこと書いたなぁとブログ内検索もヒットしないと思ったら「鯨神」で検索してたよ(^_^;)
ちなみに、同じ芥川賞受賞作だけど「鯨神」の作者は宇能鴻一郎(^_^;) 「喪神」のこと書いたのは返信
コメ(⇒ https://yomubeshi-yomubeshi.blog.ss-blog.jp/2020-11-26 )ゆえヒットしないわけだ(+_+)

【読んだ本】

新潮社編『歴史小説の世紀 地の巻』(新潮文庫,2000)

「芥川の再来」と絶賛の作品(⇒ https://yomubeshi-yomubeshi.blog.ss-blog.jp/2021-07-07 )を
読んだので、本書から続けて芥川賞受賞作の五味康祐「喪神」を読んだ(^_^;) 剣豪小説だが、ルビが
無いと読めないし文体がかなり特徴的だけど、何故か頭にスッと入り、スイスイ読み進んでいくと、
アッ!と言わされた結末の数行( ̄◇ ̄;) 巻末の秋山駿&勝又浩&曾根博義&縄田一男による座談会
「歴史小説から日本人を考える」から縄田の発言を二つメモっておく(本書783頁)_φ( ̄^ ̄ )メモメモ

    縄田 それは時代小説の世界では大事件だったんです。というのは、
       宮本武蔵の求道主義がこれ[=「喪神」]で否定されたわけです。
       剣というのは今までは切磋琢磨して精神の修行をして奥儀に達する、
       というものだったのが、これで快楽肯定されてガラッと変わってしまった。


    縄田 ・・・五味は、この作品で、特異な精神を持った男の自殺を描いた、と
       言ってるんですね。・・・

前者にはナルホド!と思ったけど(といっても、吉川英治の未読だけど)、後者がぴんと来なくて
(大村彦次郎『時代小説盛衰史(下)』[ちくま文庫,2012]も「テーマは一人の男の自殺」とするも
同書が「多武峰山中に隠棲している老剣客瀬名波幻雲斎と、・・・若い哲郎太との間に展開する剣禅
一致の破天荒な物語」の「・・・」は不正確)、百目鬼恭三郎『現代の作家101人』(新潮社,1975)
が「・・・人間の防衛本能に根ざす不思議な剣法を編み出した幻雲斎の物語・・・」と書いてるのを
読んだ後、更に『芥川賞全集 第五巻』(文藝春秋,1982)所収の佐藤春夫の選評の次の件で、やっと
意味が解った(^_^;) 石川達三の選評によると〈・・・「喪神」を佐藤、坂口[安吾]、石川は認める
と云い、・・・〉とあるように、「喪神」を推した佐藤春夫の選評の一部を同書から引く(⌒~⌒)

    ・・・/「喪神」は先ずその練達な筆致が群を抜いて恰も幻雲斎の剣を思わせるものが
    ある。多く省筆ら用いて効果を挙げている。結末の如き描かず説かずそれでいて判る人
    には自然と判るようになっている。思うに幻雲斎は・・・のである。もう一度最初から
    読み直してみてから理解した。そうして最初に通読した時より以上に感心した。・・・

芥川賞の銓衡委員ですら「もう一度最初から読み直してみてから理解した」と言うんだから、小生が
「判」らなくても当然と思うとともに、佐藤春夫の〈読み〉に尊敬の念〇 o 。.~~━u( ゚̄  ̄=)プハァ
ところで、今回の枕の可笑しさも、「判る人には自然と判るようになっている」ということで(^_^;)