「私は青春の幻影、若者にしか見えない、時の流れの中を旅する女・・・」と優しく諭したか、あるいは
「それでも男ですか、軟弱者!」とビンタしたとか(^_^;)ヾ( ̄o ̄;)オイオイ この状況で後者はヘンだろ?
和泉式部に相応しいセリフが思い付かん(ノ_-;)トホホ… これも全て、太陽のせい・・ヘ(__ヘ)☆\(^^;カミュ?

【読んだ本】

小島孝之(校注・訳)『新編日本古典文学集52 沙石集』(小学館,2001)

    時雨する 稲荷の山の 紅葉ばは あをかりしより 思ひそめてき

ある小説に出てくる歌で(小説では「思しそめてき」となってた)、作者の創作なのか典拠があるのか
気になってたんだけど、浅見和彦(校注・訳)『新編日本古典文学全集51 十訓抄』(小学館,1997)で
見付けたヤッタネ!!(v゚ー゚)ハ(゚▽゚v)ィェーィ♪ 同歌が出てくる説話を同書の訳で引く(⌒~⌒)

    和泉式部が忍んで伏見の稲荷へ参詣することがあった。途中の田中明神の西のあたりで、
    時雨が降ってきた。どうしようかと思うのだったが、稲刈りをしている童から
    襖[あを]というものを借りて、大社に詣でた。帰りには空も晴れたので、
    借りた襖を童に返していった。/さて、次の日のこと、和泉式部が外の方を見ていると、
    体の大きい童が手紙を持って外に立っている。「そなたは何をしているの」と言うと、
    童は「この手紙を差し上げたく存じます」と言って、置いていった。それには、

      時雨降る稲荷山の紅葉の葉、青葉の時から、染まる日を思っている。
      あなたが襖を借りた、その日から、私はあなたの愛に染まりました

    と書いてあった。/和泉式部はこの歌に感動して、「奥にお出で」と言って、
    この童を呼び入れたということである。

「青かりし」と「襖借りし」、「染め」と「初め」、この二つの掛詞も解るように訳してるかと(^^)
なお、言うまでもないことだろうけど、時雨は木の葉を色づかせるもの、と考えられていた(⌒~⌒)

この和泉式部の「感動」を同書頭注欄の解説は「童の歌は文句ない出来映え。歌など詠みそうもない
稲刈童が詠んだということも式部を感動させたのであろう。・・・」とギャップ萌えも指摘(@_@;)
冒頭で言及した小説はこの説話を作中に活かしてるけど、農家の少年は「歌など詠みそうもない」と
その小説の作者も考えたらしく、ちょっとしたアレンジを加えて辻褄を合わせていた(^_^;) しかし、
「歌など詠みそうもない」まだ乳離れもしない幼女あるいは樵夫[木こり]が(優れた)歌を詠んだ
話は、源俊頼の歌論書『俊頼髄脳』や『宇治拾遺物語』『古本説話集』などの説話集に出ているので、
このギャップ萌えに関してはチト疑問(^_^;) 伊藤左千夫は「牛飼が歌よむ時に世のなかの新しき歌
大いにおこる」と詠んだけど、〈身分が低い人〉を始め様々な人々が『万葉集』以後も詠んでた(^^)

同書巻末の「神社名・人名・地名索引」から同説話に辿り着いたけど、「和歌・今様冒頭句索引」でも
見付けられたね(^_^;) また同書の「関係類話一覧」から、この説話の同話・類話が載っている作品が
他にもあることまで判ったv( ̄∇ ̄)ニヤッ その一つが『沙石集』なんだけど、本書には人名・地名索引
も和歌索引も無かった(´ヘ`;) 「関係類話一覧」も無いけど、286頁の頭注欄に「本話は『十訓抄』
第一〇・『古今著聞集』巻五・『袋草紙』上に見える。・・・」と解説してた(^_^;) 本書285~286頁
に載ってる当該説話の訳を引く(⌒~⌒)

    一、和泉式部が稲荷大社に詣でた時に、田中明神の辺りで時雨にあい、
    どうしようもなくて、田を刈っていた童が来ていた襖というものを借りて、
    被ってお参りをした。さて雨が止んだので、帰り際に襖を返した。その後、
    二、三日過ぎて、この童が手紙を持って来た。見ると、

      時雨する……(時雨の降る稲荷山の紅葉が青かった時、
      あなたが襖を借りに来た時から、あなたのことを想い始めたことです)

    中へ呼び入れたのであった。何を言ったのだろうか。

ガキのくせにおねーさんをからかうもんじゃないわオホホホ( ^^)/~~~~ ピシッ!といった説教を想像しろと
仏教説話集らしく読み手に期待してるのかな(^_^;) この説話は和泉式部の多情なイメージには合致も、
藤原清輔の歌学書『袋草紙』は「民間の伝説だから信用できないであろう」(小沢正夫&後藤重郎&
島津忠夫&樋口芳麻呂『袋草紙注釈 上』[塙書房,1974])と否定しているからね(^_^;)

さてさて、ある小説が、この説話を巧~く活用して余情ある短篇に仕上げていたことまで判ったけど、
ネタバレになっちゃうかもしれないので、作者名と作品名は秘密にしとく〇 o 。.~~━u( ゚̄  ̄=)プハァ