松田わこ(富山市)「模擬試験第6志望まで書いて私が私じゃなくなっていく」を今朝の「朝日歌壇」は
高野公彦、永田和宏、馬場あき子、佐々木幸綱の全選者が選び、しかも永田、馬場、佐々木が1首目に
選んでるのも納得だが、第6志望まで書かせるのは単に上位の志望校にミスマッチが多い事実を意味し、
客観的な自己認識・評価が出来ない人が多いだけで、「第6志望」こそ実は本当の「私」なのかも(^_^;)
向かいの豪邸に今日も来ている剪定の業者、通りがかりの恰幅がよい、てゆーか、札束でも詰ってるん
じゃないかと思いたくなる立派なお腹のお爺さんからスカウトされたか連絡先を書いて渡してた(^_^;)

【読んだ本】

新田次郎『怒濤の中に』(文春文庫,1979)所蔵本

一昨日の「詩吟艦長」、昨日の「航路」「渦」「怒濤の中に」に続き、「砂丘の歌」「迷走台風」の2篇
を読んで本書も読了(⌒~⌒)

短篇「砂丘の歌」は打ち寄せる波で新潟の海岸線が浸食されるのを防ぐための工事の現場で多数の人夫
から蹴られ殴られている男を目撃した旅館を経営する父と幼い娘、こんな工事は無駄だと言うその男を
家に連れて行き、下働きとして雇うことにしたが、ある時、娘の算術の問題を次々と解き、家庭教師も
すぐには解けなかった難問すらあっさり解いてみせた・・・松本清張ばりのストーリーだった( ̄◇ ̄;)
小松伸六「解説」も「運命奇談だが、うまさのまとまりからいえば、この作品集中、第一。」と評(^^)

短篇「迷走台風」を再読(^_^;) この作品のモデルとなったのは、日本を代表する気象学者の荒川秀俊が
『お天気日本史』(河出文庫,1988)で取り上げている次の一件(-ω-、)

    ・・・/大正十(一九二一)年九月二十五日午前九時ごろ、奄美大島の東方三百キロ、
    高知の南方五百キロの海上に強い台風があった。ふつうならば、このコースをとる台風は
    北東に進み関東地方の南を通りぬけ東方海上に去る。ところがこの台風は急に進路をかえ、
    急ピッチで北に進みはじめた。紀伊半島を縦断し近畿地方を席巻して、二十六日の
    午前九時には能登半島沖の日本海に出た。・・・/[富山県の]伏木でも二十六日未明から
    風が強くなり、最大風速は毎秒二十六・八メートルに達した。伏木港内外は暴風激浪のため
    千二百五十隻もの漁船が沈没し、死者は四百人にのぼった。・・・/この夜も伏木測候所には
    若い技術員がひとり当直していたが、突然のことで適切な処置をとることができず、
    翌朝大森虎之助所長が出勤したときには、すべてが手遅れとなっていた。当然のことだが、
    これは富山県下の大問題となり、新聞も筆をそろえて測候所の失策を非難した。
    大森所長はこの批判に甘んじた。黙々と事務を整理し、経過報告書を作り、
    遺書をのこして、十一月二十六日魚津埠頭に身をなげた。/・・・

この「悲しい出来事」を松本清張も吃驚なドロドロした作品に仕上げたのが、新田次郎の「迷走台風」
(ネタバレだがストーリーを要約⇒ https://yomunjanakatsuta-orz.blog.so-net.ne.jp/2015-10-02
なんだけど、調べていくと、ディテールの部分で『お天気日本史』の上記の記述よりも同作品の方が
正確と判り、そうなると、同作品が描き出した〈真相〉も正しいような気がしてくるよヒィィィィィ(゚ロ゚;ノ)ノ
昨年の台風12号を迷走台風と呼ぶ無教養人は大谷東平『台風の話』(岩波新書,1955)を読めヾ(`◇´)ノ

・気象庁も財務省の如く「記録」を破棄したか、或いは朝日新聞の誤記かヾ(`◇´)ノ彡☆コノ!バカチンガァ!!

 ⇒ https://yomubeshi-yomubeshi.blog.so-net.ne.jp/2018-07-28
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