読書の厄介なところは、目利きだと、結果としてベストセラーになることである〇 o 。.~~━u( ゚̄  ̄=)
ベストセラーだから買ったんじゃないと周囲に言い訳しそうなところが自称読書家の面倒臭いとこ(^_^;)

【読んだ本】

塩澤実信『あの人 この人 思い出の記』(展望社,2021)

読了(^o^)丿 本書は旧稿19篇を収録しており、内容を一部補記してメモしておこうか_φ( ̄^ ̄ )メモメモ

    はじめに

    昭和の大女優 高峰秀子 ─筐底から発掘した資料[川口松太郎]をめぐって─

    焼け跡に響くメロディーをみんなで口ずさんだあの日(ペギー葉山×塩澤実信)

    新聞界の惑星・岡村二一 ─竹馬の友・熊谷寛との友情─

    小宮山量平[理論社]を支えた飯田人 ─山村書院創業者[山村正夫]の血を継ぐ山村光司─

    作曲家 遠藤実を悼む ─中山晋平の衣鉢を継ぐヒット・メーカー─

    〝土俵の鬼〟 若乃花の肉声 ─相撲史上空前絶後の一族の開祖─

    信州出版人[高橋将人・郷土出版社→一草舎出版]かく戦えり

     ─一草舎出版さよならキャンペーンに寄せて─

    九十代 大先達むのたけじ[武野武治『たいまつ十六年』『詞集たいまつ』]の導き

     ─八十歳になっても人生はこれから─

    写真から読む政治的人間の相貌

    快楽主義者・団鬼六との交遊 ─辿った道は〝水と油〟だったが─

    半藤一利『日本のいちばん長い夏』の真相 ─六十五年目の八月十五日に寄せて─

    松下宗之(朝日新聞元社長)と母校の優勝 ─定時制から東大・マスコミ最高峰へ─

    文豪井上靖の気くばり

    国民作家 司馬遼太郎の手紙

    恩師布川角左衛門の言葉「ゆっくり急げ」

    大藪春彦と『野獣死すべし』

    山田風太郎と『くノ一忍法帖』

    阿佐田哲也と『麻雀放浪記』

    文士・文豪の笑える話[大宅壮一の面白ばなし・流石に漱石!・東野圭吾のユーモア]

塩澤実信『雑誌記者 池島信平』(文春文庫,1993)は所蔵既読で、本書118頁には笑っちゃった(^_^;)

    ・・・私はこの池島信平の評伝をまとめた後、菊池寛の伝記を書いてみたいと、当時
    健在だった未亡人へアプローチを計ったが、「今さら、思い出したくもありません」/
    と、孫の夏樹を通じ婉曲に断わられていた。/・・・

塩澤実信のベストセラーを中心とした出版史についての本も、書名は忘れたけど借りて読んだような
記憶もあるんだけど、本書128~129頁に次の指摘(@_@;)

    ・・・/『ベストセラーの光と闇』『昭和ベストセラー世相史』など何点かの
    ベストセラー周辺を辿った拙著を持っているが、それらの本を書くに当たって
    神田神保町の古書店を探り歩いた時、ある老舗の書店主に、往年のミリオンセラーの
    書名をあげて在否をただしたところ、「そういう本は場末で探したらいいでしょう。
    この町ではベストセラーなどゴミですからね」と吐きすてるように言われたことが
    あった。/一時代を画した話題の本やマス・マガジンは、大量に刊行されたが故に
    古書市場から消え、愛書家の書架にも、「ベストセラーに良書なし」のリゴリズムで、
    架蔵されない類だったのだ。/・・・

自称読書家はお高くとまってるから、ベストセラーなんか衆愚の極みと馬鹿にしてそうだしね(^_^;)
図書館にあるし何時でもブックオフ等で入手可能と考えて蔵書に加えない読書家もいそうだが(^_^;)

大藪春彦、山田風太郎、阿佐田哲也の3編は作家論だが、『麻雀放浪記』連載時の「週刊大衆」編集長
なので、色川武大『小説 阿佐田哲也』(角川文庫,1984)を読む上での補助線となる話もあったし、
他篇も取り上げられ言及されている人物の思い出話も面白いけど、やはり出版関係が興味深い(^。^;)

    ・・・出版社の実力は、創刊される雑誌の掲載広告と、連載小説にもっとも色濃く
    あらわれるものだ。そして、人気作家の面白い小説は、創刊初期の海のものとも
    山のものとも知れぬ雑誌の部数を支え、伸長させるのに大きな力を発揮する。/・・・

こう本書226頁にあるけど、今はどうかな(@_@;) また「東京タイムズ」は知ってたけど(本書50頁
に「東京タイムズの絶頂は、昭和二十三年代の三十六万部・・・」とある)、同社社長の岡村二一に
ついては知らなかったし、娯楽読物雑誌「ロマンス」と発行元のロマンス社の社長の熊谷寛のことも
全く知らなかった( ̄◇ ̄;) ともに塩澤実信と同じ村出身の由(@_@;) 本書の2~3頁と50頁から(^^)

    ・・・/戦後いち早く創刊された『ロマンス』は、甘美な誌名に叶った
    情調的な小説、娯楽読物を掲載して、たちまち出版界を制圧。『婦人世界』
    『少年世界』『トルーストーリィ』『フォトプレイ』などを創刊し、
    昭和二十年代前期には往年の講談社の顔色を失わしめる活躍を見せていた。/
    ・・・/だが、私が[同社の]アルバイトに拾われた頃、ロマンス社は
    社長の熊谷派と副社長の桜庭派に分裂して、訌争の真っ最中だった。当然、
    業績には陰りが出て、最盛期には発行部数八十八万部を豪語した『婦人世界』、
    八十三万部だった『ロマンス』の発行部数が激減しはじめていた。/看板雑誌
    の凋落に加え、訌争によって、戦後出版界の覇者ロマンス社の倒産は、
    昭和二十五年初夏にやってきた。/・・・


    ・・・東京タイムズ創刊三カ月後、出版局から派生した〝映画と歌の娯楽雑誌〟
    「ロマンス」は、昭和二十三年代に八十二万五千部を発行。「婦人世界」
    「少年世界」「スタア」「トルーストーリィ」「フォトプレイ」の六大雑誌を
    発行して、最盛期には「ロマンス社一社で、全出版界定期刊行物の三分の一を
    出した!」と豪語するまでになった。が、驕る者は久しからずのタトエを地で行き、
    獅子身中の虫に社は倒されてしまった。/・・・