都の休業要請の対象から書店は外されたのに古本屋が含まれてることについて〈都は「都民が生活する
上で必要不可欠かという観点で判断した」としている〉と朝日にあるが、ゴルフ練習場(屋外のみ)も
「都民が生活する上で必要不可欠」なんだね( ̄◇ ̄;) 緊急事態宣言で外出自粛でもゴルフの練習には
行ってもいいんだ(゚ロ゚;) コロナの影響か電気代が上がったぞヒィィィィィ(゚ロ゚;ノ)ノ もうTVは視ない(-ω-、)

【読んだ本】

粕谷一希『中央公論社と私』(文藝春秋,1999)

「中央公論」等の編集長として多くの論客・作家を世に送り出し、評論家を経て、雑誌「東京人」を
創刊した粕谷一希の回顧録で、老舗出版社が衰退していく過程を描くとともに、戦後史でもある(^^)
読了済だけど(ちなみに、「第二部 修羅と愛惜」は雑誌掲載時に読んだ)、再読することにして、
「第一部 回想」の「修業時代」「七十周年記念祝典」「『婦人公論』と『思想の科学』」の各章を
チンタラ読んできて、その第3回として今日は〈六〇年安保と「風流夢譚」事件〉の章を読んだ(^^)
前半の60年安保では「当時、学生のデモ隊に加わって看護婦役に徹していたという学習院大学の学生
だった塩野七生」の「清水幾太郎さんは、ハイヤーで来て、ハイヤーで帰ってしまったけれど、久野
[収]さんは学生と一緒にデモの座り込みをしていた」という「証言」(95頁)が面白かったけど、
後半は重い話(-ω-、) 両者の間に「週刊コウロン」(後に「週刊公論」)という週刊誌を発刊した話
があり、(拙ブログでは取り上げてこなかった)中央公論社衰退史としての一頁になるんだろうけど、
ソレに関連した話を98頁から引いておく〇 o 。.~~━u( ゚̄  ̄=)プハァ

    ・・・/しかし、[社長の]嶋中[鵬二]氏は用心深く、週刊誌を発足させると同時に、
    出版部で『世界の歴史』という大型プロジェクトを企画していた。貝塚茂樹・村川堅太郎
    ・池島信平監修という大変慧眼の監修者三人を選んだことが、この企画の成功の原因
    だったといえるだろう。東洋史、西洋史の実力者、それも西の京都と東の東京という
    京大と東大の協力という形を取り、しかも『文藝春秋』という大ジャーナリズムを
    成功させた東大西洋史出身、また菊池寛という天才的な歴史作家の薫陶を受けた
    池島信平を監修者に加えている。これは私は最近まで、中央公論社のアイデアかと
    考えていたが、宮脇俊三氏によれば村川堅太郎教授のアイデアだという。村川堅太郎氏が、
    歴史叙述の大切さを痛感され、アカデミーの研究者が往々にして、平明で面白い歴史記述に
    慣れていない現状を認識されていたことの証拠であろう。/池島さんはそのころは編集局長
    に収まり、現場を離れており、『中央公論』に「雑誌記者」という回想記を連載していた。
    そんなことで幾重にも中央公論社との縁が重なり、頻繁に中央公論社に出入りしておられた。
    そのため、/──池島信平はどちらの編集局長だ?/という皮肉ともジョークともつかない
    野次が文藝春秋社の中で飛んだという。/・・・

のどかな時代だ(〃'∇'〃) 回想記「雑誌記者」等を「競争相手の出版社、ライバル誌に堂々と執筆」
するなどなど、池島信平の「恵まれた境遇を、出版界では特殊と考えていたのである」とした上で、
塩澤実信『雑誌記者 池島信平』(文春文庫,1993)は「信平に、『世界の歴史』監修者の話が、東大
教授村川堅太郎からあったのは、出版に先だつ一年ほど前であった。」云々と、その経緯を嶋中鵬二
の証言なども入れながら詳述している(⌒~⌒) 目が留まったのは同書の次の件である( ̄◇ ̄;)

    『中央公論社の八十年史』を繙くと、そのくだりは次のように記されている。

      新生中央公論社の先鋒の役割は、新たに生まれた第二出版部が果たした。
      三十五年十一月「小説よりおもしろい」と銘うって発売され、週刊誌時代の
      財政の危機を救った『世界の歴史』(全十六巻別巻一)……『世界の歴史』は
      貝塚茂樹、村川堅太郎、池島信平を監修者として。池島は村川が推挽したのだが、
      ・・・

正確には『中央公論社の八十年』(執筆者は杉森久英)で、1965年に出ている(@_@;) 粕谷一希が
「池島信平を監修者に加えている。これは私は最近まで、中央公論社のアイデアかと考えていたが、
宮脇俊三氏によれば村川堅太郎教授のアイデアだという」(「あとがき」によると、1997年が初出)
と記すのが不審(@_@;) 『中央公論社の八十年』を参照したことは本書の53頁や79頁から判るが、
1965年刊の『中央公論社の八十年』の上記件を粕谷一希は「最近まで」読んでなかったのか(@_@;)