アイスやプリンを開けた時に蓋についたのもスプーンでとって食べる小市民〇 o 。.~~━u( ゚̄  ̄=)プハァ
毎日数冊読んでるから一日数回更新できるのに一日一回しか更新しない小市民オホホホホ!!♪( ̄▽+ ̄*)
32度もあるのに歩き廻ったのでマジ死にそうになり何度も木陰等で休憩して何とか帰宅できた(ノ_-;)ハア…

【読んだ本】

新田次郎『小説に書けなかった自伝』(新潮文庫,2012)所蔵本

この書名はかつて私小説が純文学の主流だった文壇を意識したものかと(@_@;) 自伝の形で自作解説
という感じで、新田次郎作品のブックガイドとして読めるし、〈如何にして作家になったか〉が随所に
語られているので作家を目指している人向けでもある(^^) モチ小生は前者の読書案内として(以上は
テンプレ)、「処女作のころ」「投稿作家の四年間」と読んできて今日は「直木賞受賞」を読んだ(^^)

    ・・・/今まで山のことばかり書いていたから、今度は海を狙った。たまたま、
    鳥島測候所員が、絶滅したと見なされていたアホウドリを鳥島で発見して
    新聞種になっていたころだったので、これをテーマとして離島における
    人間ドラマのようなものを書きたいと思った。/・・・

この「孤島」という作品は昭和30年に「サンデー毎日三十周年記念大衆文芸賞」の一等に当選した由、
読んでみたいな_φ( ̄^ ̄ )メモメモ んで、刊行された短篇集『強力伝』が翌31年に直木賞候補に(^o^)丿

候補作品になったために通信社が顔写真を撮りに来て、それとなく聞くと最有力と言ってくれたので、
帰宅して妻(藤原てい)に話すと、

    ・・・/〈そんなことがカメラマンに分る筈がないじゃあありませんか。
    おそらく候補者の顔写真を揃えるために廻り歩いていて、どこへ行っても
    そんなお世辞を云っているのでしょう。あなたは落ちるに決っています。
    面白くない小説ですものね〉とひどく冷たいことを云った。内心は
    どう思っているか分らないが、家内はときどきこのような云い方をした。/・・・

マジで嫌~な妻だが、こーゆー人でないと、「[満州国の]新京で終戦を迎え・・・[夫はソ連軍の
捕虜になったので独りで]・・・三人の子供をつれて三十八度線を歩いて越え、翌年九月に帰国。」
(本書所収の「新田次郎 年譜」)なんてことは、出来なかったのかも(@_@;)

隣家に電話があり(新田家には電話が無かったのかな?)、直木賞に決まったことを妻に知らせると、

    ・・・妻は/〈よかったわねえ〉/と云ったきりで、あまり嬉しそうな顔をしなかった。
    どうやら家内は、先のことを心配しているらしかった。[隣家の三輪さんの長女の]
    とし子さんがまた雪の中を走って来た。新聞社からの電話だった。直木賞受賞の感想を
    聞きたいという電話だった。まだそのような電話が来る可能性があったから、
    三輪さんの家の炬燵に当てて貰ったまま待った。電話は続けて三つほどあった。
    家へ帰って時計を見ると九時だった。積雪の重みで、家がみしみし鳴った。
    私は直木賞の重みを感じた。喜びより、不安が次第に増して行った。/・・・

初心者にも解るような技巧を駆使してるね(^_^;) そして、この〈不安〉が一貫して流れてる(@_@;)

翌朝、中央気象台へ出勤すると皆から祝福された由ヤッタネ!!(v゚ー゚)ハ(゚▽゚v)ィェーィ♪ また嬉しいことには、

    ・・・役所を辞めるのですか、などと云われはしないかと思っていたが、
    そういう言葉は聞かれなかった。/〈気象台、気象台、気象台と三度唱えて食べれば
    腐ったタコでも当らない、などと云われていた気象台から直木賞作家を出したことは、
    われわれ気象台員の誇りである〉/と私の手を熱っぽく握って云ってくれた人があった。
    私はほっとした。直木賞を貰っても、作家としてやって行ける自信は全くなかった。
    もし、気象台を辞めたら、一家が路頭に迷うことになるだろうと思っていた。・・・

しかし、新田次郎が気象台で属しているのは測器課なので、色んな検査機器があるんですねぇ( ̄◇ ̄;)

    ・・・/私は、この日戴いた[直木賞の正賞の]ロンジンの腕時計を、
    お茶の会(課員が私の受賞を祝って開いてくれた)でみんなに見せた。課内で一番、
    時計にくわしい男が、前年、ドイツから輸入したばかりの時計の検査装置のテスト台に
    載せて検査した。データを分析するとさすがにロンジンだけあって、
    当時の和製時計には見られないようなすばらしい記録が出たが、
    姿勢差(時計の置き方による記録差)が現われたのが気に入らなかった。/
    〈二、三日中に止りますよ、これ〉/彼はロンジンを見詰めながら云った。
    時計を長持ちさせることは、使うことである。定期的にネジを巻き、
    定期的に掃除に出すことである。直木賞だからと云って飾って置けば
    長年のうちには駄目になる。/私は授賞式の日から腕につけた。
    三日目にロンジンは果して止った。/このロンジンが止ったことは、
    私の文学的将来を暗示するように思えてならなかった。・・・

本書はメチャ面白いよ(〃'∇'〃) 新田次郎の「文学的将来」がどうなったのかを知っていてもね(^_^;)