歴史小説(≠時代小説)というのは結果が判ってるんだし結局は所謂結果論みたいなものか(@_@;)

【読んだ本】

松浦友久&植木久行(編訳)『杜牧詩選』(岩波文庫,2004)

本書をパラパラと眺めていたところ単に小生の好みということで目が留まった作品を、夕方の雲一つ
無い空にくっきりと大きく見えたこともあり、その訳とともに本書259頁から引くけど、例によって
一部の漢字は字体が異なる(^_^;)

      題元處士高亭 元処士の高亭に題す

    水接西江天外聲 水は西江に接す 天外の声
    小齋松影拂雲平 小斎は松影[しょうえい] 雲を払いて平[たいら]かなり
    何人敎我吹長笛 何人[なんびと]か我に長笛[ちょうてき]を吹くを教えて
    與倚春風弄月明 与[とも]に春風に倚[よ]りて 月明[げつめい]を弄[もてあそ]ばん

      元処士の高亭に書きつける

    門前の渓水[かわ]は、遠く西より流れくる江[おおかわ]と合流し、天の外[かなた]
    から波の音が聞こえてくる。/小さな書斎のそばには、松の樹が高くそそり立って、天空
    の雲に届かんばかり。/誰か私に長笛[ふえ]の吹き方を教えてくれまいか。/一緒に
    春風に身をゆだねながら、降りそそぐ月の光と戯れてみたいのだ。/

本書の語釈の一部も引いとくと、「松影」は「ここでは、松の形影[すがた]。」、「払雲」は「雲
に払[せま]り、雲を払いのけんばかりに、たくましくそそり立つさま。・・・」、「平」は「雲の
高さと等しい。」、「弄」は「戯れる、賞[め]でて楽しむ。」と本書260頁にあって、やはり語釈
にもちゃんと目を通すべきだなと改めて思う(^_^;) 正しく味わうには、加えて他の人の訳や注釈等
も併せて読むべきなので、とりあえず石川忠久『漢詩を読む 杜牧100選』(NHKライブラリー,2004)
から訳(同書75頁)と評釈の一部(75~76頁)もメモておこう_φ( ̄^ ̄ )メモメモ

    あずまやの近くの川が彼方で合流する長江、その波の音が聞こえてくるようだ。
    庵には高い松が雲を払うように枝を広げている。誰か私に笛を教えてくれまいか。
    ともに春風の中、さやけき月影とたわむれたいものだ。

    ・・・/春の夜、隠者の庵の松が枝は明るい月の光に照らされて静かな影を
    落としている。ここに笛の音が加わればいっそう興趣が増すのに、と作者は
    思う。その思いを抱かせたのは、一つにはもちろん眼前の月光と松影であり、
    もう一つは、静かな夜に彼方より聞こえて来る長江の波の調べである。/