描かれている人物が画の中から出てきて抱き締め頭を撫で撫でする展開じゃなくて良かった(^_^;)
やっと買う決心がついたのに今注文すると8月のカレンダーが届いちゃうから注文できぬ(´ヘ`;)

【読んだ本】

淸水龍山(閲)音馬實藏(譯)『國譯扶桑隱逸傳』(平樂寺書店,1930)所蔵本

藤原師輔の八男の高光少将の出家は当時の世間に衝撃を与えたようだけど、『扶桑隠逸伝』の中巻の
「藤高光」の項に泣けるエピソードが出ていたので、その件を本書の訳文で引く(:_;)

    ・・・高光嘗[かつ]て亞相師氏が女を娶りて。一女子を生す。時に年三歳。
    女子畫屛[がびやう]に衣冠の人あるを見ては。即ち爺爺[ぢゝぢゝ]と呼ぶ。
    覩[み]る者これを哀[あはれ]む。・・・

ルビは繰り返し符号も含め原文ママで不審だったけど、原文を見たら「爺[チヽ]々」じゃん(^_^;)

この件の典拠と思しき件を『栄花物語』に見付けたので、当該件を松村博司『日本古典評釈・全注釈
叢書 栄花物語全注釈(一)』(角川書店,1969)の口訳で引くv( ̄∇ ̄)ニヤッ

    ・・・[出家した高光少将は]多武峯という所に籠って、一生懸命修行をして
    おられたが、三、四歳ぐらいの姫君の大層可愛い方がいらっしゃった。少将は
    この姫君をやはりお忘れにならなかった。多武峯まで姫君を恋しく思う心は
    引続き(少将とともに)上って来て(山に来ても恋しさは忘れられなかったから)
    母[=「姫君の母で、高光の北の方(敦敏女)のこと。」]の御許に、姫君
    恋しさ故に便りを寄せ申し上げなさった。その姫君も、屛風の絵に描いた男を
    見ては、「お父様」と言って慕い申し上げなさった。・・・

本文は「かの児君も、屛風の絵の男を見ては、ててとてぞ恋ひきこえ給ひける。」だけど、とまれ、
誤りはあっても『扶桑隠逸伝』は簡にして要を得た要約で巧いなぁと感心したでごじゃるよ(⌒~⌒)