「これは凄いですよ、あの小野妹子の直筆ですからね。日本史赤点だった私にもどれだけ歴史的価値が
あるか分かります。」という冗談としか思えぬ返信コメに対し、19人も「そう思う」を押してた(^_^;)
昨日17:00配信の京都新聞〈源氏物語で最古の写本発見 定家本の1帖「教科書が書き換わる可能性」〉
というYahoo!トップ記事へのコメに対する返信にあったが、SSブログのnice!と同レヴェルかと(^_^;)

【読んだ本】

W.S.モーム(西川正身訳)『読書案内 世界文学』(岩波文庫,1997)所蔵本

プルースト『失われた時を求めて』を読破した人が少ないのは、とにかくメチャクチャ長いことと、
時間についての形而上学的小説という定評に読む前から既に挫折してしまう人が多いためかと(^_^;)

〈『失われた時を求めて』を読み通す方法〉と題された一篇が小林信彦『読書中毒 ブックレシピ61』
(文春文庫,2000)にある(^_^;)

    ・・・/ぼくは『失われた時を求めて』から〈時間〉の問題やら何やらを
    とっぱらってしまい、人間喜劇、巨大なユーモア小説として読んだ。
    少なくとも、若い時には、とてつもなく面白い小説だと思った。/
    同じころだったが、サマーセット・モームの『読書案内』(岩波新書)を読むと、
    ほぼ似たような感想が記してあった。/・・・

岩波文庫に収録された本書から小林信彦が引用している部分を含めて関係する件をそっくり引く(^^)

    ・・・彼[プルースト]の小説は繰り返しがじつに多い。その自己分析は、
    よんでいてうんざりする。また、彼がまるでものにつかれたように、
    退屈きわまる嫉妬心を執拗に追求しているのをよむと、どんなに熱心な読者でも、
    しまいには疲れてしまう。だが、彼の長所は、こうしたいくつかの欠点をゆうに
    つぐなってあまりがある。彼は偉大な独創的な作家であった。鋭敏な感覚、
    創造の才、人間心理にたいする洞察力をもっていた。だが、将来の人びとは、
    何よりも先に、おどろくべきユーモアの持主として、彼を迎えることだろうと、
    わたくしは考える。そこでわたくしは、このぼう大な小説をよむならば、
    まず最初からはじめ、退屈になったらとばしてよみ、しばらくしたら、
    また普通のよみ方にかえることをおすすめする。ただし、ヴェルデュラン夫人と、
    シャルリュ男爵のところは、一箇所でもよみおとすことがないように、
    注意なさるがよい。この二人の人物は、人間の喜劇的想像力が生んだ
    もっともゆたかな創造物で、当代他にその類を見ない。/・・・

「とばしよみ」を推奨しつつも「一箇所でもよみおとすことがないように、注意」すべき部分を指定
してるところが凄いね( ̄◇ ̄;) 「とばしよみ」で『失われた時を求めて』を読むことを小林信彦も
推奨しているわけだけど、

    ・・・/〈とばしよみ〉にもコツがいる。レンタル・ビデオで映画をみるときに
    〈とばす〉のにコツがあるように。/とはいえ、若干の予備知識がなければ、
    〈とばしよみ〉はできない。/・・・

として、『失われた時を求めて』を読む上での参考書を紹介し、「とばしよみ」のコツを語る(^_^;)

さて、木原武一『要約 世界文学全集Ⅰ』(新潮文庫,2004)のプルースト『失われた時を求めて』を
読んだけど(「要約」対象は新潮社刊の翻訳)、レトリックが頭にすうっと入って来ないね(´ヘ`;)
同性愛(百合)が描かれてるなど面白い件も少しはあったけど、はたして挑戦すべきかしら(@_@;)