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240922読んだ本

『猿の惑星』や飯森広一『アイン 人間を超える者』に文明ではなく文化の話は出てたっけ(@_@;)

【読んだ本】

高浜虚子『俳句はかく解しかく味う』(岩波文庫,1989)所蔵本

            人に似て猿も手を組む秋の風  珍碩

本書を読んでて一見して植木久行『唐詩歳時記』(講談社学術文庫,1995)に出てた漢代の「古歌」
(作者不詳)の「秋風蕭蕭として 人を愁殺す(深い愁いに沈ませる)」を踏まえた句と理解(^_^;)

だが、作者の浜田珍碩(洒堂)について、富山奏(校注)『新潮日本古典集成 芭蕉文集』(新潮社,
1978)が「二七、洒落堂の記」の頭注欄で〈・・・芭蕉の「軽み」の新風に随順し、芭蕉の期待する
門人であった。〉と記してて、この「軽み」を井本農一『芭蕉入門』(講談社学術文庫,1977)が、

    ・・・「軽み」の反対は「重み」です。芭蕉は重くない句を作ることを具体的には
    主張しています。/重い句というのは、第一に観念的な句です。理屈の句です。
    第二には、風流ぶった句です。わざとらしい風流の句です。第三には故事や古典に
    よりかかった句です。そういう句を排斥して芭蕉は俳諧の特色を発揮した軽みを
    強調します。/・・・

と説明してるのを読み、小生の理解は誤りだった(^_^;) この句を高浜虚子は次のように解説(^_^;)

    ・・・秋風の吹く頃はうら淋しく、どこかに寒さを覚えはじめるので、猿もじっと
    手を組んでおる。それが人に似ておるというのである。この句の如きは秋風のもの
    淋しさを現わそうとして、無心の猿もまた自然その物淋しさを知っておるという風
    に言ったところに、多少の厭味[いやみ]を持とうとしておる。元禄の句には質朴
    なところがあって、僅かにそれを救うておるのである。/

猿が寒がってる姿が「人に似ておる」なんて、如何にも(「180219読んだ本」で指摘した)無教養な
高浜虚子らしい蟹は甲羅に似せて穴を掘る解釈で、「厭味」の方こそ本筋だろと嗤ってたのに(^_^;)
なお、ネット上に「それを救うておる」の「それ」を「質朴なところ」と読み解いてる人がいたが、
「それ」は「多少の厭味」でしょ(^_^;) 「多少」は〈多いこと〉を意味し(「少」は助字)、この
句は「厭味」が多いが、「質朴なところ」によって「僅かに」ではあっても「厭味」を薄めてくれる
ということ(^_^;) 珍碩が〈芭蕉の「軽み」の新風に随順し〉た点から考えても、ソレが自然(^_^;)

この「芭蕉の新風の総結集」が『猿蓑』だが(井本農一『芭蕉入門』[講談社学術文庫,1977])、
白石悌三&上野洋三(校注)『新日本古典文学大系70 芭蕉七部集』(岩波書店,1990)所収の白石
悌三(校注)『猿蓑』を調べると、「人に似て 猿も手を組 秋のかぜ」として巻之三に入っていて、
その脚注欄に出ていた句意は次の通りなんだけど(同書291頁)、チト玉虫色のような気も(@_@;)

    蕭蕭たる秋風の中で、わが身を抱くようにしてうずくまっている猿の人めかしい
    しぐさが、どことなくあわれである。
タグ:俳諧 中国 古典
コメント(4) 
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コメント 4

tai-yama

手を組んだとして寒がっているかというと・・・・
手を擦り合わせてゴマスリかもしれない(笑)。
なお、最近の秋(9月)の風は熱風っ!
by tai-yama (2024-09-22 19:40) 

middrinn

「手を組む」=「腕組みする」なので、考え込む、物思いに沈むと
思いますよね(^_^;) 揉み手は寒い時もしますけど、胡麻擂りとは、
tai-yama様の蟹は甲羅に似せて穴を掘る解釈・・ヘ(__ヘ)☆\(^^;
by middrinn (2024-09-23 05:44) 

df233285

有ったとしても、虚構の世界での表現なので。シナリオラターに私は
感謝の気持ちは、余り感じないケースか。とちぎも20日迄は暑かっ
たと判る2つ前のコメに、最近チェックに御無沙汰状況の私は感謝。
さいたまと、例えばとちぎ中心の宇都宮では、同じ気象かどうかは
微妙にバラバラ。冬も極端に気温が違う朝とか、余り差が無い昼とか
が、とちぎとさいたまとで、ばらばらに混在が、21世紀の現状。
by df233285 (2024-09-23 09:05) 

middrinn

猿やチンパンジーが異常な知的発達を遂げるというストーリーで、人間が(秋風に)
感じるような情趣まで理解できるようにもなったっけ?とフト思った次第(@_@;)
by middrinn (2024-09-23 14:53) 

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