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240920読んだ本【バカチン】

「捨児の事実を信じない」「怪しいとにらんだ」人物を中山義秀も作品の中で登場させてる(@_@;)

【読んだ本(バカチン)】

白石悌三&上野洋三(校注)『新日本古典文学大系70 芭蕉七部集』(岩波書店,1990)

    ・・・/富士川のほとりを歩いて行くと、三歳ばかりの捨て子がかなしそうに泣いて
    いた。この子の親は、子供をこの川の急流に投げ入れて、ひと思いに浮世の苦労を
    断ちきってやろう、と思ったことだろうが、いざとなるとそれには忍びないで[ママ]、
    露ほどのはかない命のつきるまでは生かしておきたいと、こうして捨てて置いたので
    あろうか。小萩の当たる秋風のために、今宵は散るか、あすはしおれるかと気づかわ
    れるように、この子もいつまで生きられることかと、袂から食物を投げ与えて通り
    すぎた。その時こんな句をよんだ。

      猿を聞く人すて子にあきの風いかに

      [猿の声を聞いて断腸の思いをする人よ、つめたい秋風の中に泣いている捨て子の
       声をどう聞くか、猿の声といえどもこの捨て子の泣き声ほど悲痛ではあるまい。]

    ・・・

芭蕉の『野ざらし紀行』の一部を麻生磯次(訳注)『現代語訳対照 奥の細道 他四編』(旺文社文庫
,1970)の訳で(句意も)引いたけど、井本農一『芭蕉入門』(講談社学術文庫,1977)による読解も
引いておこう(@_@;)

    ・・・/「猿を聞く人」というのは、古来猿の鳴き声を聞くと断腸の思いがすると
    詩文に詠まれているからで、そんなことを詩文に詠んでいる詩人たちよと、自分を
    含めて詩人たちに呼びかけたのです。/猿の鳴き声を悲しいと聞くのは、いわば
    虚事です。そんな虚事よりも、この眼前の捨て子に吹く秋風の現実の悲しみを、
    君たち詩人はどう受けとるのかという問いを出したものです。・・・

「猿の鳴き声」としてるけど、正しくは「(子猿を捕らわれて悶死した)母猿の泣き声」であって、
「捨て子の泣き声」と比較するのはナンセンスかと(@_@;) 田中善信『芭蕉の学力』(新典社選書,
2012)は芭蕉の「漢詩や漢文を読解する能力」を疑問視するが、芭蕉の研究者のも怪しいね(@_@;)
この句の解説だけでなく、『猿蓑』の巻頭に据えられた芭蕉の「初しぐれ猿も小蓑をほしげなり」に
ついても本書所収の白石悌三(校注)『猿蓑』の脚注(本書261頁)が〈・・・「哀猿断腸」の旧套
を脱した。〉と評してるけど、正しい四字熟語は「母猿断腸」だよヾ(`◇´)ノ彡☆コノ! バカチンガァ!!
タグ:古典 俳諧 中国
コメント(2) 

コメント 2

tai-yama

小猿を捕られた母猿が捨て子を我が子のように・・・・
今の時代だったら、捨て子はクマの餌に!
by tai-yama (2024-09-20 21:41) 

middrinn

マッチングアプリみたいですが、母猿は「悶死」してます(@_@;)
by middrinn (2024-09-21 05:17) 

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