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220809読んだ本

うだつが上がらぬ夫を捨て他の男と再婚したら元夫が大出世した話、元妻はサゲマ・・ヘ(__ヘ)☆\(^^;
三原じゅん子の「恥を知りなさい!」という顔文字があれば二刀流だった〇 o 。.~~━u( ゚̄  ̄=)プハァ

【読んだ本】

吉川幸次郎『漢の武帝』(岩波新書,1949)所蔵本

    ・・・/この人物[=朱買臣]も、故郷の呉にいる間は、ひどい貧乏であった。木こりを
    なりわいとし、山で取って来た薪を背に負って歩きながら、本を読んでいるかと思うと、
    大きな声で歌い出す。やはり薪を背負って、あとからついて来る妻が、みっともないから
    およしなさいというと、一そう声をはりあげる。妻はとうとう離縁をもとめた。
     ──おれは五十になったら出世する。もうしばらくの辛抱だ。
     ──あんたみたいな人は、こごえ死ぬのがおちだわ。出世だなんて。
    そういって、妻は去って行った。/その後、朱買臣が、薪を背負って墓場のところを
    歩いていると、妻は新しい夫と一しょに墓まいりに来ており、もとの夫に食べものを
    めぐんだ。/その後、更に数年、朱買臣は、皇帝に上書して栄達を得べく、長安に出た。
    ・・・/そのうち朱買臣にも、栄達の機会が来た。/皇帝は朱買臣を故郷会稽郡の太守に
    任命して、紛争の鎮定を命じた。
     ──どうだ、どんな気がする。出世をしながら故郷に帰らないのは、闇夜に錦の着物を
     着るようなものだというからな。
    皇帝は、磊落[らいらく]に、そう笑った。/・・・そこへ政府さし廻しの四頭立ての
    馬車が着いた。朱買臣は、意気揚揚とそれに乗って、故郷にむかった。/故郷へはいると、
    新太守の着任というので、人民がかり出されて、道路掃除をしている。もとの妻の新しい
    夫もその中にいた。朱買臣は車をとめて、夫婦を随行の車に乗せ、官舎に連れて行って、
    飯をくわせた。妻ははじて、自殺した。/このすこし面白すぎる話は、しかしやはり
    「漢書」の列伝に、ほぼこの通りに記載されている。/・・・

「すこし面白すぎる話」は省略したオホホホ!!♪( ̄▽+ ̄*) 班固(小竹武夫訳)『漢書5 列伝Ⅱ』
(ちくま学芸文庫,1998)の「厳朱吾丘主父徐厳終王賈伝第三十四上」の朱買臣伝と読み比べると、
細か~い違いがあり、小生の問題意識と関係するのは、「買臣は妻を引きとめることができず、すぐ
離縁を承諾した。その後、買臣は独りで道を歩きながら歌い誦[よ]み、墓地のあたりで薪を背負う
て暮していた。もとの妻とその新夫が共に墓参りして、買臣が饑え凍えているのを見、呼んで飲食を
させたことがあった。」(同書584頁)、「呉の境内に入ると、彼のもとの妻とその夫が道路を修繕
しているのを見かけた。買臣は車をとめ、呼んで後車にその夫妻を載[ママ]せ、太守の邸に着くと、
二人を園中に置き、食事を給した。一カ月ほどたって妻がみずから首をくくって死んだので、買臣は
その夫に銭を与えて、葬らせた。旧友をことごとく召して引見し、ともに飲食し、またもろもろの、
かつて恩を受けた者には、すべて恩がえしをした。」(同書586頁)といった件かな_φ( ̄^ ̄ )メモメモ

なお、駒田信二『中国故事 はなしの話』(文春文庫,1981)に〈・・・何年かして、太守として郷里
へ赴任したが、そのとき、かつての妻がはだしで歩いているのに出会った。女はいやしい男の妻に
なっていたのである。出世をした朱買臣を見て女はおどろき、不明をわびて復縁を請うたが、朱買臣
は「覆水盆に返らず」といってことわったという。/この話は明の馮夢竜が編んだ白話(口語)の
短篇小説集『喩世明言』の第二十七巻「金玉奴、棒もて薄情郎を打つ」という一篇の入話[まくら]
として使われている。〉らしいが、『漢書』と比べて「女」も朱買臣も矮小化されちゃった感(^_^;)

さて、さて、さ~て! うだつの上がらない夫を見捨てて、妻は新しい男と結婚も、後に大出世した
元夫と再会し、恥じて死んでしまったという展開は、『伊勢物語』の第60段と似てませんかね(^_^;)
恥じて死ぬのは中国的すぎるので、女は恥じて出家して山に入ったことに改変されてるけど、同段は
『漢書』の朱買臣伝と『古今和歌集』の「五月待つ花橘の香をかげばむかしの人の袖の香ぞする」を
素材に物語化したのではないかと(^_^;) ネット検索すると、糸井久が既に指摘してたが(未見だが、
後藤幸良のもソレっぽい)、手元の『伊勢物語』の各注釈書で朱買臣の話に言及しているものは一つ
も無い( ̄◇ ̄;)エッ!? 『伊勢物語』研究の第一人者である片桐洋一の『伊勢物語全読解』(和泉書院,
2013)も同様で、『漢書』や『史記』も読んでいないその無教養ぶりから予想通りだったとはいえ、
片桐洋一は小島憲之&新井栄蔵(校注)『新日本古典文学大系5 古今和歌集』(岩波書店,1989)を
批判して「・・・現代の注釈書が、このようなあやしい出典に依拠することは、許されるものではな
いのである」と大見得を切ったのが天唾だった以上、恥じて出家して山に入るべ・・ヘ(__ヘ)☆\(^^;

・教養があれば不審に思うはずで、なくても出典確認は研究のイロハヾ(`◇´)ノ彡☆コノ! バカチンガァ!!

 ⇒ https://yomubeshi-yomubeshi.blog.ss-blog.jp/2022-08-07
タグ:伝記 中国 古典
コメント(8) 
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コメント 8

tai-yama

うだつの上がらない、男と女が増えすぎると少子化・・・
結婚したとしても稼ぎの悪い男は捨てられるのは今も昔も同じ(悲)。
by tai-yama (2022-08-09 23:52) 

ナベちはる

大出世したときの元夫を見て「離婚しなければ…」というのと自分と離婚したから大出世したというのが入り混じって、複雑な気持ちになりそうです(^^;)
by ナベちはる (2022-08-10 01:48) 

middrinn

ツーリングで完食することにお金を費やしてるから、
tai-yana様は捨てられてしまったと(´;ω;`)ウッ…
by middrinn (2022-08-10 05:49) 

middrinn

もしも復縁したら、またうだつがあがらぬ状態に、
ナベちはる様、戻ると心配するわけですね(^_^;)
by middrinn (2022-08-10 05:59) 

df233285

三原じゅん子氏は若いころに、「なんか、こういま一つ」
という相手と、付き合っているという旨のイメージを、
芸の上で持たされていた事実があると、私は認識して
います。解消の無い男なら、子供が出来無い方が行く行く
良いという事になる疑いが濃いという事に、本文文頭の
趣旨の如くになりますが。それと、子供が出来ないのを
どうにかする為、「甲斐性の有無にかかわらず、保険で
治療出来るようにする」事とは、どうかかわるのでしょう?
本人に、公開質問するべきか(笑)。
by df233285 (2022-08-10 09:15) 

middrinn

今は「三原順子」じゃないのか!?と今回wikiを
見たぐらいなので、小生は全く知りません(^_^;)
by middrinn (2022-08-10 09:36) 

df233285

すみません2つ前訂正。史料は再見して正確に書くべきでした。
「なんか、こういま一つ」→「なんか こう イマイチ」。
イマイチは筆記はカタカナ書き表現の模様。三原じゅん子氏。
当時アイドル名、三原順子と表示。史料は西暦1980年前後
成立ですが、現在web上を探しても、簡単には出てこ無いです。
by df233285 (2022-08-11 07:58) 

middrinn

格差婚というのは、ともに好感度を上げそうですね(^_^;)
by middrinn (2022-08-11 08:48) 

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