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220516読んだ本

ミステリーでの真犯人等は論外だが古本の鉛筆による書き込みは広範囲でないなら許容( ̄ヘ ̄)y-゚゚゚

【読んだ本】

萩谷朴『おもいっきり侃侃』(河出書房新社,1990)所蔵本

1968年10月初出の「歌合と能と古今」という本書所収の一篇が面白い(⌒~⌒) 『草子洗小町』という
能の演目の筋書(「まことに荒唐無稽な話」でアホくさだが)を述べてから次のような話に( ̄◇ ̄;)

    ・・・こんな作り話の中にも、一つの教訓が含まれている。というのは、歌集などの
    古写本に後人が参考のために、似たような歌を書き込んでおくということがよくあるが、
    それを転写した人が、間違えて、その注記した歌を本行の本文に取り込んで写して
    しまうこともすくない例ではない。本文批判という学問は、そのようにして出来た
    本文誤謬を訂正することをも一つの目的としているのであるが、それについて、
    面白い話を古筆研究の最高権威田中親美先生から、直々に承ったことがある。/
    尾上柴舟博士といえば、歌人として書家として、また国文学者としても、誰知らぬ者
    のない大家であった。博士が『校註古本古今和歌集』という本を著す時、三井家蔵の
    伝俊頼筆『元永本古今集』を底本に使用したかったが、何分三井家秘蔵の美術品で
    あるから、原本を拝見するわけにはまいらない。やむなく一策を案じて、斯道の先輩で
    御歌所の寄人であった故人の大口周魚さんが、曾て写して置かれた元永本のノートを
    拝借して、元永本の本文を初めて活字にしたものである。ところがその本を親美先生が
    見ると、どうもおかしい。何しろ古今の歌は全部暗んじ、元永本は直接模写もすれば、
    一部の木版複製も出された親美先生だから、流布本の古今にも、元永本にも無い歌が
    何首かまじっていることに気がつかれた。/よくよく事情を調べて見ると、尾上博士の
    仕事は右のような次第で、大口さんが元永本のノートに参考のために書き込んで置いた
    歌を全部、元永本の本文だと思って活字にしてしまったものだということが判明した。
    ・・・

「・・・これにはまだ後日談がついている。」として紹介された話も超面白いけど、怖いねぇ(^_^;)
前にも何度か取り上げたけど、『源氏物語』の冒頭の「いづれの御時にか女御更衣あまた・・・」は
伊勢タンの家集『伊勢集』の最初の歌の詞書冒頭の「いづれの御時にかありけむ」のパクリであり、
西本願寺本『伊勢集』に「寛平のみかどの御時」とあるのは「いづれの御時にか」の傍らに付された
注記の「寛平」が紛れ込んだものだろうとする説が、やはり説得力があるように思えてくるな(^_^;)

・「I助教授を学界から抹殺」しようとした「T大国文科主任教授H博士」とはアノ人だよね(@_@;)

 ⇒ https://yomubeshi-yomubeshi.blog.ss-blog.jp/2022-05-13

・「I中将」が誰かは判らないけど、どうやら「K中将」はサイテーな野郎(ノ ̄皿 ̄)ノ┫:・’.:

 ⇒ https://yomubeshi-yomubeshi.blog.ss-blog.jp/2022-05-15
コメント(4) 
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コメント 4

tai-yama

作者本人が書いた原本なんて、ものすごい希少品ですし・・・
昔なので手書き写しですし、写し間違いだってあるし。
説明文の転写(しかしない私)ですら誤字脱字あるし(笑)。
by tai-yama (2022-05-16 23:23) 

ナベちはる

ネタバレにもつながるので、真犯人を書かれるのは論外ですね(+o+)
by ナベちはる (2022-05-17 01:15) 

middrinn

説明版に後人の書き込みが混入してないか、
tai-yama様も本文批判をしないと(^_^;)
by middrinn (2022-05-17 06:25) 

middrinn

「 ← 犯人はコイツ」という書き込みを、
ナベちはる様、見たことあります(^_^;)
by middrinn (2022-05-17 06:36) 

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