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220321読んだ本

西行はパラレルワールドを漂泊(^o^)丿ヾ( ̄o ̄;)オイオイもう一つの中世があったと聞くとすぐソレか!
ひたすら尾根道を歩いて宗教世界(お寺&お墓)まで往復も疲れて知識世界(図書館)に寄れず(..)

【読んだ本】

久保田淳『旅と草庵の歌人 西行の世界』(日本放送出版協会新コンパクト・シリーズ,1988)所蔵本

昨日も応地利明『絵地図の世界像』(岩波新書,1996)の「外浜は、津軽半島基部の日本海沿岸地方を
さす古称で、中世初期のころには日本国家の東の境界と考えられてきた。」という一文を金科玉条の
如く振り翳したけど、実は「中世初期」には「外浜」とは別の「日本国家の東の境界」を挙げる論も
あった( ̄ヘ ̄)y-゚゚゚ まさか、日本には〈もう一つの中世〉が存在し・・ヘ(__ヘ)☆\(^^;SFかよ!
西行は「中世初期」の歌人だが、彼の歌とその解説を本書から引くv( ̄∇ ̄)ニヤッ

    ・・・/詠まれた年代も事情もわからないままに、ただ「題しらず」として一括されて
    いる百首余りの雑歌の中に、

     むつのくの奥ゆかしくぞ思はゆる壺の石文外の浜風

      みちのくのその奥が見たい、知りたいと思われるよ。辺境の地に立つ
      壺の碑といい、外の浜を吹く荒々しい潮風といい……。

    という一首がある。壺の石文(碑)は陸奥国の歌枕であるが、それが背負わされている
    意味は先に述べた武隈の松と同様であると考える。/僧顕昭が中世初期に著した歌語辞典
    ともいうべき『袖中抄』には、「石文」という語を解説して、次のように記している。

      顕昭云、石文とは、陸奥の奥につも[=壺]の石文あり。日本の東のはてと
      言へり。但し、[坂上]田村[麻呂]将軍夷を征するの時、弓のはずにて
      石の面に日本の中央のよしを書付けたれば、石文と言へり。・・・

「中世初期」には「陸奥の奥」にある「壺の石文」が「日本の東のはて」とオホホホ!!♪( ̄▽+ ̄*)

片桐洋一『歌枕 歌ことば辞典 増訂版』(笠間書院,1999)も「つぼのいしぶみ【壺石文・壺碑文】」
の項で「今の青森県上北郡七戸町近くの壺という所にあったと伝える石碑。」とし、顕昭(藤原顕輔
の猶子で清輔の義弟の歌人・歌学者)の歌学書『袖中抄』の上記件を初見とする(^^) 「壺の石文」は
歌枕・歌語として慈円が用いた贈歌に源頼朝も用いて詠んだ返歌は『新古今和歌集』入集(浅見和彦
[校注・訳]『新編日本古典文学全集51 十訓抄』[小学館,1997]も取り上げてた)も上宇都ゆりほ
『源平の武将歌人 コレクション日本歌人選 047』(笠間書院,2012)が坂上田村麻呂将軍の奥州平定
を暗示して頼朝の奥州合戦を重ねたと指摘するように「日本の東のはて」の含意ではないけど(^_^;)
「壺の石文」は西行や藤原清輔その他の歌人に詠まれてきた歌枕ゆえ、松尾芭蕉は『おくのほそ道』
の旅で「壺の碑[いしぶみ]」を実見して感激しており微笑ましいが、ソレは多賀城碑で別物(^_^;)
久保田淳『花のもの言う 四季のうた』(岩波現代文庫,2012)から引く(^_^;)

    ・・・/しかしながら、清輔や西行の歌った壺の碑は江戸初期に発掘されたという
    多賀城のそれではなく、それこそ陸奥のもっと奥の方の碑をさすのではないかという
    ことは、既に江戸後期の人が考えている。それは『居行子』の著者西村遠里と、
    『笈埃随筆』の著者百井塘雨である。・・・
タグ:和歌 歴史 地理
コメント(6) 
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コメント 6

tai-yama

西行の時代で青森に行ったとしても多分、言語は通じなかったかも。
今でも素の青森弁は翻訳が必要ですし(笑)。
by tai-yama (2022-03-21 23:04) 

ナベちはる

宗教世界まで往復してからの知識世界は、距離的に辛そうです…お疲れ様です(;`・_・´)
by ナベちはる (2022-03-22 01:35) 

middrinn

全国に足跡を残した弘法大師も、言語は、
tai-yama様、通じたんですかね(^_^;)
by middrinn (2022-03-22 06:55) 

middrinn

昨日は帰宅してから、足が痛くて痛くて、
ナベちはる様、予想以上に疲労が(^_^;)
by middrinn (2022-03-22 07:06) 

yokomi

日本という島には陸奥の先に〈もう一つの中世〉が存在したのでしょうね。津軽弁はフランス語学者に解読させれば良いかと(^_^;) 
by yokomi (2022-03-24 10:30) 

middrinn

坂上田村麻呂の「日本の中央」なる文言の解釈にも関わる
論点で、どこまでが「日本」なのかにもよるかと(^_^;)
by middrinn (2022-03-24 15:40) 

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