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211123読んだ本

読書の厄介なところは、カゼの色で箱の症状が異なるというイミフである〇 o 。.~~━u( ゚̄  ̄=)
てゆーか、ウチは「パブロン ゴールドA」しか置いてないみたいだけど〇 o 。.~~━u( ゚̄  ̄=)

【読んだ本】

久富哲雄(全訳注)『おくのほそ道』(講談社学術文庫,1980)所蔵本

堀河女御こと藤原延子(藤原顕光の娘)は、結婚した敦明親王(三条天皇の子)が皇太子の地位から
自ら降りてしまい、皇位におつきになると思ってたのにと嘆いた歌が『大鏡』にも引かれて有名だが
(⇒ https://yomubeshi-yomubeshi.blog.ss-blog.jp/2020-03-01 )、『後拾遺和歌集』でその歌の
次に入ってる彼女の歌を犬養廉&平野由紀子&いさら会『笠間注釈叢刊18 後拾遺和歌集新釈 上巻』
(笠間書院,1996)の訳で引く(⌒~⌒)

     おなじ院たかまつの女御にすみうつりたまひてたえだえになり給てのころ、
     松かぜのこころすごくふきはべりけるをききて

    松かぜは いろやみどりに ふきつらん ものおもふ人の 身にぞしみける

      同じ院[=小一条院=敦明親王]が高松の女御[=藤原道長の娘の寛子]のもとへ
      移り住まれるようになって、(こちらへは)途絶えがちにおなりになった頃に
      松風が寒々しく吹きましたのを聞いて

     松風は緑色に吹いたのでしょうか、思い沈む身をその色に染めるように、
     しみじみと身に染みたことです。

敦明親王は皇太子の地位と引き換えに院号(小一条院)等とともに藤原道長の娘の寛子をも得たが、
延子は心労で亡くなってしまう(;_;) むしろ道長や小一条院に取り憑くべきだっ・・ヘ(__ヘ)☆\(^^;

さて、同書(分担執筆者は有馬雅子)はこの歌に関して次のように指摘〇 o 。.~~━u( ゚̄  ̄=)プハァ

    ・・・風の色は本来見えないはずだが、身にしみて感じられるからには
    色があるだろうという発想。

よみ人しらずの歌を木船重昭『笠間注釈叢刊13 後撰和歌集全釈』(笠間書院,1988)の訳で引く(^^)

    吹く風は 色も見えねど 冬来れば ひとり寝る夜の 身にぞしみける

     吹く風は、色も見えないけれど、冬が来ると、ひとり寝る夜のわが身に染みて、
     その寒さ、わびしさが、身にしむことよ。

『古今和歌六帖』にも作者名不記で「吹くれば身にもしみける秋風を色なき物と思ひけるかな」、
『詞花和歌集』にも和泉式部の「秋ふくはいかなる色の風なれば身にしむばかりあはれなるらん」、
『新古今和歌集』にも藤原秀能の「吹く風の色こそ見えね高砂の尾上の松に秋は来にけり」が入って
いるところをみると、和歌の世界では〈風には色が無い〉ことになっているように思える(@_@;)

               石山の 石より白し 秋の風

久富哲雄は芭蕉が詠んだこの句を本書で次のように読み解いているよん〇 o 。.~~━u( ゚̄  ̄=)プハァ

    ・・・曝[さ]れて白い「石山の石」よりも秋風の方が白く感じられると言う
    のである。これは、秋風を五行(木火土金水)に配して金、色に配して白、
    すなわち素風としたことに基づくもので、芭蕉は、秋風を、白く身にしむ
    色のものと観ずる文学伝統にすがり、前文の「殊勝の土地也」と述べた気持を
    この「白し」に託して、一句を成したものと考えたい。/

上記例を見る限り、そんな「文学伝統」は我が国には存在しないような(@_@;) だけど、芭蕉は和歌
(⇒ https://yomubeshi-yomubeshi.blog.ss-blog.jp/2018-03-06 )に加えて漢詩文の「文学伝統」
にも連なっており(⇒ https://yomubeshi-yomubeshi.blog.ss-blog.jp/2021-11-02 )、植木久行
『唐詩歳時記』(講談社学術文庫,1995)は次のように指摘する( ̄◇ ̄;)

    ・・・/秋風は、商風・金風[きんぷう]・素風・凄風[せいふう]・高風・
    激風・悲風・清風などと表現されるが、松尾芭蕉は、元禄二年(一六八九)、
    加賀の国の那谷寺[なたでら]に参詣したとき、「石山の石より白し秋の風」
    という句を詠んでいる。「白し」は、眼前の石や岩の色の白いという意味の
    ほかに、秋風のもつ、一種の冷やかな透明感を表現している。李賀の詩
    (「南山田中行」)の「秋野明らかに 秋風白し」なども意識していよう。
    白は秋の色でもあった。/・・・

その貫録から深読みさせられてる気もしないでもないけど、芭蕉は漢詩文に詳しい印象があるから、
然もありなん、と思ってしまう(^_^;) しかし、藤原顕輔(清輔の父)も歌道の六条藤家のドンだから
深読みしても不自然ではなく、松野陽一(校注)『和泉古典叢書7 詞花和歌集』(和泉書院,1988)は
和泉式部の上記の「秋ふくはいかなる色の風なれば身にしむばかりあはれなるらん」について補注で
次のような指摘をしている( ̄◇ ̄;)

    「吹きくれば身にもしみける秋風を色なきものと思ひけるかな」(古今六帖秋風)に
    拠る発想と見てよいが、詞花集撰者[藤原顕輔]は五行説による「秋風」は「白」故
    「染まない」という発想源で解したかもしれない。[藤原]定家の「白妙の袖の別れに
    露落ちて身にしむ色の秋風ぞ吹く」(新古今恋五巻頭歌)や[藤原]良経の「風の音に
    今日より秋の立田姫身にしむ色をいかで染むらむ」(正治初度百首)に影響を与えた
    可能性がある。この二首は明らかに(紅涙、紅葉による)紅い色の風である。・・・

定家の歌について、窪田空穂『完本新古今和歌集評釈 中巻』(東京堂出版,1964)が「・・・秋風は
身に染みはするが色はないということが詩的常識となっていた。今はそれを、身にしむ色のある秋風
と変えている。」とし、久保田淳『新古今和歌集全注釈 五』(角川学芸出版,2012)は〈・・・涙は
紅涙で「身にしむ色」も紅を暗示させる色と見るのが、・・・多くの注釈の見方である。〉として、
〈秋風が白いというのは漢文学からもたらされた常識であったであろうから、「身にしむ色の秋風」
は、白以外と考えるのが自然であろう。」とする(@_@;) 久保田淳が特に引用・紹介しているのが、
石田吉貞『新古今和歌集全註解』(有精堂,1960)の見解で、曰く「定家は白い色に特殊の艶を感じた
ものか、歌合でも白さを描いた歌に、艶や妖艶の判を多く下しているが、恐らく、白露や白い秋風の
もつ特殊の美を、彼ほど強く感じ得た作家は古來無かったであろう。誠に定家の象徴歌の一頂點を
示す歌で、有心・妖艶の極みであると言ってよい。」とし、「血の涙を吹く風であるから、この色も
紅の色であるとするのが普通であるが、この歌では當たらないであろう。」とする(@_@;) 久保田が
〈『全註解』のようにこの歌の色調を白一色の世界と捉える見方は新古今集の注釈史においては孤立
しているけれども、現代の鑑賞者には迎えられているように思われる(たとえば、大岡信「日本詩歌
の鑑賞」『国文学』昭和四十七年七月号、芳賀徹『詩歌の森へ』二〇〇二年刊、中央公論新社など)。
しかしながら、和歌表現の伝統に沿って考えると、そうはならないであろうことは、「語釈」で述べた
ごとくである。〉と記しており、非常に興味深い(@_@;) 第3戦に気を取られて、纏められぬm(__)m
タグ:和歌 紀行 俳諧
コメント(8) 
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コメント 8

tai-yama

通風になったら、その痛さゆえに風の色をかんじてしまうかも(笑)。
春が近づくと風の色が見えますよ。黄色(花粉・黄砂)に・・・・
by tai-yama (2021-11-23 22:26) 

ナベちはる

「あなたの風邪に狙いを決めて…」ですね。
あそこまで風邪の種類別に狙いを決められるの、不思議ですよね(^^;
by ナベちはる (2021-11-24 01:01) 

middrinn

完食ッ!!!!!!ばかりの
tai-yama様も危ない(^_^;)
by middrinn (2021-11-24 06:21) 

middrinn

将来的には服用者の体質等のタイプ別も、
ナベちはる様、加わったりして(^_^;)
by middrinn (2021-11-24 06:30) 

df233285

最近気が付きましたが。風邪の親戚のコロナ
のときに、重症化の原因としてときどき指摘
されましたが。寝不足をちょっとでも続けると
再生力が急に落ちて、白髪が増えるみたいです。
白秋は青春の反対語?
by df233285 (2021-11-24 13:15) 

middrinn

ナルホド!( ̄◇ ̄;) 「白秋」も五行説の白ですが、
「青春」も五行説の青に由来するんですね( ̄◇ ̄;)
よくショックで一気に白髪になってしまうのは実は
寝不足が背景にあるということかしら((;゚Д゚)ヒィィィ!
by middrinn (2021-11-24 16:59) 

yokomi

雪山の 雪より白し 吹雪の風。彼の地は雪が降らない地だったかな(^_^;)
by yokomi (2021-11-24 22:25) 

middrinn

吹雪の色は雪の色であって風の色ではないでしょう(^_^;)
by middrinn (2021-11-25 14:51) 

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