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211018読んだ本

読書の厄介なところは、土曜発送も配達が一日遅れるっぽいことである〇 o 。.~~━u( ゚̄  ̄=)プハァ

【読んだ本】

君塚直隆『悪党たちの大英帝国』(新潮選書,2020)

    第六章 デイヴィッド・ロイド=ジョージ──「王権と議会」の敵役

     ウェールズの魔女?/弱者のための弁護士/政治家への道/人民の王者に──
     商務相・財務相時代/貴族院への一撃──議会法の成立/第一次世界大戦の勃発/
     一二月政変と首相への就任/前代未聞の戦時体制/ロイド=ジョージの勝利/
     堕ちた英雄──新たなる時代の始まりと首相辞任/自由党と「ウェールズの魔女」の死/
     「英雄」の生涯/

本章も先ずはロイド=ジョージ評を紹介してるが、酷評が並んでる(第五章の冒頭でのマルクスによる
パーマストン評も凄かった)(^_^;) ケインズ(モチ経済学者)、ハロルド・ニコルソン(外交官)、
バルフォア(元首相)によるもので、ヴェルサイユ講和会議の出席者(バルフォアは当時外相)ゆえ
当然だけどね(^_^;) 第二次大戦を招いたヴェルサイユ講和条約だけでも罪深いのに、首相退任後には
ドイツを訪問して「ヒトラーやナチス政権幹部らと親しく談笑した」り、チェンバレン政権の「宥和
政策」をも支持してるし(本書238頁)、〈なんと最後には、彼があれほどまでに嫌っていた「貴族」
として生涯を終えることになったのである。〉という本書239頁には、口あんぐりエッ(゚Д゚≡゚Д゚)マジ?

    ・・・/第一次世界大戦の戦後処理の失敗、晩年のナチスへの接近や「愛人問題」、
    さらに「栄典売買」に代表されるような数々の金銭的スキャンダルや首相時代の
    強引な政治手法から、ロイド=ジョージは第二次世界大戦後は極めて評価の低い
    政治家となってしまった。/・・・

と本書241頁にあり、「愛人問題」も許し難いけど、「栄典売買」(ブルース・ポリング[仙名紀訳]
『だからスキャンダルは面白い』[文春文庫,1997]でも、この「爵位乱売」問題は取り上げられてた
https://yomubeshi-yomubeshi.blog.ss-blog.jp/2020-04-25 )こそ問題で、第一次大戦で「効率
よく」戦争指導を行なう必要性があったとしても、本書230頁の記述∑( ̄ロ ̄|||)ニャンだとぉ!?

    ・・・/王権・海陸軍と並んで、ロイド=ジョージが軽視したのが議会であった。
    ・・・/しかし、国王も議会も怒り心頭だったにもかかわらず、ロイド=ジョージを
    表立って批判できなかったのは、未曽有の大戦のさなかであったこともあるが、彼
    お得意の新聞界を味方につけての世論操作が見られたからだ。この頃までにはロイド
    =ジョージの推挙もあり、ノースクリフ男爵(『タイムズ』『デイリー・ミラー』)、
    ロザミア男爵(『デイリー・メール』)、ビーヴァーブルック男爵(『ロンドン・
    イヴニング・ニュース』『デイリー・エクスプレス』)など主要紙の社主はみな爵位
    を与えられ「新聞男爵[ブレス・バロン]」などとも呼ばれていた。その彼らがみな
    首相の支持者だったのである。/・・・

もはやデモクラシーの破壊者だヾ(`◇´)ノ 「しかしそうやってロイド=ジョージが手に入れた莫大な
資金は、一ペニーたりとも彼の懐には入らず、すべて自由党の運営資金に消えていったのである。」
(本書241頁)なんて弁護論にならねーよ(ノ ̄皿 ̄)ノアホカ!┫:・’ 田中角栄に似てるよね(^_^;)
政治資金集めに始まり、郵政大臣の時の電波認可、更には大新聞社への国有地払下げ疑惑とか(^_^;)
ただ、「第二次大戦から二〇年以上を経過した一九六〇年代頃からは、よりバランスの取れたロイド=
ジョージ像も提示されるようになり、政界でも再評価されていく。」(本書241頁)とされており、
本書242頁を引く( ̄◇ ̄;)

    ・・・/さらに一九九九年一二月三一日に発表された「二〇世紀で最も偉大な首相たち」
    というアンケートの結果では、ロイド=ジョージはチャーチルに次ぐ第二位の座を射止め
    ている。/とはいえ、イギリス国内の政治に関していえば、ロイド=ジョージはチャーチル
    を押しのけて堂々の第一位に位置するといっても過言ではない。国民保険法や老齢年金制度
    などは、第二次大戦後の労働党政権がお手本とした、「社会福祉国家イギリス」の原点とも
    いうべき政策である。さらに彼が軍需相、陸相、そして首相として推し進めた「効率的な」
    ヒト・モノ・カネの統制は、その後のイギリスやアメリカ、さらにはこの日本が来たるべき
    次の総力戦の時代に備えて研究した「国家総動員」のあり方の原点にもなっている。/
    そして何より衝撃的だったのは、それまでの数百年にわたるイギリス政治を形作ってきた
    「王権と議会」を一時的なりとも蔑ろにして、ある意味ではその二つの上に立って戦争指導
    を展開したその姿であろう。イギリス史上でもこれに近い「偉業」を成し遂げたのは、
    第二章の主人公クロムウェルぐらいのものであろう。しかもロイド=ジョージの場合には、
    クロムウェルが示したような「王殺し[レジサイド]」も「議員追放[パージ]」もせずに、
    あくまでも合法的に権力を掌握したのである。/・・・

戦時体制とはいえ議会を「蔑ろ」にすることを(カギカッコ付きだが)「偉業」と呼ぶかね(@_@;)
むしろ、戦時体制であっても、てゆーか、だからこそ、議会によるコントロールが必要かと(@_@;)
タグ:列伝 歴史
コメント(4) 
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コメント 4

tai-yama

今の時代なら、ネット工作員に爵位を上げて世論誘導・・・・
Yahooコメントとか(笑)。コメントバロンとか言われたり。
by tai-yama (2021-10-18 23:44) 

ナベちはる

確か、郵便は土曜日発送が今月から一部無しになったんですよね…
by ナベちはる (2021-10-19 02:08) 

middrinn

マッハバロンあるいはレッドバロンを、
tai-yama様なら出されるかと(^_^;)
by middrinn (2021-10-19 08:04) 

middrinn

ゆうメールは土曜は配達だけが廃止かと、
なべちはる様、思ってましたよ(^_^;)
by middrinn (2021-10-19 08:08) 

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