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210928一昨昨日に買った本&読んだ本

読書の厄介なところは、16年前の特集記事の方が刺激的で面白いことである〇 o 。.~~━u( ゚̄  ̄=)プハァ
他方で、この16年間に読み手である小生がどれだけ成長・発達したかというとビミョーだけどね(^_^;)

【一昨昨日に買った本&読んだ本】

芸術新潮2021年10月号

25日の発売日に新品1500円を1349円で購入したが、「特別定価」として続いてた1590円になし崩し的
に値上げとならなくて、良かった(ノ_-;)ホッ… 特集は「これからを生き抜くための民藝」(´・_・`)

    巻頭グラフ 家庭料理は民藝だ――手仕事という土台 土井善晴 (撮影)岡本寿

    10問10答「民藝」って何だろう? (解説)高木崇雄

     Q1 「民藝」という言葉はどのようにして生まれたのでしょうか?
     Q2 柳宗悦ってどんな人だったんですか?
     Q3 民藝運動は、どんなふうに始まったのでしょう?
     Q4 日本民藝館ができるまでのいきさつを教えてください。
     Q5 なぜ柳は朝鮮や沖縄、アイヌの品々に着目したのでしょう?
     Q6 民藝運動は「友情」の運動なのだとか。どんな仲間がいたのですか?
     Q7 「民藝作家」って、なんだか矛盾してないですか?
     Q8 「用の美」は、要するに「機能美」のこと?
     Q9 柳は「直観」と言ってますよね。そのココロは?
     Q10 いまは民藝ブームなのでしょうか?

    グラフ 85年の時を刻む方舟 日本民藝館 (撮影)高橋マナミ

    座談会 中の人が語る日本民藝館の日常

     杉山享司(学芸部長)×古屋真弓(学芸員)×佐藤昇子(受付業務他)

    対談 民藝、デザイン、無印良品――違和感から生まれたもの

     小池一子(クリエイティブ・ディレクター)×深澤直人(プロダクトデザイナー&
                               日本民藝館館長)

    グラフ紀行 山陰 民藝のこころを紡ぐ場所 (撮影)広瀬達郎

     鳥取の名プロデューサー、吉田璋也の足跡
     鳥取の山里で育まれてきたほれぼれ陶器
      クラフト館 岩井窯 延興寺窯 因州・中井窯 山根窯
     暮らしに寄り添う、島根の作り手たち (撮影)青木登
      出西窯 湯町窯 鍛冶工房 弘光 森山ロクロ工作所 出雲民藝館 斐伊川和紙 白磁工房
     鳥取・島根 民藝関連インフォメーション

    MINGEI BOOK GUIDE Published in the 21st century
    いま、民藝を考えるための12冊 (選書・文)鞍田 崇

    展覧会案内

目が留まった他の記事もメモ_φ( ̄^ ̄ )メモメモ 芸術新潮特別企画「歌舞伎座の快人① 八代目中村芝翫
之巻」は「・・・中村芝翫が十月大歌舞伎で勤めるのは、喜撰法師だ。『六歌仙容彩[すがたのいろ
どり]』は平安歌人を代表する6人が登場する舞踊で、僧正遍照、在原業平、文屋康秀、喜撰法師、
大伴黒主が小野小町を口説こうとして次々と振られるという内容。」の由、「平安歌人を代表」には
流石に驚いたし、「喜撰は色気のある人物で、中性的な魅力を出さなければなりません。」「喜撰が
張るという言葉があるでしょう?これは喜撰の頭が角張っていたことに由来するんです」等と芝翫は
語ってるけど、『古今和歌集』仮名序にもあるように喜撰法師の歌は少ない上に、例えば、片桐洋一
『古今和歌集全評釈(上)』(講談社学術文庫,2019)は〈かくして喜撰については「基泉」「基檐」
「喜仙」から「撰喜」「撰吉」まで含めて名の表記すら一定しないことを思うと、『古今集』仮名序
執筆の時点から、名のみことごとしくて実体がわからない人物であったということになろう。〉と評
しているし、目崎徳衛『日本詩人選6 在原業平・小野小町』(筑摩書房,1970)に至っては実証主義の
歴史学者らしく「なお喜撰法師は実在か否かさえ確かでない。」としてるのにね(^_^;) 芸術新潮特別
企画「『美のまなざし』展に東京国立博物館の至宝10作が集結! 東京美術倶楽部から生まれた〝美の
大河ドラマ〟」(解説 川島公之)&「日本の美術市場の中枢 東京美術倶楽部が歩んできた道」&
「東美特別展2021 見どころガイド SPECIAL TRIENNIAL TOBI ART FAIR 2021 SINCE 1964」はメチャ
興味深い内容(⌒~⌒) 川島公之による解説が〈藤田伝三郎(香雪)は、「召し上げコレクター」など
と評されるほど貪欲な世外[井上馨]を自宅に迎える際は、庭の石灯籠にまで布を被せたという。〉
といったエピソードをふんだんに紹介してて読み応えがあるね(⌒~⌒) 諏訪敦(選+文)「見えざる
ものたちの到来」は井村君江&浜野志保編著『コティングリー妖精事件 イギリス妖精写真の新事実』
青弓社を紹介し、芸術新潮1990年7月号の大特集「万国贋作博覧会」でコナン・ドイルが騙された妖精
写真として取り上げられてた事件だから興味深い(^_^;) あとは〈ようこそ、めくるめく「美男画」の
世界へ〉、前橋重二の連載「海外アートStudy最前線」第69回「ファン・エイク独自のコーティングの
保護力」、三浦篤の連載「大人のための印象派講座⑤ 娼婦の栄光と悲惨Ⅰ 高級娼婦メリー・ローラン
とマネ」といったところかな、小生の興味・関心がある記事は_φ( ̄^ ̄ )メモメモ

ところで、本号の特集についてだけど、10問10答とか、勉強にはなるけど、ちょっと理屈っぽいし、
芸術新潮2005年7月号の特集「生活デザインの素 日本民藝館へいこう」の方が刺激的で面白い(^_^;)
16年前の特集では編集部の自己批判めいた文章から企画趣旨説明が始まっていたエッ(゚Д゚≡゚Д゚)マジ?

    /芸術新潮では、これまでなんども、民藝にかんする記事をつくってきました。
    あらためてそれに眼をとおすと、民藝の思想すなわち柳宗悦[むねよし](1889
    ~1961)の言葉について語るときは、往々にして批判めいた口ぶりになっている
    ことに気づきます。/無銘品、実用品、伝統的、非個性的、安価、簡素、健康……
    民衆的工藝をつづめた「民藝」の品々の性格を、柳はたとえばそんなふうに列挙
    しています。しかし、彼があつめた品物を、そうした言葉にあてはめてゆくことは
    あまり意味がない、というより、そのやりかたでは、過去の記事とかわらないもの
    になってしまうだろうと、この特集の準備をはじめたころに思いました。/・・・

ということで、日本民藝館のコレクションから古道具屋の坂田和實が22点を選んで紹介してるけど、
坂田和實×尾久彰三(日本民藝館主任学芸員)×山口信博(グラフィック・デザイナー)による鼎談
「デザイン、好み、身のまわり」で、編集部から「・・・まず尾久さんから、坂田さんの選んだ22点
についての感想を。」と振られると、いきなり強烈な発言が飛び出すヒィィィィィ(゚ロ゚;ノ)ノ

    尾久 私は坂田さんの眼というものをよく承知しているつもりなんです。何しろ30年来の
       つきあいですから。それを踏まえていうと、この22点はまさに坂田和實そのもの。
       いいかえれば、これらの品物で柳宗悦は語れません。

その理由も述べた上で、企画そのものに対する異議をやんわりと唱えているようにも((;゚Д゚)ヒィィィ!

    尾久 ・・・柳宗悦の眼を語るときには欠かせない、木喰仏[65頁]や大津絵[65頁]、
       船箪笥、丹波[67頁]ほかの江戸時代の民窯をことごとく[坂田のチョイスは]
       外しています。琉球の染織にしても紅型[67頁]や絵絣をとらず、渋い紬
       [26頁上]を選んだのはなぜか。/ようするに坂田さんは、民藝のことも
       民藝館のこともいっさい考えてないんです。自分のものさしだけで選んでいる。
       編集部がそれを望んだのだから、これでよいのでしょうけれど。

もしかしたら、その場では見えない火花が散ってたかもしれないけど、3人のハーモニーというよりも
鼎談の良さが発揮され、民藝や柳宗悦について掘り下げ、今回の特集より面白いし勉強になる(^_^;)

    坂田 バウハウスの思想に共鳴していた柳宗理さんが民藝館の館長になったとき、雑誌
       『民藝』で連載をはじめましたね[右]。「新しい工藝」「生きている工藝」と
       題して、たとえばドイツ製の電卓やボールペン、ジープ、関門大橋など、民藝の
       概念をくつがえすようなものを「これも民藝ではないか」という視点でとりあげ
       ていて、おっ、これで民藝もかわるかな、と期待しながら読んでいたのですが、
       だんだん宗理さんの文章の歯切れが悪くなってきて、そのうち終わってしまい
       ました。

    尾久 全部で49回です。連載中はたいへんでした。批判が殺到して。

    山口 どこから?

    尾久 それは民藝の協会員からです。これは工業製品だから民藝ではない、という意見
       が圧倒的でした。

    坂田 尾久さんはどう思っていたんですか?

    尾久 当時は館長に、やるならとことんやってくださいといいました。中途半端は
       いけないと。実際私も各地の協会へ出かけて、「今後の民藝を考えるうえで
       重要なこと。虚心坦懐に見れば工業製品も美しいではないか」などと、館長を
       擁護していたのです。なかには耳を傾けてくれる人もいて、そのうちに、新幹線
       や京都タワーも民藝だという人まで現れました。/ただし、いまふりかえると、
       宗理さんの連載および当時の発言は、功罪半ばするものでした。

    山口 なぜそう思うのですか。

    尾久 混乱を招いたからです。宗理さんのいうことは正論なんです。民藝の伝統を
       現代に生かそうとの主旨で、それは柳宗悦の説いたことと同じだし、反対できる
       人はだれもいない。けれども、そうした論を説く相手を間違えていたのでは
       ないでしょうか。民藝という身内にむかって力説するのではなく、民藝の外部、
       とくに宗理さん自身も属しているデザイン業界にむかって、民藝の知恵を生かせ、
       と強く説いてほしかったと、いまになって思います。

編集部による「ものがたり日本民藝館」も読み応えある記事で、「3 新幹線は民藝か 1962~2005」
と出したパートがあり、次のような件がある(⌒~⌒)

    ・・・/やがて濱田[庄司]が病床に伏すと、昭和52年(1977)には柳宗悦の長男
    ・柳宗理(1915生れ)が3代目館長に就任する。バブルの到来はまだちょっと先の
    ことだけれど、すでに時代の空気は、父の生きた昭和とはまったく異なるものになって
    いた。ながらくプロダクト・でダイナーとして活躍してきた宗理は、民藝の新しいあり方
    を模索しはじめる。たとえば、彼が館長就任の翌年に発表したエッセイ「民芸の行方」を
    読むと、〈民芸はいずれはプロダクト・デザインに依る製品に発展的解消するであろう〉
    と述べ、工業製品を展示する「現代生活館」の開設を提案したりしている。/しかし、
    このような「民芸の行方」に対して反発を示す民藝協会員も多かった。エッセイの発表に
    相前後して、京都民藝協会会長の湯浅八郎が、とある席上で発した一言も、民藝協会員たち
    に衝撃を与えた。いわく、新幹線は現代の立派な民藝品である! 柳宗理はこの発言を受け、
    流行りの流線型を取り入れた新幹線が民藝の美を備えているかどうかは疑わしいと慎重に
    留保しながらも、〈新幹線が現代の民藝か否かという論は絶対に必要である〉と言い、
    機械生産品を民藝の視点で論じる時代がきていることを強調した。新幹線民藝論はその後、
    工業製品も民藝品としてとらえるべきか否かという議論に発展していくが、結論は出て
    いない。・・・

この16年前の特集には「8人のプリズム」と題した8人のエッセイも掲載されてて、とりわけ千宗屋
(武者小路千家家元後嗣)の「井戸茶碗に呼ばれて」が興味深い(⌒~⌒) 柳宗悦による茶の湯批判に
ついて「・・・茶人でセンスのいい人が少ないという批判には同感です。」とか歯切れが良いね(^^)
タグ:和歌 アート
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アニマルボイス

「民藝」に興味はないけど、ドイルの妖精写真は「コティングリー事件」とか「コティングリー妖精事件」と言われているやつですね。ドイルって、ホームズを読むと何となく近代的合理主義者という気がするけど、後期の「霧の国」とか「マラコット深海」など読むと心霊主義というか、今風に言うと完全にスピリチュアリズム信奉の人なので、妖精写真を本物と認めたのは納得できますよね。(^-^)
by アニマルボイス (2021-09-28 22:38) 

tai-yama

時代が進めば、iPhoneとかも民藝に認定されたり・・・
バイクは民藝っ!
by tai-yama (2021-09-28 23:04) 

ナベちはる

今書かれた記事よりも刺激的で面白い記事、探してみると思っている以上にありそうな気がします(^^;
by ナベちはる (2021-09-29 00:42) 

middrinn

「霧の国」「マラコット深海」ですね_φ( ̄^ ̄ )メモメモ モチ未読なんですけど、
アニマルボイス様、コナン・ドイル『わが思い出と冒険 コナン・ドイル自伝』
(新潮文庫,1965)の最終章(第31章)のタイトルは「心霊の探求」ですし、
その文中には、延原謙による訳注として、ドイルには「心霊術者の放浪、心霊
術者等の著がある」とありました( ̄◇ ̄;) 内井惣七『シャーロック・ホームズ
の推理学』(講談社現代新書,1988)も未読なんですが、〈・・・ホームズは
十九世紀後半の論理学と科学方法論をよく知っており、立派な「論理学者」で
あったというのがわたしの結論である。〉と「あとがき」にあります(@_@;)
by middrinn (2021-09-29 09:24) 

middrinn

iPhoneは、どう考えても「安価」ではないでしょう(^_^;)
tai-yama様は民藝よりもエロゲーが好・・ヘ(__ヘ)☆\(^^;
by middrinn (2021-09-29 09:37) 

middrinn

雑誌のバックナンバーは今読んでも面白い記事とかあるので、
ナベちはる様、なかなか処分が出来ないんですよね(^_^;)
by middrinn (2021-09-29 09:39) 

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