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210722読んだ本【バカチン&おまけバカチン】

読書の厄介なところは、言葉尻を捕えたなどといった話ではないことである〇 o 。.~~━u( ゚̄  ̄=)プハァ

【読んだ本(バカチン)】

灰原薬『応天の門①』(新潮社BUNCH COMICS,2014)所蔵本

ある本に出て来た用語を他の本で確認してた過程で思い出したから一応指摘しておく( ̄ヘ ̄)y-゚゚゚

本書の「第一話 在原業平少将、門上に小鬼を見る事 一」で次のような説明がなされていた(´・_・`)

    平安京は 門によって護られ 門によって 隔絶された年である

    外郭となる羅城門から 碁盤目のような市街地の 中央を貫く朱雀大路を進み

    大内裏への入り口となる 朱雀門をくぐると その先は貴族の社会となる

    大内裏に入ると 政治の象徴とも言える朝堂院

    並び正門である応天門

    ・・・

んで、「大内裏 八省院内 大学寮」というキャプションの下、橘広相と菅原道真の会話場面( ̄◇ ̄;)

    ・・・

    そ そうか もっと大学寮に頻繁に来てくれると ありがたいんだがね
    他の者への 刺激にもなるし
    君も…

    大内裏は苦手なんです
    ここは騒がしいし 肩書きが欲しい者と仲間と騒ぎたい 馬鹿ばかり
    周りは贅沢三昧の 公達男と派手な女官 私はそういうのは 興味ありませんから
    それよりも 家で静かに 本を読んでいる方が 余程学がつくと いうものです

    ・・・

この会話内容と平安京の上記説明から、「大学寮」は「朱雀門」内の「大内裏」にあることに(゚ロ゚;)
この作品での道真(三白眼のガキで口が悪く性格も悪い)は「大内裏」の「貴族の社会」に背を向け
「大学寮」に顔を出したがらないというキャラに設定されてて続巻でも同様に描かれている(@_@;)
続けて、紀長谷雄(作品では道化役)が現れるも検非違使たちに「女官拐[かどわ]かしの嫌疑で」
連行されかかり、「ん? なにやら 朝堂院のほうが 騒がしいな」と在原業平(ちょいワルおやじ)が
駆けつけて、「大学寮」は「朝堂院」の傍で「大内裏」にある(平安京の説明参照)ことに( ̄◇ ̄;)

本郷和人が「監修」らしいが、大学寮は朱雀門の外側で大内裏に無いヾ(`◇´)ノ彡☆コノ! バカチンガァ!!

和田英松(所功校訂)『新訂 官職要解』(講談社学術文庫,1983)の「大学寮」の項からv( ̄∇ ̄)ニヤッ

    大学寮 ダイガクレウ[だいがくりょう]とよむ。・・・学生を要請するところで、
    まず今の帝国大学のごときものである。/寮地は、朱雀門外、神泉苑の西隣で、
    二条の南、朱雀通の東にあって、・・・

小林保治&増古和子(校注・訳)『新編日本古典文学全集50 宇治拾遺物語』(小学館,1996)の頭注も
次の説明オホホホ!!♪( ̄▽+ ̄*)

    式部省に属した大学寮。大内裏の外、二条大路の南、朱雀大路の東、神泉苑の西に位置した。

北山茂夫『日本の歴史4 平安京』(中公文庫,1973)の巻末に折込の写真地図「平安京と京都の対比」
でも、大学寮は大内裏の外で神泉苑の西側に位置することは確認した〇 o 。.~~━u( ゚̄  ̄=)プハァ

この漫画は、作法の描写が間違ってたり、ストーリーが史実に反していたり、人名の読み方に誤りが
あったりと、「監修」をしているという本郷和人の考証が雑なことを再三指摘してきたけど(例えば、
https://yomubeshi-yomubeshi.blog.ss-blog.jp/2021-03-03 )、物語の根幹が成り立たぬ(^_^;)

【おまけバカチン】

和田英松(所功校訂)『新訂 官職要解』(講談社学術文庫,1983)所蔵本

この本は、巻末の所功「解説」にもあるように、「官職を説明するために、・・・国文関係の作品も
ふんだんに活用しておられる」のが「一大特色」で、読んでてメチャ面白いんだけど、おかしな点も
あり(⇒ https://yomubeshi-yomubeshi.blog.ss-blog.jp/2021-05-18 )、今回は誤記を発見(^_^;)

    ・・・/学生は、『大鏡』『今鏡』などに、ガクシヤウ[がくしょう]とよみ、
    『江次第抄』には、文屋童[ふみやわらわ]とかいてある。その費用のために、
    特別に勧学田を置き、菜料、燈油料などを別途に賜わることがあった。
    『千載和歌集』に、「学問料申しけるに、たまはらざりければよめる。匡衡、
    思ひやれ十夜にあまれるともし火のかかげかねたる心ぼそさを」と見えている。/

この歌の作者は大江匡衡ではなく大江匡範だ!所功は校訂をサボるなヾ(`◇´)ノ彡☆コノ! バカチンガァ!!
コメント(8) 

コメント 8

ナベちはる

「衡」と「範」の字、明らかに違うのにそのままとは許せないですね…(~_~メ)!!
by ナベちはる (2021-07-23 02:04) 

middrinn

しかも、匡衡だと歌の内容に合わないんですよ(^_^;)
by middrinn (2021-07-23 04:40) 

ニッキー

漫画だから、大内裏の外側と内側の違いなんて
たいしたことないって思ったのかなぁ(*_*)
でも監修として名前を載せてるならば
ちゃんと仕事してほしいなぁ(ー ー;)
by ニッキー (2021-07-23 11:39) 

middrinn

大学寮は式部省に属するので、早とちりしたのかもしれません(^_^;)
大学寮の位置関係が判る上掲『宇治拾遺物語』も未読のようで(^_^;)
by middrinn (2021-07-23 12:49) 

tai-yama

燈油の消費量=勉強熱心と捉えられそう。
平安時代並みの夜の暗さはいつも山奥で体験していたり(笑)。
by tai-yama (2021-07-24 19:04) 

middrinn

山奥で月明かりを利用して勉強をされているのかな(⌒~⌒)
by middrinn (2021-07-24 19:33) 

yokomi

読書の厄介なところは、無学の者が知らないで読むとそれが本当だと理解してしまうことである(^_^;) 世に出すからには下調べをきっちり、校閲もきっちり(^_^)v でも『応天の門』の次巻、早く出ないかなぁ...(^_^;)
by yokomi (2021-07-24 23:44) 

middrinn

念入りに調べないとダメでしょう(^_^;)
もしかしたら紙の本では売れてないのか、
最新刊が未だに古本で手に入りません(..)
by middrinn (2021-07-25 06:01) 

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