210503読んだ本
読書の厄介なところは、信頼の置ける著者でも眉に唾つけて読むことである〇 o 。.~~━u( ゚̄  ̄=)
Pontaポイント、しれっと再び使えるようになったけど、信を置けない企業がやってるからか(@_@;)
【読んだ本】
森銑三(小出昌洋編)『新編 おらんだ正月』(岩波文庫,2003年)所蔵本
前回(⇒ https://yomubeshi-yomubeshi.blog.ss-blog.jp/2021-04-25 )の続きで10篇読んだ(^o^)丿
三十一 医術の修業に全国を漫遊した橘南谿
三十二 ロシア人までその名を知っていた桂川甫周
三十三 一生に九回蝦夷地へ渡った最上徳内
三十四 オランダ流の内科を興した宇田川槐園と同榛斎
三十五 蘭学を拡めた大功労者大槻磐水
三十六 始めてオランダ語の辞書を作った稲村三伯
三十七 寒中水泳まで試みた兵学者平山行蔵
三十八 独力で星雲説を唱えた物理学者中野柳圃
三十九 命がけで眼科医術のために尽した土生玄碩
四十 北海の探検家で書誌学者だった近藤重蔵
内容的には偉人伝であり、「少年諸君を対象として、そのつもりで筆を執った」のに、「大人の読物
となってしまっ」たと森銑三は本書の「序」で嘆いているが、如何せん大人が読んでも面白い、評判
通りの名著(^_^;) ただ、「少年」と言っても、「前野蘭化、杉田玄白等の諸先生の『解体新書』翻訳
のお話はもう前にしましたが、その翻訳を手伝った人々の内に、まだ若くて、皆さんともそんなに年
の違わない人が一人まじっていました。それが後の桂川甫周先生でありました。/・・・宝暦元年に
生れたので、小塚原に腑分のあった明和八年には、まだ二十一歳の青年でした。」とあるので、チト
年齢が高めの「少年」を対象としてるみたい(^_^;) なお、本書はあまり一般的とは思われない人名を
用いている点も如何なものかと(^_^;) 今回なら、例えば、大槻磐水は大槻玄沢が、工藤球卿(三十五
に登場する)は工藤平助が、中野柳圃は志筑忠雄が、それぞれ一般的かと(^_^;)
・・・寛政五年に、ロシアから幸太夫[ママ]、磯吉という二人の日本人を送って
来ました。二人は伊勢国の船頭だったのですが、海上で暴風に遭い、漂流民となって
ロシアに渡って、そちらに十二年も留[とどま]っていたのでした。それでロシア語を
自由に話しましたし、その国の風俗のことなども勿論よく知っていましたので、
十一代将軍の家斉は二人を吹上御殿に召して、その始末をお尋ねさせになりました。
二人は洋服を着て御前に出て、役人の問に応じて、いろいろロシアの話をしたのですが、
その話の内で、「ロシアでは日本のことをたいへんよく知っていて、桂川甫周様、
中川淳庵様などという方の名前を存じています」といいました。その時役人の一人が、
将軍のお側にいる甫周を指して、「その桂川先生こそはこの人であるぞ」と申しました。
幸太夫と磯吉とは、異国で噂に聞いていた桂川先生を目[ま]のあたり見て驚きましたが、
将軍もそこに居合わせた人々も、甫周の名が遠くロシアまでも聞こえているというのに
びっくりしました。そしてその後は、家斉も甫周をいっそう御信用になったということ
です。/・・・
みなもと太郎『風雲児たち 16 尊号問題興亡』(希望コミックス,1989)にも、同場面は(細部は少し
異なるが)描かれている〇 o 。.~~━u( ゚̄  ̄=)プハァ みなもと太郎『風雲児たち 9 彦九郎が行く』
(希望コミックス,1985)には「それセイニュウとは神経ということなり……」と杉田玄白がボケて、
「それは解体新書の文句じゃないすかっ」と司馬江漢がツッコミを入れて笑いを取ろうとする場面が
あるけど(同書はギャグ漫画でもある)、本書に次の件が(@_@;)
・・・/『医範提綱』は[宇田川]榛斎の代表的な著述ですが、当時の翻訳家たちは、
第一にわが国に訳語のない言葉を、自分で作らなくてはならないのに困ったもので、
「神経」などという言葉も、実は榛斎が考えて、『医範提綱』に使ったのが最初でした。
それまでは原語のセーニューに世奴の文字を当てていたのですが、これは精神の経絡
[いと]だからというので、榛斎が「神経」の訳語を案じ出し、それが今のように
一般化されて、何人も不断[ママ]口にするようになったのです。さような言葉一つにも、
学者の苦心の籠っていることを忘れてはならないのです。/・・・
小川鼎三『医学の歴史』(中公新書,1964)から引いておきましょうかね〇 o 。.~~━u( ゚̄  ̄=)プハァ
・・・/「神経」という語は玄白によって初めて作られて、『解体新書』で公表された。
『和蘭医事問答』によると「神経」の語はすでに約図[=『解体約図』]に用いたと、
玄白が建部清庵あて書き送っているが、いま残っている約図をみるとどこにも「神経」
の語がない。それはおそらく玄白の思いちがいであろう。/神経のことは玄白以前の
南蛮医学や紅毛医学でもときとしてでていて、髄筋または世奴[せいぬ]とよばれた。
世奴はオランダ語のZenuwの音をそのまま漢字にしたのである。玄白は「神気」の神と
「経脈」の経を合せて新語をつくったと、『和蘭医事問答』のなかに述べている。/
欧州では古代ギリシャの時代から知られた神経が、シナや日本ではこれまでほとんど
問題にされずにきたことは、今日からみるとふしぎなほどである。西洋の医学は前にも
述べたごとく古くから神経を重要視したが、シナではその関心がほとんど無くて、経脈
あるいは経絡と称したものに神経がふくまれていたかと思われる程度である。/・・・
Pontaポイント、しれっと再び使えるようになったけど、信を置けない企業がやってるからか(@_@;)
【読んだ本】
森銑三(小出昌洋編)『新編 おらんだ正月』(岩波文庫,2003年)所蔵本
前回(⇒ https://yomubeshi-yomubeshi.blog.ss-blog.jp/2021-04-25 )の続きで10篇読んだ(^o^)丿
三十一 医術の修業に全国を漫遊した橘南谿
三十二 ロシア人までその名を知っていた桂川甫周
三十三 一生に九回蝦夷地へ渡った最上徳内
三十四 オランダ流の内科を興した宇田川槐園と同榛斎
三十五 蘭学を拡めた大功労者大槻磐水
三十六 始めてオランダ語の辞書を作った稲村三伯
三十七 寒中水泳まで試みた兵学者平山行蔵
三十八 独力で星雲説を唱えた物理学者中野柳圃
三十九 命がけで眼科医術のために尽した土生玄碩
四十 北海の探検家で書誌学者だった近藤重蔵
内容的には偉人伝であり、「少年諸君を対象として、そのつもりで筆を執った」のに、「大人の読物
となってしまっ」たと森銑三は本書の「序」で嘆いているが、如何せん大人が読んでも面白い、評判
通りの名著(^_^;) ただ、「少年」と言っても、「前野蘭化、杉田玄白等の諸先生の『解体新書』翻訳
のお話はもう前にしましたが、その翻訳を手伝った人々の内に、まだ若くて、皆さんともそんなに年
の違わない人が一人まじっていました。それが後の桂川甫周先生でありました。/・・・宝暦元年に
生れたので、小塚原に腑分のあった明和八年には、まだ二十一歳の青年でした。」とあるので、チト
年齢が高めの「少年」を対象としてるみたい(^_^;) なお、本書はあまり一般的とは思われない人名を
用いている点も如何なものかと(^_^;) 今回なら、例えば、大槻磐水は大槻玄沢が、工藤球卿(三十五
に登場する)は工藤平助が、中野柳圃は志筑忠雄が、それぞれ一般的かと(^_^;)
・・・寛政五年に、ロシアから幸太夫[ママ]、磯吉という二人の日本人を送って
来ました。二人は伊勢国の船頭だったのですが、海上で暴風に遭い、漂流民となって
ロシアに渡って、そちらに十二年も留[とどま]っていたのでした。それでロシア語を
自由に話しましたし、その国の風俗のことなども勿論よく知っていましたので、
十一代将軍の家斉は二人を吹上御殿に召して、その始末をお尋ねさせになりました。
二人は洋服を着て御前に出て、役人の問に応じて、いろいろロシアの話をしたのですが、
その話の内で、「ロシアでは日本のことをたいへんよく知っていて、桂川甫周様、
中川淳庵様などという方の名前を存じています」といいました。その時役人の一人が、
将軍のお側にいる甫周を指して、「その桂川先生こそはこの人であるぞ」と申しました。
幸太夫と磯吉とは、異国で噂に聞いていた桂川先生を目[ま]のあたり見て驚きましたが、
将軍もそこに居合わせた人々も、甫周の名が遠くロシアまでも聞こえているというのに
びっくりしました。そしてその後は、家斉も甫周をいっそう御信用になったということ
です。/・・・
みなもと太郎『風雲児たち 16 尊号問題興亡』(希望コミックス,1989)にも、同場面は(細部は少し
異なるが)描かれている〇 o 。.~~━u( ゚̄  ̄=)プハァ みなもと太郎『風雲児たち 9 彦九郎が行く』
(希望コミックス,1985)には「それセイニュウとは神経ということなり……」と杉田玄白がボケて、
「それは解体新書の文句じゃないすかっ」と司馬江漢がツッコミを入れて笑いを取ろうとする場面が
あるけど(同書はギャグ漫画でもある)、本書に次の件が(@_@;)
・・・/『医範提綱』は[宇田川]榛斎の代表的な著述ですが、当時の翻訳家たちは、
第一にわが国に訳語のない言葉を、自分で作らなくてはならないのに困ったもので、
「神経」などという言葉も、実は榛斎が考えて、『医範提綱』に使ったのが最初でした。
それまでは原語のセーニューに世奴の文字を当てていたのですが、これは精神の経絡
[いと]だからというので、榛斎が「神経」の訳語を案じ出し、それが今のように
一般化されて、何人も不断[ママ]口にするようになったのです。さような言葉一つにも、
学者の苦心の籠っていることを忘れてはならないのです。/・・・
小川鼎三『医学の歴史』(中公新書,1964)から引いておきましょうかね〇 o 。.~~━u( ゚̄  ̄=)プハァ
・・・/「神経」という語は玄白によって初めて作られて、『解体新書』で公表された。
『和蘭医事問答』によると「神経」の語はすでに約図[=『解体約図』]に用いたと、
玄白が建部清庵あて書き送っているが、いま残っている約図をみるとどこにも「神経」
の語がない。それはおそらく玄白の思いちがいであろう。/神経のことは玄白以前の
南蛮医学や紅毛医学でもときとしてでていて、髄筋または世奴[せいぬ]とよばれた。
世奴はオランダ語のZenuwの音をそのまま漢字にしたのである。玄白は「神気」の神と
「経脈」の経を合せて新語をつくったと、『和蘭医事問答』のなかに述べている。/
欧州では古代ギリシャの時代から知られた神経が、シナや日本ではこれまでほとんど
問題にされずにきたことは、今日からみるとふしぎなほどである。西洋の医学は前にも
述べたごとく古くから神経を重要視したが、シナではその関心がほとんど無くて、経脈
あるいは経絡と称したものに神経がふくまれていたかと思われる程度である。/・・・
信頼できる著者だからといって「本当のことが書かれているか」とは別なので、それらを同じにして考えてはいけないですね。
by ナベちはる (2021-05-04 01:14)
なかなか気楽に読める本がないですね(^_^;)
歴史小説以外の小説ぐらいかな小生は(^_^;)
by middrinn (2021-05-04 05:26)
ポンタポイント、一時は使おうかなと考えたんですが
基本dポイント使っちゃうからなぁ・・・
サービスをよくみると便利かも!
by そら (2021-05-04 09:16)
ローソンとHMVですかね(^_^;) 一昨日の夕方から昨日の昼過ぎまで
システムトラブルとかで保有ポイントが0になったんですよヾ(`◇´)ノ
by middrinn (2021-05-04 09:38)
大黒屋光太夫ですね。桂川甫周は将軍より有名だった可能性
がありそう。
by tai-yama (2021-05-05 23:53)
ポンタのクレカを作ったのに、お約束の3000ポイントが未着(>_<) ポンタにさよならしたいです(T_T)
by yokomi (2021-05-06 01:21)
家斉ですし、自分よりも有名なのかよ!と、
tai-yama様、臍を曲げそうな気が(^_^;)
by middrinn (2021-05-06 05:51)
クレジットカードを作った時にドカーンと
貰えるポイントは大きいですよね(^o^)丿
by middrinn (2021-05-06 06:35)