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210418読んだ本【バカチン】

読書の厄介なところは、本文ではなく頭注欄を眺めるだけでも面白いことである〇 o 。.~~━u( ゚̄  ̄=)
午前中に街まで徒歩で往復して7冊返し9冊借りたけど重くて疲れちゃったし頭も痛くなったぞ(´ヘ`;)
何故かまた長くなっちゃった(´・_・`) 今日は藤原俊成を扱き下ろして終わる予定だったのにな(-ω-、)

【読んだ本】

石田穣二&清水好子(校注)『新潮日本古典集成 源氏物語 五』(新潮社,1980)

「柏木」の巻の頭注欄を眺めてたら、遍昭の「末の露本の雫や世の中の後れ先立つためしなるらむ」
が本書281頁の頭注12、同291頁の頭注9、同305頁の頭注9と、同巻だけで3回も引かれてた( ̄◇ ̄;)

この遍昭の歌は勅撰集『新古今和歌集』の哀傷歌の巻頭歌に据えられているほどの秀歌なんだけど、
前の記事(⇒ https://yomubeshi-yomubeshi.blog.ss-blog.jp/2017-12-25 )とは別文献を引くと、
久保田淳『新古今和歌集全注釈 三』(角川学芸出版,2011)には次のように書かれている(⌒~⌒)

    ・・・この歌が今までの[勅撰]集に選ばれていなかったことは、[『新古今和歌集』]
    撰者達にとって意外なことであったらしい。『京極中納言相語』(先達物語)に、
    [藤原]定家の言葉として次のような裏話を伝えている。/・・・

長いから引用は止すが、僧正遍昭は六歌仙の一人で紀貫之や凡河内躬恒らより前の世代の歌人ゆえ、
この歌も『古今和歌集』に選ばれてておかしくないのに選ばれてなかったため、『新古今和歌集』の
撰者である藤原定家や藤原有家が首を傾げた、という内容の「裏話」(⌒~⌒) 『古今和歌集』以降の
勅撰集である『後撰和歌集』『拾遺和歌集』『後拾遺和歌集』『金葉和歌集』『詞花和歌集』『千載
和歌集』にも選ばれず(私撰集の『古今和歌六帖』『和漢朗詠集』等には入集)、『新古今和歌集』
まで、これだけの秀歌が残っていたというのもホント不思議な話だよね〇 o 。.~~━u( ゚̄  ̄=)プハァ

今回チト不審に思ったのは、『源氏物語』で「柏木」の巻だけで3回も引歌として用いられているのに
(他の巻は調べていない)、六百番歌合の判詞で「源氏見ざる歌詠みは遺恨事也」と偉そうに断じた
藤原俊成が自らが独撰の『千載和歌集』に同歌を入れてないこと∑( ̄ロ ̄|||)ニャンじゃそりゃ!?

久保田淳&山口明穂(校注)『新日本古典文学大系38 六百番歌合』(岩波書店,1998)の脚注を一応
引いておく〇 o 。.~~━u( ゚̄  ̄=)プハァ

    源氏物語を見ていない歌詠みは遺憾なことである。当時の歌人に源氏物語が必須の知識
    であることを揚言した語として有名な句。

藤原俊成は、①『源氏物語』の「柏木」の巻を読んでなかった、②読んでたけど引歌の遍昭の歌には
気付かなかった、③気付いたけど秀歌とは思わなかった、④秀歌とは思ったけど既に勅撰集入集済と
勘違いした、以上の他に考えられるかな(@_@;) どれだとしても、如何なものかとC= (-。- ) フゥー

さて、柳井滋&室伏信助&大朝雄二&鈴木日出男&藤井貞和&今西祐一郎(校注)『新日本古典文学
大系22 源氏物語 四』(岩波書店,1996)は22~23頁の脚注23と34頁の脚注2の2回だけである(@_@;)

が、阿部秋生&秋山虔&今井源衛&鈴木日出男(校注・訳)『新編日本古典文学全集23 源氏物語④』
(小学館,1996)は、老眼の所為か328頁頭注20しか見付からない上に、一読して吃驚ヒィィィィィ(゚ロ゚;ノ)ノ

    ・・・「末の露もとの雫や世の中の後れ先だつためしなるらむ」(古今六帖・一 貫之)
    によるか。

久保田淳・前掲書の同歌の「他出」の項には、次のように記されているぞオホホホ( ^^)/~~~~~~~~ ピシッ!

    ・・・『古今和歌六帖』第一・しづく・五九三・作者名不記。・・・

峯村文人(校注・訳)『新編日本古典文学全集43 新古今和歌集』(小学館,1995)の同歌の頭注でも
「『古今六帖』では作者不明。」とあるので、久保田淳『新古今和歌集全注釈 六』(角川学芸出版,
2012)の「引用書目解題」の「古今和歌六帖」に次の如く説明されてる通り、『古今和歌六帖』が、

    ・・・一般の歌集と異なり、作者名が記されていない場合、それ以前の歌の作者名を
    受けない方式である。・・・

のを知らず、同歌「以前の歌の作者名」にあった紀貫之を充てたかとヾ(`◇´)ノ彡☆コノ! バカチンガァ!!
阿部俊子(全訳注)『伊勢物語(上)』(講談社学術文庫,1979)と同じ間違いを犯してるわけだけど
(⇒ https://yomubeshi-yomubeshi.blog.ss-blog.jp/2020-03-09 )、これでは引歌の多い『源氏』
の訳注をやる資格なしオホホホ!!♪( ̄▽+ ̄*) と言いたいが、院生に出典の調査させてそう(@_@;)

とまれ、ちゃんと『源氏物語』を読む際に頼りになりそうなのは新潮日本古典集成だけかな(´・_・`)
タグ:古典 和歌
コメント(8) 

コメント 8

tai-yama

パクった紫式部が撰者なら選ばれていたかも。他の勅撰和歌集で
選ばれなかったのは、撰者の人が「この歌はすでに選ばれている」
との先入観からだったり。
by tai-yama (2021-04-18 22:54) 

ナベちはる

意外な事実や補足が書いてあったりするので、頭注は見逃せない部分ですね。
by ナベちはる (2021-04-19 01:03) 

middrinn

紫式部の方が見る目があったのかも(^_^;)
tai-yama様、『紫式部日記』でボロクソに
批判した和泉式部の歌も引いてました(゚ロ゚;)
by middrinn (2021-04-19 05:30) 

middrinn

本文を理解する上で必要な情報が、
ナベちはる様、頭注にはあるので、
ホント見逃せない部分ですね(^^)
by middrinn (2021-04-19 05:31) 

そら

紙は重いですからねぇ
9冊ともなると相当な重さですね!
by そら (2021-04-19 06:38) 

middrinn

文庫本を中心に借りれば良かったと後悔しましたよ(^_^;)
by middrinn (2021-04-19 06:41) 

ニッキー

9冊の本を持ち帰りはかなり重いかと(⌒-⌒; )
前にかみさんが気に入った作者の本を
会社帰りに大人買いした時に帰り道で
「手がちぎれるかと思った」と湿布貼ってましたw
いや、そこまで無理して買わなくてもと心の中で思いましたw

by ニッキー (2021-04-19 19:36) 

middrinn

大人買いした書店からタクシーで帰って来たら、
大人、てゆーか、大尽でしたねヒィィィィィ(゚ロ゚;ノ)ノ
by middrinn (2021-04-19 20:19) 

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