SSブログ

210306読んだ本

読書の厄介なところは、シリーズ化されてると読む気が萎えることである〇 o 。.~~━u( ゚̄  ̄=)プハァ
この機会に未読だった萩野真の漫画『孔雀王』に手を出そうかと思って調べた途端に断念(ノ_-;)ハア…

【読んだ本】

倉本一宏(全現代語訳)『藤原道長「御堂関白記」(下)』(講談社学術文庫,2009)所蔵本

孔雀が独りで産卵したことに関心を寄せる藤原道長と藤原実資、記述通りで本には信が置けるとする
藤原道長に知性を感じたけど(⇒ https://yomubeshi-yomubeshi.blog.ss-blog.jp/2020-10-18 )、
たまたま後藤昭雄&池上洵一&山根對助(校注)『新日本古典文学大系32 江談抄 中外抄 富家語』
(岩波書店,1997)所収の山根&池上(校注)『中外抄』(富家殿こと関白藤原忠実の言談を大外記
中原師元が筆録し、書名は「中」原と大「外」記から)の上74条(同書299頁)に目が留まった(^^)

    久安四年[1148年]四月十八日、御前に祗候す。雑事を仰せらるる次[ついで]に、
    仰せて云はく、「孔雀は何[いか]なる物ぞ」と。/申して云はく、「古仏は
    非符瑞図瑞祥志度之本朝に来たりし時、火事の候ひき、雷の声を聞きて孕む」と。/
    仰せて云はく、「雷の声を聞きて孕むと申すは、尤も興あり。故忠尋座主、示して、
    「雷するに恐れなき物は三つなり。人界には転輪聖王[←「正義によって世界を
    治める理想的帝王。」と脚注22]、獣には師子[←「獅子。百獣の王。」と脚注23]、
    鳥には孔雀なり。雷と孔雀とは一つ物なり」」と。

さて、大変興味深いのは、「本朝に来たりし時、火事の候ひき」に付された同書299頁の脚注19(^^)

    前回孔雀が日本に来た時には火事があった。長和四年(一〇一五)二月十五日に
    大宰大監藤原蔵規が宋の周文徳が献じた孔雀等を奉り、十一月十七日に内裏が焼亡
    (日本紀略)。この史実をさすか。なお、本条が語られる直前の久安四年(一一四八)
    三月二十九日には祇園社が焼亡。約二か月後の六月二十六日には里内裏土御門殿が焼亡し、
    本朝世紀・同日条は孔雀と火事との関係をいう[この『中外抄』の筆録者である中原]
    師元の予言が的中した旨を記す。師元本人にとっても本条は永く記憶に残る会心の対話
    であったろう。

実は中原師元が放火して廻ったんじゃ・・ヘ(__ヘ)☆\(^^; 孔雀が独りで産卵と聞くや書物で調べた
藤原道長を見倣って本書で『御堂関白記』を確認すると、たしかに長和4年(1015年)11月17日条に
「内裏焼亡」が記されてた( ̄◇ ̄;) ただ、そのことと孔雀との関連は言及してないし、また小生が
気になったのは、内裏焼亡を孔雀がもたらした凶事とするには「長和四年(一〇一五)二月十五日」
から同年「十一月十七日」までチト間が空き過ぎているような気が(@_@;) この孔雀は「小南第」
=「道長の土御門第敷地内の南方に位置する小宅」(本書巻末「用語解説」)にいたので、長和4年
(1015年)4月10日条(先日引用)、同12日条に「孔雀、産卵」のことが記された直後の同13日条の
「藤原教通家焼亡」の方が適例かも(^_^;) 他にも同23日条に藤原能通の「富小路宅焼亡」、6月7日
条に「藤原輔公家焼亡」があるなど8月29日条の「孔雀の卵、孵化せず」(先日引用)までの間にも
「火事」は結構あり、そもそも倉本一宏編『現代語訳 小右記』(吉川弘文館)シリーズの何巻かの
巻頭解説に藤原道長が権力者だった時期は火事(放火?)が多かった旨の指摘もあった記憶(@_@;)

なお、同書299頁の脚注20は「古代インドでは雷鳴轟く雨期に生殖する孔雀は再生ないし豊饒の象徴
とされた。」として、『日本紀略』長和4年(1015年)4月16日条と『倭名抄』の記述を引いてる(^^)
先日引用した倉本一宏編『現代語訳 小右記7 後一条天皇即位』(吉川弘文館,2018)18頁の長和4年
4月16日条で藤原実資も〈・・・雄も無くて子を生むのは、希有の事である。或いは云ったことには、
「雷声を聞いて子を産む。また、水に臨み、影を見て子を生む」と云うことだ。「『日本書紀』に
見える」と云うことだ。本文を調べなければならない。〉と記してるが、その後、「『日本書紀』」
を「調べ」た旨の記述は見当たらないので、「賢人右府」と言われてるけど知性は感じられぬ(^_^;)
タグ:歴史
コメント(10) 
共通テーマ:

コメント 10

tai-yama

孔雀さん、そんな自ら焼き鳥になりたかったのかな?
火事が多かったのは藤原道長が放火をしていたとか・・・・
by tai-yama (2021-03-06 19:32) 

middrinn

( ^o^)ノ◇ 山田く~ん 孔雀さん、自ら焼き鳥になりたかったのかな?座布団1枚 ♪
三条天皇を退位させようと道長が放火ヒィィィィィ(゚ロ゚;ノ)ノ 落雷で孔雀産卵&火事かも(^_^;)
by middrinn (2021-03-06 19:36) 

そら

孔雀と火事、その時代は当然木造家屋だったので
家事が多かったと予想します
中原師元が火を放った、まさかねぇ(^^;
by そら (2021-03-06 22:12) 

ナベちはる

シリーズ化、あまり長すぎると読む気力が無くなりますよね((+_+))
かといって短すぎるのもやはりよくないですが…
by ナベちはる (2021-03-07 00:54) 

middrinn

雷鳴によって孔雀が孕むというわけですから、
そら様、落雷による火事の可能性も(^_^;)
by middrinn (2021-03-07 06:24) 

middrinn

シリーズ化がされるということは、
ナベちはる様、人気作ということ
なんでしょうが、長いのは(^_^;)
by middrinn (2021-03-07 06:26) 

df233285

うる覚えですが。たしか藤原道長のその孔雀は、
三条天皇がたらいまわししたペットだったと思います。
道長が三条天皇に決定的打撃を与える方策として、
内裏焼亡を思いつく放火動機説に、私も賛成票を一票。

by df233285 (2021-03-07 09:08) 

middrinn

元々は三条天皇に献上された孔雀だったんですか( ̄◇ ̄;)
土田直鎮『日本の歴史5 王朝の貴族』(中公文庫,1973初版
→2004改版)300~301頁に〈鎮火の直後、道長は天皇に
譲位を迫った。おそらくはたび重なる内裏の焼失は、天皇の
不徳を天が責めているのだというような論法を用いたので
あろう。・・・/ここで想像をたくましくすれば、この決定打
となった内裏の火災は、あるいは道長一派の工作ではないか
という疑いも持たれるかも知れない。この疑いにはもうひとつ、
もっともらしいことも加わっている。・・・[天皇が促しても
道長が日が悪いとして、娘の中宮]姸子が参内しなかったのは、
まるで火事を予期しているようにも見えて、さては道長の策謀
かと思われるのもいちおうもっとものようである。/けれども、
この疑いは、実のところ少々無理があるように思われる。・・・
東宮敦成親王も土御門第から内裏の凝華舎に移っているからで
ある。この敦成親王こそ道長がつぎの天皇として心底から大切
にしている外孫であり、・・・道長にとって敦成親王はかけがえ
のない大事な存在であった。/火事のときも道長はただちに内裏
にかけつけ、北の門から入ったところで東宮の避難して来るのに
会い、「心神を安んず」と日記に書いているのであって、東宮が
内裏にあるかぎり、火災は道長の恐れるところであったに相違
ない。やはり火事は不運な突発事故であり、姸子も偶然参内が
遅れていたのであったろう。〉とあり、説得力あるかと(^_^;)
by middrinn (2021-03-07 09:26) 

ネオ・アッキー

middrinnさんこんにちは。
以前も、孔雀の雄も無くて子を産むというお話は取り上げていましたかしら・・・?
孔雀を飼うと火事(放火?)に遭うとは、あまり飼いたくない鳥さんですねぇ~
by ネオ・アッキー (2021-03-07 14:34) 

middrinn

孔雀は雄がいなくても卵を産むという話を前に取り上げたのが、
今回の記事の本文冒頭のリンク先です(^_^;) 雷鳴で卵を産む
とありますから、卵をとるか火事をとるかの選択ですね(^_^;)
by middrinn (2021-03-07 15:46) 

コメントを書く

お名前:[必須]
URL:[必須]
コメント:
画像認証:
下の画像に表示されている文字を入力してください。