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210205読んだ本

読書の厄介なところは、関連する本も次々と読み始めてしまうことである〇 o 。.~~━u( ゚̄  ̄=)プハァ

【読んだ本】

戸板康二『あの人この人 昭和人物誌』(文春文庫,1996)所蔵本

続けて、「川口松太郎の人情」を読んだが、「濃い人情味があ」って「魅力」的な人物と思えてくる
一篇(^^) 第一回直木賞を受賞した川口松太郎の(「風流深川唄」と「明治一代女」も収録している)
『鶴八鶴次郎』(中公文庫,1979)は、高校か大学の頃に買って、いい作品だなぁと思ったことだけは
憶えているが、それ以来一度も読んでないので、この機会に再読してみようかという気に(〃'∇'〃)

    ・・・/川口さんはもうひとつ、パーティーでの挨拶がじつに上手であった。
    頭の廻転の早さもよくわかったが、祝賀会だの婚礼の披露宴だので、マイクの前に
    立つと、その席の雰囲気、主賓あるいは新郎新婦の人柄などをよく見て当意即妙の
    挨拶をした。/演劇人や映画人が多く出席してテーブルについているような場合、
    当然、川口さんはメーン・テーブルにすわるのだが、婚礼の時にも、かならず
    指名されて立ち上る。/私は一度それを聞いたが、「きょう結ばれた新郎は、
    この席にいる森岩雄さん(東宝の重役)のような男性になって下さい。そして
    新婦は(とひと息入れて)私の隣にいる愛子のような女性になって下さい」
    というのであった。/もちろん、みんなドッと笑うが、ノロケでも何でもなく、
    川口さんは愛妻である三益愛子を、理想的な女として見ていたのである。/・・・

「ひと息入れ」るのが絶妙(^^) 私を例に挙げるかも!?と一瞬ドキドキした女性もいたりして(^_^;)

川口松太郎は戸板康二と同じ久保田万太郎門下でも最古参だし、戸板康二の直木賞受賞時の選考委員
であり、その「銓衡の時」の「発言」を紹介しているけど、同時受賞が司馬遼太郎なので大村彦次郎
『時代小説盛衰史(下)』(ちくま文庫,2012)が選考会の審議経過を詳述してて、川口松太郎の戸板
康二作品に対しての発言内容は異なっているが、ニュアンスの違いと解せなくもない(@_@;) だが、
本書の次の記述はどうなんだろう(@_@;)

    ・・・/川口さんは万太郎文学に心酔して、弟子にしてもらいたく訪ねた時、初対面で、
    予想していた繊細なやさ男とはまるでちがうイメージで驚いたそうだが、その日、
    天ぷらそばを御馳走になり、二度目の訪問の時、浅草の草津(料理屋)の隣の共遊軒で、
    一緒に球を突いたという。/・・・
    
「弟子にしてもらいたく訪ねた時、初対面」と戸板康二は記してるが、大村彦次郎『時代小説盛衰史
(上)』(ちくま文庫,2012)を披くと、川口松太郎が深川森下町の講釈師・悟道軒円玉の許へ通って
講談速記の手伝いをしてた頃の話として次のように描かれている(@_@;)

    ・・・円玉は口やかましい老人だったが、江戸の知識や漢籍の素養があったから、
    身近にいて学ぶことが多かった。また円玉の家には、彼の博識を乞うて、訪問客が
    絶えず、とくに新聞各社の芸能欄担当の記者が出入りした。ときに岡村柿紅、岡鬼太郎、
    久保田万太郎といった劇作家も顔を見せた。川口は書生よろしく円玉のうしろにきちんと
    坐って、彼らの話す片言隻句も聞き洩らすまい、と耳を傾けた。/とくに十歳年上の
    久保田万太郎が訪ねて来たときには緊張した。万太郎が小説「今戸橋」を書いて以来、
    同じ土地の先輩として早くから憧れ、駒形の久保田家の前をウロウロ歩いたりしたこと
    もあった。久保田の帰りがけに円玉が、「この男は、あなたの小説ばかり読んでいるん
    ですよ」と言って、川口を紹介した。それが縁で、川口は浅草三筋町に引っ越した
    久保田家を訪れるようになり、まもなく弟子入りまでさせて貰った。その頃、久保田は
    名作「末枯[うらがれ]」を発表、三田系の新鋭作家として注目されていたが、まだ
    文筆家として独立するまでの暮らしにはなっていなかった。袋物商を営む父親に寄食
    していた。久保田の父親勘五郎は息子に文学上の弟子がいる、と聞いて、驚いた。
    「うちの万太郎に弟子が出来たそうだ。世の中には、下には下があるもんだ」と、
    あきれたように言った。/・・・

やはり大村彦次郎の『時代小説盛衰史』は面白いなぁ(〃'∇'〃) また読みたくなっちゃうなぁ(^_^;)

・「江戸川乱歩の好奇心」は御愛想と思ってたところ「翌日」「速達」なのが〈ちょっといい〉(^^)

 ⇒ https://yomubeshi-yomubeshi.blog.ss-blog.jp/2021-01-07

・「徳川夢声の話術」は古川ロッパが夢声の声帯模写をしてラジオ聴取者が気付かなかった話(゚ロ゚;)

 ⇒ https://yomubeshi-yomubeshi.blog.ss-blog.jp/2021-01-11

・「有吉佐和子の笑い声」は彼女の推理小説の書評を頼まれるも「なぜこんなに下手なのだろう」(゚ロ゚;)

 ⇒ https://yomubeshi-yomubeshi.blog.ss-blog.jp/2021-01-18

・「菊田一夫の博愛」は新聞社から公職追放についての情報が伝えられ菊田一夫の名前もあった(゚ロ゚;)

 ⇒ https://yomubeshi-yomubeshi.blog.ss-blog.jp/2021-01-20

・「芥川比呂志の酒席」は初版本「羅生門」の末行が「下人の行方は、誰も知らない」に非ずと(゚ロ゚;)

 ⇒ https://yomubeshi-yomubeshi.blog.ss-blog.jp/2021-01-24

・「小泉喜美子の博識」では歌舞伎にも詳しい推理小説家の才気煥発ぶりも巧みに描かれる(〃'∇'〃)

 ⇒ https://yomubeshi-yomubeshi.blog.ss-blog.jp/2021-01-29

・「三島由紀夫の哄笑」では戸板康二による解説の「これは三島氏の若書きであるが」に誤植( ̄◇ ̄;)

 ⇒ https://yomubeshi-yomubeshi.blog.ss-blog.jp/2021-02-03

・戸板康二の「ちょっといい話」シリーズ4冊から〈真・ちょっといい話〉を選りすぐってみた(^_^;)

 ⇒ https://yomubeshi-yomubeshi.blog.ss-blog.jp/2020-12-27
コメント(16) 
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コメント 16

ニッキー

関連する本もですが、お気に入り作者の書いた本を
ネットで調べて大人買いするのがうちのかみさんです(ー ー;)
なので、時々「えっ?」って驚くほどの本が増量されてます(´・_・`)
ただ、そういう時のかみさんはひたすら読んでるので
何を聞いても生返事なんですよねぇw
by ニッキー (2021-02-05 21:08) 

middrinn

鬼コーチは読書に夢中オホホホ( ^^)/~~~~ ピシッ!
by middrinn (2021-02-05 21:25) 

yokomi

「下には下が....」とは面白いですね(^_^;) 本は増えるばかりですが、いつか腰椎ヘルニアで入院した時は積ん読を結構払い出ししました(^_^)v 次回はいつに入院することやら...(>_<) 最悪、棺桶であの世に送ってもらいます(^_^)v
by yokomi (2021-02-05 21:43) 

アニマルボイス

本やレコードを減らす方法は、引っ越ししかありません。
SFマガジンなど創刊号と1周年記念号(名作「アルジャーノンに花束を」が載っている)を除いて引っ越し時に100冊以上エイヤッと。(^^;
プレーヤーが壊れてもう見られなくなったレーザーディスクなど全くの無用の長物なんですが、もう15年も引っ越ししていないので未だに何十枚も・・・(≧Д≦;)
by アニマルボイス (2021-02-05 23:29) 

ナベちはる

読み始めると、次へ次へと読んでしまって気が付いたら時間があっという間に過ぎて…そういう意味では本は怖いですね(;`・_・´)
by ナベちはる (2021-02-06 01:14) 

middrinn

長谷川伸の葬儀で終わっているので、大昔の作家の話ばかりですけど、
大村彦次郎『時代小説盛衰史』は、マジでおススメできますよ(^o^)丿
yokomi様、父も読書家でやはり入院中も本を手離さなかったのですが、
病院で亡くなった際に読んでいたのが、ベストセラー時代小説家の本で、
小生からすると通俗的な作品を棺桶に入れて恥ずかしかったです(^_^;)
by middrinn (2021-02-06 06:05) 

middrinn

関連する本も次々と購入してしまうことである〇 o 。.~~━u( ゚̄  ̄=)プハァを
今夜の記事の枕に使用する予定で、昨夜の記事の枕の論旨が誤解されてますが、
アニマルボイス様、引っ越しでなくても小生は昨秋から処分を始めました(^^)
にしても、雑誌は再入手困難ですし、SFマガジン等のコレクションの御処分は、
流石に勿体無いですねぇ(´ヘ`;) きっと15年間に何度も後悔したはず(-ω-、)
by middrinn (2021-02-06 06:14) 

middrinn

それです! しかも、元々読んでた本はそっちのけで、
ナベちはる様、関連する本の方を読むことに(^_^;)
by middrinn (2021-02-06 06:16) 

そら

こう言う気の利いた人に私もなりたい(^^)
by そら (2021-02-06 06:43) 

middrinn

こーゆースピーチが出来る人に憧れますよね(^^)
by middrinn (2021-02-06 06:45) 

tai-yama

師匠達の雑談から知識を得るとは・・・・。知識を得られる雑談
も良いですね。コロナ禍なのに、私の住居前ででかい声で話して
いるご老人たちの雑談は。高齢者なんだからマスクしろよ!と。
by tai-yama (2021-02-06 19:16) 

middrinn

お部屋に招き入れて、ご老人たちのお話を伺えば、
tai-yama様も知識人になれるかもねv( ̄∇ ̄)ニヤッ
by middrinn (2021-02-06 19:24) 

アニマルボイス

あ、済みません。
上の記事はニッキーさん宛に書いたものです。m(__)m

確かに雑誌はかさばるのでつい処分してしまうのですが、後で手に入れられないことが多いので、おっしゃる通りです。あと、雑誌のまとめて処分は「ガロ」と「COM」ですが、とくに「COM」は創刊号から最終刊まで全巻そろっていたのでけっこういい値段で売れ、一眼レフカメラに化けました。
by アニマルボイス (2021-02-06 21:22) 

middrinn

「COM」全号を売っ払うなんてヾ(`◇´)ノ彡☆コノ! バカチンガァ!!
一眼レフカメラ売っても「COM」全号は買えなさそう(^_^;)
by middrinn (2021-02-06 21:30) 

アニマルボイス

反論できません。( >_< )
ただ、時々、「売って身軽になるんだー」ってことないですか?

背革の「ポオ全集」とか、ドイッチャーの「トロツキー3部作」とか、誰かが頭の中で「売ってしまいたまえ」と囁くんですよ。
最近、「水曜日が消えた」という映画を観ましたが、私にもそんな兆候があるのかもしれません。それとも、ボケ?(≧Д≦;)
by アニマルボイス (2021-02-06 23:05) 

middrinn

いつか奥様を捨て、家を捨て、名前も捨てて、『箱男』にヒィィィィィ(゚ロ゚;ノ)ノ
by middrinn (2021-02-07 07:00) 

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