210109読んだ本
ブラウジングのお蔭で機械の脳を求めてアンドロメダ星雲へ旅立たなくて済むも、久々にブックオフへ
朝イチで行くと見たことも聞いたこともない面白そうな岩波文庫を発見し注文する羽目に(ノ_-;)トホホ…
【読んだ本】
久保田淳『花のもの言う 四季のうた』(岩波現代文庫,2012)所蔵本
昨日の問題は、枕元に並んでる本を眺めてて、本書を披いたら解決したヤッタネ!!(v゚ー゚)ハ(゚▽゚v)ィェーィ♪
主題的に西村亨『王朝びとの四季』(講談社学術文庫,1979)と思い、同書を読み込んでたのに(^_^;)
本書の「一章 春の夜の夢の浮橋」の「梅と桜は」という一篇に次のように出ていた(^_^;)
・・・/その[四条大納言藤原]公任は花についても一家言があったらしい。
宇治殿[藤原]頼通と公任とが、春秋の花は何がすぐれているかということを
議論した。春は桜が第一、秋は菊が第一だというのが頼通の主張である。まずは
これが常識的な線であろう。それに対して公任は、「梅の候[さふら]はむうへは、
桜第一にてはいかが候ふべき」と反論した。それで梅桜優劣論となって、他の花に
ついての議論はあとまわしになってしまった。公任は頼通の権威を恐れて、強くは
主張しなかったものの、「なほ春の曙に紅梅の艶色捨てられがたし」と言った
というのである。このことは大江匡房の『江記』にあると、『古今著聞集』に
記されている。/・・・
この一篇は、後の方に次の記述もあり、流石、久保田淳、やはり面白い〇 o 。.~~━u( ゚̄  ̄=)プハァ
・・・/ところで、『古今著聞集』によれば桜派の頼通が、紅梅の歌を詠み、
しかも、それが彼の名歌とされているのだから面白い。
宇治殿、南面の紅梅に雪の積もれるを御覧じて、人を召して折らせ給ひて、
をられけりくれなゐにほふ梅の花けさ下枝に雪はふれども
[藤原]経衡を召してこの歌をたまはせければ、経衡騒ぎてまかり立ちにけり、
二、三日ありて、堀河右大臣[藤原頼宗]和歌をたてまつられけり。
をられける梅の立枝[たちえ]にふりまがふ雪はにほひて花や咲くらん (続古事談
・第二)
公任に啓発されて、政治家頼通も春の曙の紅梅の艶色を賞でるまでに進歩したので
あろうか。/・・・
この歌を頼通が詠んで頼宗に贈った話は、竹鼻績(全訳注)『今鏡(中)』(講談社学術文庫,1984)
にも出てる(^^) 「折られけり紅にほふ梅の花けさ白妙に雪は降れれど」として『新古今和歌集』にも
入っていることから、八代集入集歌が多くはない頼通にとって「彼の名歌」と評するのも解るけど、
久保田淳『新古今和歌集全注釈 一』(角川学芸出版,2011)の同歌に対する評価は次の通り(@_@;)
・・・/この作は「雪中梅」の趣向を歌っている。初句切れを用いているが、
無造作に詠まれた感じがする。これは、帝王ぶり(帝王にふさわしい堂々と
した歌風)に近い、いわば摂関ぶりの歌とでもいうべきものなのかもしれない。
[窪田空穂の]『完本評釈』では「美しいものに溺れる気分は見えるが、
詩情はあるとはいえない」と評している。妥当な評であろう。/
もし作者が摂関家の頼通じゃなければ、紅梅と白い雪とを対比した美しい情景、白梅だと雪と区別が
つかないので折るのも大変だが(⇒ https://yomubeshi-yomubeshi.blog.ss-blog.jp/2020-10-25 )、
紅梅なので折れたという素直な喜び等を詠んだ歌として、フツーに評価されるのにチト気の毒(^_^;)
朝イチで行くと見たことも聞いたこともない面白そうな岩波文庫を発見し注文する羽目に(ノ_-;)トホホ…
【読んだ本】
久保田淳『花のもの言う 四季のうた』(岩波現代文庫,2012)所蔵本
昨日の問題は、枕元に並んでる本を眺めてて、本書を披いたら解決したヤッタネ!!(v゚ー゚)ハ(゚▽゚v)ィェーィ♪
主題的に西村亨『王朝びとの四季』(講談社学術文庫,1979)と思い、同書を読み込んでたのに(^_^;)
本書の「一章 春の夜の夢の浮橋」の「梅と桜は」という一篇に次のように出ていた(^_^;)
・・・/その[四条大納言藤原]公任は花についても一家言があったらしい。
宇治殿[藤原]頼通と公任とが、春秋の花は何がすぐれているかということを
議論した。春は桜が第一、秋は菊が第一だというのが頼通の主張である。まずは
これが常識的な線であろう。それに対して公任は、「梅の候[さふら]はむうへは、
桜第一にてはいかが候ふべき」と反論した。それで梅桜優劣論となって、他の花に
ついての議論はあとまわしになってしまった。公任は頼通の権威を恐れて、強くは
主張しなかったものの、「なほ春の曙に紅梅の艶色捨てられがたし」と言った
というのである。このことは大江匡房の『江記』にあると、『古今著聞集』に
記されている。/・・・
この一篇は、後の方に次の記述もあり、流石、久保田淳、やはり面白い〇 o 。.~~━u( ゚̄  ̄=)プハァ
・・・/ところで、『古今著聞集』によれば桜派の頼通が、紅梅の歌を詠み、
しかも、それが彼の名歌とされているのだから面白い。
宇治殿、南面の紅梅に雪の積もれるを御覧じて、人を召して折らせ給ひて、
をられけりくれなゐにほふ梅の花けさ下枝に雪はふれども
[藤原]経衡を召してこの歌をたまはせければ、経衡騒ぎてまかり立ちにけり、
二、三日ありて、堀河右大臣[藤原頼宗]和歌をたてまつられけり。
をられける梅の立枝[たちえ]にふりまがふ雪はにほひて花や咲くらん (続古事談
・第二)
公任に啓発されて、政治家頼通も春の曙の紅梅の艶色を賞でるまでに進歩したので
あろうか。/・・・
この歌を頼通が詠んで頼宗に贈った話は、竹鼻績(全訳注)『今鏡(中)』(講談社学術文庫,1984)
にも出てる(^^) 「折られけり紅にほふ梅の花けさ白妙に雪は降れれど」として『新古今和歌集』にも
入っていることから、八代集入集歌が多くはない頼通にとって「彼の名歌」と評するのも解るけど、
久保田淳『新古今和歌集全注釈 一』(角川学芸出版,2011)の同歌に対する評価は次の通り(@_@;)
・・・/この作は「雪中梅」の趣向を歌っている。初句切れを用いているが、
無造作に詠まれた感じがする。これは、帝王ぶり(帝王にふさわしい堂々と
した歌風)に近い、いわば摂関ぶりの歌とでもいうべきものなのかもしれない。
[窪田空穂の]『完本評釈』では「美しいものに溺れる気分は見えるが、
詩情はあるとはいえない」と評している。妥当な評であろう。/
もし作者が摂関家の頼通じゃなければ、紅梅と白い雪とを対比した美しい情景、白梅だと雪と区別が
つかないので折るのも大変だが(⇒ https://yomubeshi-yomubeshi.blog.ss-blog.jp/2020-10-25 )、
紅梅なので折れたという素直な喜び等を詠んだ歌として、フツーに評価されるのにチト気の毒(^_^;)
タグ:和歌
2021-01-09 18:59
コメント(8)
発見しちゃったんですね(⌒-⌒; )
それはもう買わないわけにはいかないかとw
アンドロメダ星雲に行くよりはお安く済むはずw
by ニッキー (2021-01-09 21:22)
何せ初めて見た古本なので、ブックオフの値段が適切なのか判らず、
高い気もしたので、帰宅して相場をネットで確認し注文です(^_^;)
by middrinn (2021-01-09 21:26)
桜が大好きで、大好きな桜の歌を詠んでいるのに評価されなかった
のかも(笑)。だから余計、梅が嫌いになったり・・・・
by tai-yama (2021-01-09 23:00)
たしかに、頼通の頃には花といえば桜で、
桜を詠む歌が多かった可能性が(^_^;)
by middrinn (2021-01-10 05:57)
私は桜より梅かなぁ(^^)
by そら (2021-01-10 08:47)
梅は香りも(^o^)丿
by middrinn (2021-01-10 13:11)
middrinnさんこんにちは。
梅は、鑑賞するだけでなく、実も食用に出来るので、一挙両得というか、じつがあるのが、桜と対照的ですね。
by ネオ・アッキー (2021-01-10 14:16)
しかも、栄養価が高そうですしね(^^)
by middrinn (2021-01-10 14:49)