200914読んだ本
電気代が去年の同月分より30%も増加してたから節約するため当分の間は長い記事は書かぬ(´ヘ`;)
そんなわけで今日も新たに得た情報を過去の記事に「追記」しておいた〇 o 。.~~━u( ゚̄  ̄=)プハァ
【読んだ本】
角田喜久雄『妖棋伝』(春陽文庫,1991新装版)所蔵本
読了(^o^)丿 次の将軍が紀州の吉宗となり、正徳を享保と改元した日の夜、浅草の裏通りを歩いてた
武尊守人[ほたか もりんど]、近くでよろめくように男が倒れ、脇腹からおびただしい血を流して、
もはや助からない状態なので、「何か言い残すことは?」と尋ねると、「や、ま、び、こ・・・」と
口にして動かなくなり、その右手から落ちたのが、一枚の将棋の駒、銀将(@_@;) 番所に届けようと
思った瞬間、声をかけられた守人が振り向くと、黒頭巾の間から覗かせた顔は醜悪で、眼も鼻も膿み
つぶれた、もの凄~い容貌の浪人風の男( ̄◇ ̄;) 拾った物を寄こせと言われて、欲しければ番所で
と答えた守人に対して、男は「俺の名前を知ってるか? 縄いたち、それが俺の名だ」と、夜の江戸で
一条の縄を電光如く振るっては暴行を働くことで恐れられ、悪鬼の別名のように取り沙汰されていた
素性不明の人物「縄いたち」だと言うのだヒィィィィィ(゚ロ゚;ノ)ノ 流石に驚いた守人だが、世間には知られて
いない武尊流という縄術、その稀代の名人だった故・武尊右衛門の実は次男で、守人自身も縄術には
自信があったので、上州の武尊山の山麓にある藤原という村から江戸に出て来て、魔法のように縄を
操るという縄いたちの噂を耳にし、その縄術を一度見てみたいと思っていた(^^) 縄術で対決するが、
縄いたちが何故か武尊流縄術を使うことに守人は気付き、縄いたちも「武尊流縄術だのう?おめえは
だれさまなんだ?」と尋ねて、守人が名乗ると、仲直りしようなどと言い出した(^_^;) そこへ、謎の
集団が現われ、横たわっていた死体の衣服の中を探し始めるも「ない!」「やい、縄いたち!貴様、
この死人から、何か盗ったであろう?」となり、その男たちを相手に縄いたちは縄術の秘技を次々と
繰り出し倒していく・・・角田喜久雄の出世作とされる時代伝奇小説だが、納得の作品v( ̄∇ ̄)ニヤッ
角田喜久雄『怪異雛人形』(講談社大衆文学館文庫コレクション,1995)巻末に収録されてる縄田一男
「人と作品 角田喜久雄」は、ミステリー的な角田喜久雄の時代伝奇小説の諸作品を完全ネタバレさせ
てる大馬鹿解説だが、『妖棋伝』についても次のように紹介してて、間違い等が散見される(@_@;)
・・・翌[昭和]十年、出世作『妖棋伝』を発表。この作品は、関白秀次遺愛の
将棋の駒「山彦」をめぐり、縄術の達人武尊守人、怪物縄いたち、妖婦仙珠院、
捕物小町らが活躍する、謎と怪奇を主軸とした前述の推理小説的手法による長編で、
後年、山田風太郎は、ミステリーにおける〈意外な犯人〉の醍醐味をこの作品によって
はじめて味わったと告白している。/『妖棋伝』は、もともと昭和八年に「報知新聞」
が映画原作用の連載小説を募集した際に作者が投稿したもの。多少、難があったので
選者の一人だった野村胡堂が懇切な注意書きを添えて返してくれ、これを書き直して
「日の出」の編集部にあずけてあった作品だった。それが林不忘の急死により雑誌に
穴があいたため、急きょ、同誌の昭和十年四月から翌年六月にかけて連載されることに
なったのである。・・・もともと映画化を前提としたものであったし、その映画的な
動きを取り入れた文体は、ストーリーの面白さと相まってたちまち読者を魅了、単行本
刊行の際には斯界の巨匠、三上於菟吉が自ら筆をとって新聞広告の文章を書くほどの
評判となったのである。/・・・
先ず第一に「捕物小町らが活躍」とあるが、「与力小町」の間違いヾ(`◇´)ノ彡☆コノ! バカチンガァ!!
しかも、「活躍」という表現もどうかと思うし(もしかして「将棋小町」のことと取り違えたか)、
また「縄いたち」も「怪物」というより〈怪人〉の方が適切な形容かと(^_^;) 第二の間違いとして、
角田喜久雄『半九郎闇日記(下)』(小学館文庫,2010)巻末の北上次郎「解説」を引く(@_@;)
/拙著『冒険小説論』の中に、角田喜久雄を論じた項がある。その一節を訂正する
ところからこの解説を始めたい。
角田喜久雄の出世作となった『妖棋伝』は、もともと報知新聞の映画小説募集
に応じて書いたもので、入選を逸してから書き直し、新潮社の「日の出」に
持ち込んだところ、林不忘の急逝によって急遽連載され、大ヒットしたという。
と私はその書の中で書いているのだが、「妖棋伝」が連載された雑誌「日の出」の昭和
十年四月号から翌年六月号である。対して、林不忘が三十五歳の若さで急逝したのは
昭和十年六月である。つまり、林不忘が急逝する前に「妖棋伝」の連載は始まっている。
これでは「林不忘の急逝によって急遽連載され」ということはあり得ない。/・・・/
・・・『時代小説盛衰史』の中で、「連載が開始されてまもなく、その年の六月に
〈丹下左膳〉で有名な林不忘が急逝した。結果的に人気絶頂の不忘が死んであいた穴を
角田喜久雄が埋めることになった」と大村彦次郎はきちんと書いている。・・・
北上次郎は角田喜久雄自身の記憶違いに基づくインタヴュー発言に依拠したために間違えたらしく、
縄田一男も同様の理由で間違えたのだろう(@_@;) 第三に「多少、難があったので選者の一人だった
野村胡堂が懇切な注意書きを添えて返してくれ」の件、北上次郎が「きちんと書いている」と評した
大村彦次郎『時代小説盛衰史(上)』(ちくま文庫,2012)は次のように記している(@_@;)
・・・まもなく選者の野村胡堂からこの作品は題材的に新聞社のタブーに抵触し、
審査の対象にできないから了解してほしい、という丁重な釈明の手紙が来た。/・・・
折角なんで、『妖棋伝』が如何に高く評価された作品か同書から引いておくオホホホ!!♪( ̄▽+ ̄*)
・・・角田の登場を「雪之丞変化」の作者三上於菟吉が一面識もないのに推奨した。
彼の許を訪れる各社の編集者の誰かれに、角田の「妖棋伝」を読むようにと口説いた。
そればかりか彼の口添えで、読売の新聞連載まで、お膳立てされた。三上と角田は
十五歳の年齢差があった。・・・/・・・/角田喜久雄の才能をいち早く認めたのは
三上於菟吉であった。彼の胸中には佐々木味津三、直木三十五、林不忘亡きあとの
伝奇ロマンの継承者として、この新人の才能に托する思いがつよかった。この当時、
三上は代表作の「淀君」「千姫」「雪之丞変化」を書いて、飛ぶ鳥を落とす勢いの
花形作家であった。また菊池[寛]に続く文壇高額所得者でもあった。・・・
さて、本作品は例の如くミステリー的手法で謎によって読み手を引っ張るんだけど、他方で主人公や
ヒロインが何とかピンチを脱出して読み手が安心した途端に新たな罠に落ちてしまうというパターン
を何度も繰り返して、巻を措く能わず、寝かせないぞ状態にさせる角田喜久雄の時代伝奇小説傑作群
とは違うところが、出世作=初期の作品だからか(^_^;) それに、傑作群だと、キャラ、とりわけ悪役
がメチャ魅力的に描かれるんだけど、本作品は謎めいたキャラが次々と登場する一方で(縄田一男が
紹介した上記のキャラ以外にもいるし、また伊藤宗印や大岡忠相も登場)、実に巧みなどんでん返し
(縄田一男が紹介する山田風太郎の言う「〈意外な犯人〉の醍醐味」か?)が(⌒~⌒) 楓タン(;_;)
・主人公の棋聖天野宗歩よりもドS悪役の高砂蔵人が凄くてイチオシの傑作(^^)v お菊さま♡(*'ε`*)チゥ
『まぼろし若衆』⇒ https://yomubeshi-yomubeshi.blog.ss-blog.jp/2017-02-15
・生き甲斐は女と色情の前島数弥などキャラ造型が流石で番町の姫君お京さまがツンデレで可愛い(;_;)
『緋牡丹盗賊』⇒ https://yomubeshi-yomubeshi.blog.ss-blog.jp/2017-04-08
・平賀源内らが駆けつけると女の死体の乳房に「死人詰め」なる詰将棋のような図というマジ傑作(^^)v
『将棋大名』⇒ https://yomubeshi-yomubeshi.blog.ss-blog.jp/2020-06-02
・大岡越前もお手上げの謎の事件が次々(゚ロ゚;)「影さま」の正体は?「怪物男」とは?マジで傑作(^^)v
『寝みだれ夜叉』上⇒ https://yomubeshi-yomubeshi.blog.ss-blog.jp/2016-12-02
『寝みだれ夜叉』下⇒ https://yomubeshi-yomubeshi.blog.ss-blog.jp/2016-12-04
・『寝みだれ夜叉』の主人公水木半九郎が主役の半九郎四部作第1作でジェットコースター的展開(^_^;)
『恋慕奉行』上⇒ https://yomubeshi-yomubeshi.blog.ss-blog.jp/2017-04-10
『恋慕奉行』下⇒ https://yomubeshi-yomubeshi.blog.ss-blog.jp/2017-04-18
・討入後14年も大石内蔵助目撃に於兔姫や亀に浦島太郎と角田ワールド全開で寝不足必至北上次郎選(^^)
『半九郎闇日記』上・下⇒ https://yomubeshi-yomubeshi.blog.ss-blog.jp/2017-07-01
・「あの娘さんの顔、印籠の絵の、裸の女とそっくりじゃアないか!」(゚ロ゚;) 半九郎四部作完結(^^)v
『盗っ人奉行』上・下⇒ https://yomubeshi-yomubeshi.blog.ss-blog.jp/2019-08-27
・お蝶が目撃した殺人の死体は9年前死んだ大高源吾だし泉岳寺では生きている大石内蔵助に遭遇(゚ロ゚;)
『妖異忠臣蔵』⇒ https://yomubeshi-yomubeshi.blog.ss-blog.jp/2018-01-28
・毛色の異なる作品もキャラの魅力で最後までニコニコ愉しんで読んでたら大ドンデン返しが( ̄◇ ̄;)
『虹に立つ侍』⇒ https://yomubeshi-yomubeshi.blog.ss-blog.jp/2017-08-24
・ほぼミステリーで読者をぐいぐい引っ張って伏線も次々と確実に回収するストーリーテラーぶり(^^)v
『振袖地獄』⇒ https://yomubeshi-yomubeshi.blog.ss-blog.jp/2017-03-30
・主人公は「鹿子絞りの振袖に島田髷の美女お紋」もハーレム展開と思わせつつ最後まで飽かせず^_^;
『緋鹿子伝法』⇒ https://yomubeshi-yomubeshi.blog.ss-blog.jp/2017-07-03
・くちなし小町お多加はお姫様の恰好をさせられ墓参りのバイト(゚o゚;) 各キャラの絡みが愉しいね(^^)
『姫夜叉行状記』⇒ https://yomubeshi-yomubeshi.blog.ss-blog.jp/2017-08-21
・夜更けに立っている若い娘を通りがかりの男が覗きこむとのっぺらぼうだったという白蝋小町(゚ロ゚;)
『白蝋小町』⇒ https://yomubeshi-yomubeshi.blog.ss-blog.jp/2018-01-30
・『白蝋小町』から9年、江戸に戻った吾妻一兵は闇太郎様の謎を追っていきなり絶体絶命の危機(゚ロ゚;)
『闇太郎変化』⇒ https://yomubeshi-yomubeshi.blog.ss-blog.jp/2019-02-18
・月姫とは何者?その秘密とは?大久保長安に乱破や忍者など色々なキャラが登場して卍巴の展開(^^)
『月姫系図』⇒ https://yomubeshi-yomubeshi.blog.ss-blog.jp/2019-07-30
・小源太が発見した無人の小舟に横たわってた白無垢の花嫁姿の若い女、記憶が半年間無い( ̄◇ ̄;)
『赤姫秘文』⇒ https://yomubeshi-yomubeshi.blog.ss-blog.jp/2019-12-30
・お喜美の頭上に真っ赤な塊りが覆いかぶさってきて「赤屋敷へこい。赤屋敷へこい」ヒィィィィィ(゚ロ゚;ノ)ノ
『雪太郎乳房』⇒ https://yomubeshi-yomubeshi.blog.ss-blog.jp/2020-02-07
・お喜美を追ってきた荒くれ侍4人を次々と倒す春の家春之助は名女形だが御嶽神陰流の使い手(゚ロ゚;)
『折鶴七変化』⇒ https://yomubeshi-yomubeshi.blog.ss-blog.jp/2020-05-28
・瀬戸内を主な舞台として舟姫呪文の謎をめぐって何ともホロ苦~い人間模様が展開される佳作か^_^;
『舟姫潮姫』⇒ https://yomubeshi-yomubeshi.blog.ss-blog.jp/2019-08-10
・敵の企てはスケールが大きく絵空事感も、どんでん返しあり、充分に愉しめた(^^) お都賀さん(;_;)
『霧丸霧がくれ』⇒ https://yomubeshi-yomubeshi.blog.ss-blog.jp/2020-09-01
・他作品と違いリアリティーある謎だし出自や身分の軛からの自由を求める女性達を描いて名作(^o^)丿
『酔いどれ牡丹』⇒ https://yomubeshi-yomubeshi.blog.ss-blog.jp/2019-08-24
・お光は産みの親が待ってるかもと向かった湯島天神で拉致され老中阿部正弘の養女も行方不明(゚ロ゚;)
『妖花伝』⇒ https://yomubeshi-yomubeshi.blog.ss-blog.jp/2020-06-15
・面白いけど縄田一男の「戦後の角田作品の最高峰」「角田作品の集大成」との評は違うかと(@_@;)
『影丸極道帖』上⇒ https://yomubeshi-yomubeshi.blog.ss-blog.jp/2018-04-22
『影丸極道帖』下⇒ https://yomubeshi-yomubeshi.blog.ss-blog.jp/2018-06-14
・ヒロインにイライラも、角田喜久雄のチョー面白い時代伝奇小説群の中ではチト残念な作品か(^_^;)
『お小夜悲願』⇒ https://yomubeshi-yomubeshi.blog.ss-blog.jp/2020-07-25
・角田喜久雄『怪異雛人形』(講談社大衆文学館文庫コレクション,1995)所収の中篇短篇v( ̄∇ ̄)ニヤッ
「怪異雛人形」⇒ https://yomubeshi-yomubeshi.blog.ss-blog.jp/2017-08-08
「鬼面三人組」⇒ https://yomubeshi-yomubeshi.blog.ss-blog.jp/2017-08-11
「美しき白鬼」⇒ https://yomubeshi-yomubeshi.blog.ss-blog.jp/2017-08-14
「恋文地獄」⇒ https://yomubeshi-yomubeshi.blog.ss-blog.jp/2017-08-15
「自殺屋敷」⇒ https://yomubeshi-yomubeshi.blog.ss-blog.jp/2017-08-18
「悪魔凧」⇒ https://yomubeshi-yomubeshi.blog.ss-blog.jp/2017-08-19
「逆立小僧」⇒ https://yomubeshi-yomubeshi.blog.ss-blog.jp/2017-08-20
そんなわけで今日も新たに得た情報を過去の記事に「追記」しておいた〇 o 。.~~━u( ゚̄  ̄=)プハァ
【読んだ本】
角田喜久雄『妖棋伝』(春陽文庫,1991新装版)所蔵本
読了(^o^)丿 次の将軍が紀州の吉宗となり、正徳を享保と改元した日の夜、浅草の裏通りを歩いてた
武尊守人[ほたか もりんど]、近くでよろめくように男が倒れ、脇腹からおびただしい血を流して、
もはや助からない状態なので、「何か言い残すことは?」と尋ねると、「や、ま、び、こ・・・」と
口にして動かなくなり、その右手から落ちたのが、一枚の将棋の駒、銀将(@_@;) 番所に届けようと
思った瞬間、声をかけられた守人が振り向くと、黒頭巾の間から覗かせた顔は醜悪で、眼も鼻も膿み
つぶれた、もの凄~い容貌の浪人風の男( ̄◇ ̄;) 拾った物を寄こせと言われて、欲しければ番所で
と答えた守人に対して、男は「俺の名前を知ってるか? 縄いたち、それが俺の名だ」と、夜の江戸で
一条の縄を電光如く振るっては暴行を働くことで恐れられ、悪鬼の別名のように取り沙汰されていた
素性不明の人物「縄いたち」だと言うのだヒィィィィィ(゚ロ゚;ノ)ノ 流石に驚いた守人だが、世間には知られて
いない武尊流という縄術、その稀代の名人だった故・武尊右衛門の実は次男で、守人自身も縄術には
自信があったので、上州の武尊山の山麓にある藤原という村から江戸に出て来て、魔法のように縄を
操るという縄いたちの噂を耳にし、その縄術を一度見てみたいと思っていた(^^) 縄術で対決するが、
縄いたちが何故か武尊流縄術を使うことに守人は気付き、縄いたちも「武尊流縄術だのう?おめえは
だれさまなんだ?」と尋ねて、守人が名乗ると、仲直りしようなどと言い出した(^_^;) そこへ、謎の
集団が現われ、横たわっていた死体の衣服の中を探し始めるも「ない!」「やい、縄いたち!貴様、
この死人から、何か盗ったであろう?」となり、その男たちを相手に縄いたちは縄術の秘技を次々と
繰り出し倒していく・・・角田喜久雄の出世作とされる時代伝奇小説だが、納得の作品v( ̄∇ ̄)ニヤッ
角田喜久雄『怪異雛人形』(講談社大衆文学館文庫コレクション,1995)巻末に収録されてる縄田一男
「人と作品 角田喜久雄」は、ミステリー的な角田喜久雄の時代伝奇小説の諸作品を完全ネタバレさせ
てる大馬鹿解説だが、『妖棋伝』についても次のように紹介してて、間違い等が散見される(@_@;)
・・・翌[昭和]十年、出世作『妖棋伝』を発表。この作品は、関白秀次遺愛の
将棋の駒「山彦」をめぐり、縄術の達人武尊守人、怪物縄いたち、妖婦仙珠院、
捕物小町らが活躍する、謎と怪奇を主軸とした前述の推理小説的手法による長編で、
後年、山田風太郎は、ミステリーにおける〈意外な犯人〉の醍醐味をこの作品によって
はじめて味わったと告白している。/『妖棋伝』は、もともと昭和八年に「報知新聞」
が映画原作用の連載小説を募集した際に作者が投稿したもの。多少、難があったので
選者の一人だった野村胡堂が懇切な注意書きを添えて返してくれ、これを書き直して
「日の出」の編集部にあずけてあった作品だった。それが林不忘の急死により雑誌に
穴があいたため、急きょ、同誌の昭和十年四月から翌年六月にかけて連載されることに
なったのである。・・・もともと映画化を前提としたものであったし、その映画的な
動きを取り入れた文体は、ストーリーの面白さと相まってたちまち読者を魅了、単行本
刊行の際には斯界の巨匠、三上於菟吉が自ら筆をとって新聞広告の文章を書くほどの
評判となったのである。/・・・
先ず第一に「捕物小町らが活躍」とあるが、「与力小町」の間違いヾ(`◇´)ノ彡☆コノ! バカチンガァ!!
しかも、「活躍」という表現もどうかと思うし(もしかして「将棋小町」のことと取り違えたか)、
また「縄いたち」も「怪物」というより〈怪人〉の方が適切な形容かと(^_^;) 第二の間違いとして、
角田喜久雄『半九郎闇日記(下)』(小学館文庫,2010)巻末の北上次郎「解説」を引く(@_@;)
/拙著『冒険小説論』の中に、角田喜久雄を論じた項がある。その一節を訂正する
ところからこの解説を始めたい。
角田喜久雄の出世作となった『妖棋伝』は、もともと報知新聞の映画小説募集
に応じて書いたもので、入選を逸してから書き直し、新潮社の「日の出」に
持ち込んだところ、林不忘の急逝によって急遽連載され、大ヒットしたという。
と私はその書の中で書いているのだが、「妖棋伝」が連載された雑誌「日の出」の昭和
十年四月号から翌年六月号である。対して、林不忘が三十五歳の若さで急逝したのは
昭和十年六月である。つまり、林不忘が急逝する前に「妖棋伝」の連載は始まっている。
これでは「林不忘の急逝によって急遽連載され」ということはあり得ない。/・・・/
・・・『時代小説盛衰史』の中で、「連載が開始されてまもなく、その年の六月に
〈丹下左膳〉で有名な林不忘が急逝した。結果的に人気絶頂の不忘が死んであいた穴を
角田喜久雄が埋めることになった」と大村彦次郎はきちんと書いている。・・・
北上次郎は角田喜久雄自身の記憶違いに基づくインタヴュー発言に依拠したために間違えたらしく、
縄田一男も同様の理由で間違えたのだろう(@_@;) 第三に「多少、難があったので選者の一人だった
野村胡堂が懇切な注意書きを添えて返してくれ」の件、北上次郎が「きちんと書いている」と評した
大村彦次郎『時代小説盛衰史(上)』(ちくま文庫,2012)は次のように記している(@_@;)
・・・まもなく選者の野村胡堂からこの作品は題材的に新聞社のタブーに抵触し、
審査の対象にできないから了解してほしい、という丁重な釈明の手紙が来た。/・・・
折角なんで、『妖棋伝』が如何に高く評価された作品か同書から引いておくオホホホ!!♪( ̄▽+ ̄*)
・・・角田の登場を「雪之丞変化」の作者三上於菟吉が一面識もないのに推奨した。
彼の許を訪れる各社の編集者の誰かれに、角田の「妖棋伝」を読むようにと口説いた。
そればかりか彼の口添えで、読売の新聞連載まで、お膳立てされた。三上と角田は
十五歳の年齢差があった。・・・/・・・/角田喜久雄の才能をいち早く認めたのは
三上於菟吉であった。彼の胸中には佐々木味津三、直木三十五、林不忘亡きあとの
伝奇ロマンの継承者として、この新人の才能に托する思いがつよかった。この当時、
三上は代表作の「淀君」「千姫」「雪之丞変化」を書いて、飛ぶ鳥を落とす勢いの
花形作家であった。また菊池[寛]に続く文壇高額所得者でもあった。・・・
さて、本作品は例の如くミステリー的手法で謎によって読み手を引っ張るんだけど、他方で主人公や
ヒロインが何とかピンチを脱出して読み手が安心した途端に新たな罠に落ちてしまうというパターン
を何度も繰り返して、巻を措く能わず、寝かせないぞ状態にさせる角田喜久雄の時代伝奇小説傑作群
とは違うところが、出世作=初期の作品だからか(^_^;) それに、傑作群だと、キャラ、とりわけ悪役
がメチャ魅力的に描かれるんだけど、本作品は謎めいたキャラが次々と登場する一方で(縄田一男が
紹介した上記のキャラ以外にもいるし、また伊藤宗印や大岡忠相も登場)、実に巧みなどんでん返し
(縄田一男が紹介する山田風太郎の言う「〈意外な犯人〉の醍醐味」か?)が(⌒~⌒) 楓タン(;_;)
・主人公の棋聖天野宗歩よりもドS悪役の高砂蔵人が凄くてイチオシの傑作(^^)v お菊さま♡(*'ε`*)チゥ
『まぼろし若衆』⇒ https://yomubeshi-yomubeshi.blog.ss-blog.jp/2017-02-15
・生き甲斐は女と色情の前島数弥などキャラ造型が流石で番町の姫君お京さまがツンデレで可愛い(;_;)
『緋牡丹盗賊』⇒ https://yomubeshi-yomubeshi.blog.ss-blog.jp/2017-04-08
・平賀源内らが駆けつけると女の死体の乳房に「死人詰め」なる詰将棋のような図というマジ傑作(^^)v
『将棋大名』⇒ https://yomubeshi-yomubeshi.blog.ss-blog.jp/2020-06-02
・大岡越前もお手上げの謎の事件が次々(゚ロ゚;)「影さま」の正体は?「怪物男」とは?マジで傑作(^^)v
『寝みだれ夜叉』上⇒ https://yomubeshi-yomubeshi.blog.ss-blog.jp/2016-12-02
『寝みだれ夜叉』下⇒ https://yomubeshi-yomubeshi.blog.ss-blog.jp/2016-12-04
・『寝みだれ夜叉』の主人公水木半九郎が主役の半九郎四部作第1作でジェットコースター的展開(^_^;)
『恋慕奉行』上⇒ https://yomubeshi-yomubeshi.blog.ss-blog.jp/2017-04-10
『恋慕奉行』下⇒ https://yomubeshi-yomubeshi.blog.ss-blog.jp/2017-04-18
・討入後14年も大石内蔵助目撃に於兔姫や亀に浦島太郎と角田ワールド全開で寝不足必至北上次郎選(^^)
『半九郎闇日記』上・下⇒ https://yomubeshi-yomubeshi.blog.ss-blog.jp/2017-07-01
・「あの娘さんの顔、印籠の絵の、裸の女とそっくりじゃアないか!」(゚ロ゚;) 半九郎四部作完結(^^)v
『盗っ人奉行』上・下⇒ https://yomubeshi-yomubeshi.blog.ss-blog.jp/2019-08-27
・お蝶が目撃した殺人の死体は9年前死んだ大高源吾だし泉岳寺では生きている大石内蔵助に遭遇(゚ロ゚;)
『妖異忠臣蔵』⇒ https://yomubeshi-yomubeshi.blog.ss-blog.jp/2018-01-28
・毛色の異なる作品もキャラの魅力で最後までニコニコ愉しんで読んでたら大ドンデン返しが( ̄◇ ̄;)
『虹に立つ侍』⇒ https://yomubeshi-yomubeshi.blog.ss-blog.jp/2017-08-24
・ほぼミステリーで読者をぐいぐい引っ張って伏線も次々と確実に回収するストーリーテラーぶり(^^)v
『振袖地獄』⇒ https://yomubeshi-yomubeshi.blog.ss-blog.jp/2017-03-30
・主人公は「鹿子絞りの振袖に島田髷の美女お紋」もハーレム展開と思わせつつ最後まで飽かせず^_^;
『緋鹿子伝法』⇒ https://yomubeshi-yomubeshi.blog.ss-blog.jp/2017-07-03
・くちなし小町お多加はお姫様の恰好をさせられ墓参りのバイト(゚o゚;) 各キャラの絡みが愉しいね(^^)
『姫夜叉行状記』⇒ https://yomubeshi-yomubeshi.blog.ss-blog.jp/2017-08-21
・夜更けに立っている若い娘を通りがかりの男が覗きこむとのっぺらぼうだったという白蝋小町(゚ロ゚;)
『白蝋小町』⇒ https://yomubeshi-yomubeshi.blog.ss-blog.jp/2018-01-30
・『白蝋小町』から9年、江戸に戻った吾妻一兵は闇太郎様の謎を追っていきなり絶体絶命の危機(゚ロ゚;)
『闇太郎変化』⇒ https://yomubeshi-yomubeshi.blog.ss-blog.jp/2019-02-18
・月姫とは何者?その秘密とは?大久保長安に乱破や忍者など色々なキャラが登場して卍巴の展開(^^)
『月姫系図』⇒ https://yomubeshi-yomubeshi.blog.ss-blog.jp/2019-07-30
・小源太が発見した無人の小舟に横たわってた白無垢の花嫁姿の若い女、記憶が半年間無い( ̄◇ ̄;)
『赤姫秘文』⇒ https://yomubeshi-yomubeshi.blog.ss-blog.jp/2019-12-30
・お喜美の頭上に真っ赤な塊りが覆いかぶさってきて「赤屋敷へこい。赤屋敷へこい」ヒィィィィィ(゚ロ゚;ノ)ノ
『雪太郎乳房』⇒ https://yomubeshi-yomubeshi.blog.ss-blog.jp/2020-02-07
・お喜美を追ってきた荒くれ侍4人を次々と倒す春の家春之助は名女形だが御嶽神陰流の使い手(゚ロ゚;)
『折鶴七変化』⇒ https://yomubeshi-yomubeshi.blog.ss-blog.jp/2020-05-28
・瀬戸内を主な舞台として舟姫呪文の謎をめぐって何ともホロ苦~い人間模様が展開される佳作か^_^;
『舟姫潮姫』⇒ https://yomubeshi-yomubeshi.blog.ss-blog.jp/2019-08-10
・敵の企てはスケールが大きく絵空事感も、どんでん返しあり、充分に愉しめた(^^) お都賀さん(;_;)
『霧丸霧がくれ』⇒ https://yomubeshi-yomubeshi.blog.ss-blog.jp/2020-09-01
・他作品と違いリアリティーある謎だし出自や身分の軛からの自由を求める女性達を描いて名作(^o^)丿
『酔いどれ牡丹』⇒ https://yomubeshi-yomubeshi.blog.ss-blog.jp/2019-08-24
・お光は産みの親が待ってるかもと向かった湯島天神で拉致され老中阿部正弘の養女も行方不明(゚ロ゚;)
『妖花伝』⇒ https://yomubeshi-yomubeshi.blog.ss-blog.jp/2020-06-15
・面白いけど縄田一男の「戦後の角田作品の最高峰」「角田作品の集大成」との評は違うかと(@_@;)
『影丸極道帖』上⇒ https://yomubeshi-yomubeshi.blog.ss-blog.jp/2018-04-22
『影丸極道帖』下⇒ https://yomubeshi-yomubeshi.blog.ss-blog.jp/2018-06-14
・ヒロインにイライラも、角田喜久雄のチョー面白い時代伝奇小説群の中ではチト残念な作品か(^_^;)
『お小夜悲願』⇒ https://yomubeshi-yomubeshi.blog.ss-blog.jp/2020-07-25
・角田喜久雄『怪異雛人形』(講談社大衆文学館文庫コレクション,1995)所収の中篇短篇v( ̄∇ ̄)ニヤッ
「怪異雛人形」⇒ https://yomubeshi-yomubeshi.blog.ss-blog.jp/2017-08-08
「鬼面三人組」⇒ https://yomubeshi-yomubeshi.blog.ss-blog.jp/2017-08-11
「美しき白鬼」⇒ https://yomubeshi-yomubeshi.blog.ss-blog.jp/2017-08-14
「恋文地獄」⇒ https://yomubeshi-yomubeshi.blog.ss-blog.jp/2017-08-15
「自殺屋敷」⇒ https://yomubeshi-yomubeshi.blog.ss-blog.jp/2017-08-18
「悪魔凧」⇒ https://yomubeshi-yomubeshi.blog.ss-blog.jp/2017-08-19
「逆立小僧」⇒ https://yomubeshi-yomubeshi.blog.ss-blog.jp/2017-08-20
タグ:小説
うちは4月から5月いっぱいかみさんがコロナ自粛で
家にいたので、電気代だけでなく水道代も大幅アップしました(°_°)
電気の方は普通に検針票が入ってただけですが、
水道の方は検針票とともに「急激に水道代が増えてます。
漏水の可能性があるので至急お調べください」と手紙が来てました(*_*)
水道代は戻りましたが、それ以上に夏の電気代はため息が出る金額に・・・(ー ー;)
まぁ、ニャンズが体調不良で病院にかかるよりもマシなんですけどね(⌒-⌒; )
by ニッキー (2020-09-14 22:01)
吉宗の時代なのに、関白秀次の駒とは。時代劇SFっぽい感じもしたり。
菊池寛が高額所得者だったとは知らなかった・・・・
大正後期-昭和初期の作家は貧乏っぽいイメージがあったので(笑)。
by tai-yama (2020-09-14 23:18)
30%増加…orz
しばらく節約しないといけないですね…
by ナベちはる (2020-09-15 00:37)
縄術?
瞬く間に敵を縛っちゃうのかねぇ?
一度見てみたい!!
by そら (2020-09-15 06:38)
もしかしたら奥様は温泉の素を使って、
ニッキー様のお留守に毎日温泉気分を
圭太様らと満喫されてたとか(^_^;)
by middrinn (2020-09-15 08:42)
現代で言えば、村上春樹ぐらいのベストセラー小説を、
tai-yama様、菊池寛は出しまくってたのかも(^_^;)
by middrinn (2020-09-15 08:46)
しばらくの間は気軽に本とか、
ナベちはる様、買えません(..)
by middrinn (2020-09-15 08:48)
それは亀甲縛りとかSMのイメージですかね(^_^;)
そら様、縄を鞭の如く武器として使うようです(^^)
by middrinn (2020-09-15 08:50)