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200427読んだ本

ずっと欲しかった本が出品されたキタ━━━━゚+.ヽ(≧▽≦)ノ.+゚━━━━!!!! が、定価10000円余のを
絶版品切とはいえ20049円は高いヒィィィィィ(゚ロ゚;ノ)ノ 「良い」だけどコンディション説明文がテンプレで、
「書込み等ある場合がございます」は気になるし、函付きか裸本なのかも判らん(´ヘ`;) 奇怪なのは
今日注文しても「5/19~24の間にお届けします」はチトかかり過ぎだろ∑( ̄ロ ̄|||)ニャンですと!?

【読んだ本】

有吉保『百人一首』(講談社学術文庫,1983)所蔵本

藤原道綱母の「嘆きつつひとり寝る夜の明くる間はいかに久しきものとかは知る」は、『蜻蛉日記』
と勅撰集『拾遺和歌集』の詞書を比較すると、その詠作事情が異なると多くの注釈書が指摘してて、
例えば、本書の同歌の〔鑑賞〕から引く(@_@;)

    /『拾遺集』によれば、夫である入道摂政(藤原兼家、当時二七歳で、官位は
    従五位右兵衛佐)がやってきた時に、長い間待たせた後に門を開けたところ、
    「立ちわづらひぬ」(立ちくたびれた)と言ったので詠んだ歌である。この
    詠作事情に従えば、自分のもとを訪れた夫に、日ごろの独り寝のわびしさを
    訴えた歌で、夫が門前に待たされた時間を短いものとし、それに独り寝する
    夜の長い時間を対照させ、嘆きながら明かす夜の長さなど解るまいと詠んでいる。
    ところが、『蜻蛉日記』によると、結婚の翌年、二人の間に道綱が生まれて
    数ヵ月しか経っていない天暦九(九五五)年の一一月のある暁方、そのころ、
    新たに町の小路の女のもとへ通い初[ママ]めていた夫が来訪し、門をたたく
    音がしたが、門を開けさせずにいたところ、夫はその女の家へ行った様子
    だったので、翌朝「うつろひたる菊」に添えて送った歌ということになる。
    色の移り変った菊に、心の移ろい変った夫を暗示させ、「いかに久しき
    ものとかは知る」と強く訴えるしかない女の哀れさを伝えている。この場合、
    「嘆きつつひとり寝る夜」は夫が新しい愛人のもとに宿った夜となり、
    明けやらぬ夜は長く、悲哀感は深いことになる。・・・

『拾遺和歌集』では「門を開けた」が、『蜻蛉日記』では「門を開けさせずにいた」と本書(@_@;)

『拾遺和歌集』の同歌の詞書「入道摂政まかりたりけるに、門を遅く開けければ、立ちわづらひぬと
言ひ入れて侍ければ」を小町谷照彦(校注)『新日本古典文学大系7 拾遺和歌集』(岩波書店,1990)
の脚注も次のように記す(@_@;)

    藤原兼家がやって来た時に、門を遅く開けたところ、「立ち疲れた」と外から内に
    言葉を寄越したので詠んだ歌。

「門を遅く開けければ」を「門を遅く開けたところ」と訳し、小町谷照彦も「門を開けた」(@_@;)

ところが、井上宗雄『百人一首~王朝和歌から中世和歌へ 古典ルネッサンス』(笠間書院,2004)に
次の指摘が∑( ̄ロ ̄|||)ニャンですと!?

    ・・・『拾遺集』は、それ[=『蜻蛉日記』の記述]をいちばん肝心なところだけ
    詞書にしているわけです。「門を遅く開けければ」というこの詞書の文章、これは
    ちょっと注意しておいてください。門を遅く開けたのではないのです。遅く+動詞
    というのは、そのときが来てもそうしなかったという意味なのですね(坂本信男君
    の論文が『立教大学日本文学』49にあります)。開けるべきなのに開けなかった。
    それがこの文章の正確な解釈になるわけです。・・・

この件を読んだ瞬間、寝床から飛び起きちゃったよ( ̄◇ ̄;) 藤原兼輔の歌「宿ちかく移して植へし
かひもなく待ち遠にのみにほふ花哉」が勅撰集『後撰和歌集』にも入ってて、詞書の「前栽に紅梅を
うへて、又の春遅く咲きければ」の「遅く咲きければ」の解釈がチト気になってたんだよね(@_@;)
古いけど佐伯梅友&森野宗明&小松英雄(編著)『例解古語辞典 第二版[ポケット版]』(三省堂,
1985第三刷)の「遅し」の要説にも〈・・・連用形「おそく」の下に動詞の続く言い方は、全体で、
なかなか…しない、という意で用いられる。〉とあるのに、そう訳さない注釈書が結構ある(@_@;)

「坂本信男君の論文」は読んでないんだけど、言われてみれば、たしかに「門を遅く開けければ」は
「門を開けなかったところ」と訳す方が筋が通る(^^) ソレに続く「言ひ入れて」も、「言ひ入る」は
〈内にいる人に外から言葉をかける〉〈外から内にある人に向かって言う。また取り次ぎに内へ伝え
させる〉という意味なので、もし門を開けてたら外も内もないはずで、やはり門が開かないので門の
外から内へ「立ちわづらひぬ」(立ち疲れた)と言葉をかけたか、取り次ぎに言ったんだろうね(^^)

ちなみに、「言ひ入る」と対なのが「言ひ出だす」で、紀貫之が「かの家のあるじ」に対して詠んだ
「人はいさ心も知らず故里は花ぞ昔の香ににほひける」から恋歌的性格が感じられるので「あるじ」
は女性とする憶説に、片桐洋一が『後撰和歌集』の「言ひ出だす」の用例を根拠にお墨付きを与えた
のに対し、藤岡忠美は「言い出だす」の用例の「すべての場合がそうであるわけではない」として、
同歌を「実はこの時期の[男同士の]贈答歌にときどきみられるところの、恋愛的味つけをした恋歌
もどきの歌」と解してた(⇒ https://yomubeshi-yomubeshi.blog.ss-blog.jp/2019-09-01 )(^^)
タグ:和歌 古典
コメント(8) 
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コメント 8

ニッキー

絶版品切れ本とはいえ倍のお値段(°_°)
その上詳細がわからない・・・
これは賭けに出るには危険度が高すぎますねぇ(ー ー;)
by ニッキー (2020-04-27 19:13) 

middrinn

函があるかないかは結構ポイントなので、本に詳しい出品者ではないですね(..)
「星5つ中の星4.5つ 過去 12 か月で100%の高い評価(14件の評価)」という
評価を見ても、ニューカマーのようで、注文するのはチト躊躇しますね(@_@;)
by middrinn (2020-04-27 19:22) 

tai-yama

「本を遅く入札しけければ」となって、二度と出てこない可能性も。
10万円も配られると言うことですし・・・と言ってみる(笑)。
by tai-yama (2020-04-27 23:23) 

ナベちはる

プレミア価格が付いているようですが欲しければゲットですね!
…とはいえ、説明文やら発送日やら、いろいろと怪しいです円(;`・_・´)
by ナベちはる (2020-04-28 01:04) 

middrinn

例の10万円ですかぁ(@_@;) もしオンライン授業になったら、
tai-yama様、自腹でネット環境を準備しないと(´;ω;`)ウッ…
by middrinn (2020-04-28 06:00) 

middrinn

4月27日に注文して「5/19~24の間にお届けします」というのは、
ナベちはる様、まるで中国から発送する業者みたいですね(@_@;)
by middrinn (2020-04-28 06:02) 

yokomi

 過日、玄関を出て扉を閉めた拍子に鍵がカチャリと掛かり....(>_<) 老朽化したためか、自動鍵掛かり扉に進化(^_^;) 急いでキンコンを鳴らし、我が奥様に開けてもらったのですが、以後奥様就寝時に出掛けるときは鍵を持つことにしています(^_^)v
by yokomi (2020-04-29 01:46) 

middrinn

鍵を忘れても「立ちわづらひぬ」と声を掛ければ、道綱母と違って開けてくれそう(^^)
by middrinn (2020-04-29 08:14) 

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