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191125読んだ本

「漏水調査へのご協力のお願い」という水道局からのお知らせのチラシが先日ポストに入っていたけど、
「道路に埋没している水道管からメータまでの間の漏水を早期に発見する」ことが目的で、「本調査は
全て無料で行います。物品のセールスや浄水器の取り付けといった商業行為はありません。」および、
「家の中までは入りません。(伺うのは玄関及びメータまでです。)」とあるから、一安心なり(^_^;)
先日の電気設備安全点検の訪問では玄関から分電盤までの動線の片付け・掃除に追われたから(´ヘ`;)
でも、お蔭で玄関から分電盤までは今もキレイな状態をキープしてるんだヤッタネ!!(v゚ー゚)ハ(゚▽゚v)ィェーィ♪
ただ、「調査日時」が今月末から来月末の一ヵ月間で、日時が指定されてないんだけどヒィィィィィ(゚ロ゚;ノ)ノ

【読んだ本】

新田次郎『小説に書けなかった自伝』(新潮文庫,2012)所蔵本

書名はかつて私小説が純文学の主流だった文壇を意識したものか(@_@;) 自伝の形をとった自作解説
という感じで新田次郎作品のブックガイドとして読め、また〈如何にして作家になったか〉が随所に
語られてるので作家を目指している人向けでもある(^^) モチ小生は前者の読書案内として読んでいて
(以上はテンプレ)、「時代科学小説」等を読破してきたが、今日は本書の「役人として」の章(^^)

先ずは古川武彦『気象庁物語~天気予報から地震・津浪・火山まで』(中公新書,2015)87~89頁の
記述を引く〇 o 。.~~━u( ゚̄  ̄=)プハァ

    ・・・/さて、富士山レーダー建設のきっかけになったのは、昭和三四年九月の
    伊勢湾台風である。すでに述べたように、伊勢湾台風は日本列島に甚大な被害をもたらし、
    台風観測を強化すべく富士山頂に気象レーダーを設置する機運が高まったのである。
    レーダー建設が始まったのは三八年六月。ところが、その年の始まりは「三八北陸豪雪」を
    もたらした大寒波が、北陸を中心に日本列島を襲うという波瀾の一年でもあった。

     「光が見えた!」[←節見出し]

    豪雪が北陸に大きな被害をもたらした直後の二月、厳寒の富士山はカチカチに
    凍りついていた。アイゼンを拒むような氷面の山肌を一歩一歩、まさに命懸けで頂上に
    たどり着いていた男たちがいた。気象レーダーの開発を担う三菱電機の技術者とガイドの
    七人である。誰かが滑落したら全員が巻き込まれるからと、ガイドはザイルを互いに
    結ばせなかったという。また、家族に「これは自分の意思で登るのだから、何があっても
    決して心配するな」と遺書めいた手紙を残した人もいた。/彼らが決死の登山に
    挑んだのには理由があった。富士山に設置する気象レーダーは、東京の大手町にある
    気象庁から遠隔操作で制御され、観測結果をのせたレーダー信号をリアルタイムで
    大手町に送る使命が課せられていた。したがって、富士山頂に設けたパラボラアンテナと
    大手町の気象台を結ぶ直線一〇〇キロメートルの間に、遮るものがあってはならなかった
    のである。ところが、山頂測候所のある剣ヶ峰は富士山火口壁の南西側で、東京の方角を
    見晴るかすには、ちょうど火口壁の対岸にある峰(伊豆岳。三七四九メートル)が
    立ちはだかっている。地図で子細に調べても、伊豆岳に遮られずに見通せるかは
    非常に微妙なところであった。そこで、山頂測候所の周辺でフライヤー(火焔筒)を焚き、
    実際に見通しを確かめることになり、彼ら七人は凍った富士山頂を目指したのである。/
    二日がかりで登頂した彼らは、夜になると、大手町の気象庁ビルの屋上で望遠鏡を覗く
    気象庁測器課長の藤原寛人(後の新田次郎)らに向けて、フライヤーを焚いた。しかし
    彼らの無線から聞こえてきたのは、光が見えないという藤原たちの声であった。/
    それから数日間にわたってフライヤーが焚かれ、見通し実験が繰り返されたが
    うまくいかない。とうとう最後の日に多数のフライヤーが束ねて焚かれ始めた。
    その時である。大手町の藤原課長の望遠鏡がフライヤーの光を捉えた。「見えたぞ!」
    というどよめきがあたりに流れた。山頂測候所に気象レーダーを設置した場合、
    富士山と東京の間を電波的に遮るものはなく、富士山レーダーの機器類が大手町から
    制御され、観測データが大手町に届くことが、その瞬間に立証されたのである。/・・・

「三八年」「二月」「気象庁測器課長の藤原寛人」とあるが、本書の「役人として」の冒頭を引く(-"-)

    私は、昭和三十八年の四月一日付で測器課長となった・・・

「後の新田次郎」も間違っていること(昭和26年に「新田次郎」という筆名で作家デビュー)など、
幾つかの誤りは既に指摘したし、他にも上記引用文には事実関係においてデタラメが存在することは、
本家ブログ「また、つまらぬ物を読んでしまったorz」で同書を取り上げた際に詳論C= (-。- ) フゥー

さて、本書のこの「役人として」の章にも問題となりかねない記述があることは知られている(^_^;)

    ・・・従来の気象レーダー業者三社のうち、富士山気象レーダーを受注するには
    どの会社が一番ふさわしいかを検討した。・・・結果、三社のうち一社を富士山
    気象レーダーを建設するにふさわしい会社と見立てた。・・・私は重大な決意をした。
    私は課長になったその日に、気象レーダー製造業者三社の主だった者を測器課内に
    呼んで、約二時間に亙って、従来の各製造業者の実績についてそのデータを分析した
    結果を発表した。この時の状況を後日私は小説「富士山頂」の中で次のように書いた。

     「…レーダー三社のうちから、技術的に見てこの富士山レーダー建設にもっとも
     ふさわしい会社の名を言わせていただきたいと思います。あらゆる技術的角度から
     慎重に考慮して、私は富士山気象レーダーは摂津電機によって完成されることを
     希望します」

    小説では名調子に書いたが、実際にはこのようにはっきりとは云えなかった。しかし、
    技術的に見て三社のうちA社が富士山気象レーダーを受注するにもっともふさわしい
    会社であると分るような云い方をしたことは事実である。またこれに加えて、ただし、
    入札の結果、三社のうちどの会社が受注するか分らないことだし、その結果に対しては
    尊重するという意見を述べた。入札制度がある以上、一社に特注することはできないし、
    A社にしたいから、B社、C社は辞退しろなんて絶対に云えなかった。このような発言を
    担当技術課長がやった例は無いことだったし、場合によっては担当技術課長の首が飛ぶ
    ようなことにもなりかねない。私はそれをやった。こうしなければ、富士山気象レーダーは
    できないと思ったからである。/・・・ 
    
新田次郎『富士山頂』(文藝春秋,1967)および本書の記述をもとに、法令に触れる可能性を指摘した
論文を昔ネット上で読んだのに見付からない(ノ_-;)ハア… Yahoo!は今や商品検索と化したね(-ω-、)

昭和38年秋から朝日新聞に随筆「白い野帳」、昭和39年6月には「山と渓谷」誌に「加藤文太郎という
社会人登山家の姿を描」いた「孤高の人」の連載を始める(^^) 「役所の仕事も大事だが、心の奥には
小説の方も捨てたくない、この世界から見捨てられたくないという気持で懸命だった。」由(@_@;)
本書で再三述べられている強迫観念のようなこの「気持」は、一体何に由来するんだろうか(@_@;)

・不平ばかりで仕事をしない者が多くて真面目に仕事する人は白い眼で見られた「処女作のころ」(^_^;)

 ⇒ https://yomubeshi-yomubeshi.blog.ss-blog.jp/2019-07-23

・投稿しても落選続きの原稿を直木賞受賞後は新編集長は〈面白い〉と言う「投稿作家の四年間」(^_^;)

 ⇒ https://yomubeshi-yomubeshi.blog.ss-blog.jp/2019-07-24

・〈あなたは落ちるに決っています。面白くない小説ですものね〉と妻に言われた「直木賞受賞」(^_^;)

 ⇒ https://yomubeshi-yomubeshi.blog.ss-blog.jp/2019-07-29

・受賞後第一作は酷評も石原慎太郎の小説などは「アホくさ」と評された「昼の仕事 夜の仕事」(^_^;)

 ⇒ https://yomubeshi-yomubeshi.blog.ss-blog.jp/2019-08-01

・40歳を過ぎて作家となったので、その個性を確立しようと試行錯誤する「方向づけに苦しむ」(^_^;)

 ⇒ https://yomubeshi-yomubeshi.blog.ss-blog.jp/2019-08-16

・虹を観察して地震を予知しようとした椋平広吉を藤原咲平が支援してた「メロドラマ的作品」(゚ロ゚;)

 ⇒ https://yomubeshi-yomubeshi.blog.ss-blog.jp/2019-08-25

・時代科学小説と名付けられた作品群を読みたい人もいそうゆえメモした「メロドラマ的作品」(^_^;)

 ⇒ https://yomubeshi-yomubeshi.blog.ss-blog.jp/2019-08-26

・登山家善人説を否定する作品と女流登山家に美人なしを打破する作品の「メロドラマ的作品」(^_^;)

 ⇒ https://yomubeshi-yomubeshi.blog.ss-blog.jp/2019-08-29

・新田次郎の創作ツールは筋書きをグラフ化した「小説構成表」という「小説構成表を創る」(@_@;)

 ⇒ https://yomubeshi-yomubeshi.blog.ss-blog.jp/2019-08-31

・斎藤十一の御眼鏡にかなわず5本中1本しか「週刊新潮」に載らぬ「労作必ずしも佳作ならず」(゚ロ゚;)

 ⇒ https://yomubeshi-yomubeshi.blog.ss-blog.jp/2019-09-03

・山男はいい人達だが山に入ると別人でさんざん酷い目に会った「労作必ずしも佳作ならず」( ̄◇ ̄;)

 ⇒ https://yomubeshi-yomubeshi.blog.ss-blog.jp/2019-09-05

・気象庁内で荒井郁之助以来の伝統を守ってる人は多くはなかった「視点を変えたヨーロッパ旅行」(..)

 ⇒ https://yomubeshi-yomubeshi.blog.ss-blog.jp/2019-10-04

・地方紙への新聞小説を依頼されたけど、途方もない条件を押しつけられた「新聞小説」((;゚Д゚)ヒィィィ!

 ⇒ https://yomubeshi-yomubeshi.blog.ss-blog.jp/2019-10-07

・昭和36(1961)年頃に新田次郎が書いた短篇小説の会話部分に要注目な「新聞小説」_φ( ̄^ ̄ )メモメモ

 ⇒ https://yomubeshi-yomubeshi.blog.ss-blog.jp/2019-10-11

・日欧の山の形状の差が人間の思考に影響と富士山気象レーダー設置と課長ポストの「岐路に立つ」(..)

 ⇒ https://yomubeshi-yomubeshi.blog.ss-blog.jp/2019-10-30
タグ:小説 歴史 自伝
コメント(12) 
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コメント 12

ニッキー

玄関メーターまでってことは留守でもOKってことですかねぇ( ^ω^ )
一度徹底的に掃除するとその状態を維持するのは
そんなには難しくないはずなのですが、
我が家にはおもちゃを出して遊んではそのままにする
奴らがいるので、掃除しても掃除しても片付かないんですよねぇ(*_*)→とニャンズのせいにしてますw
by ニッキー (2019-11-25 21:11) 

middrinn

ということなんですが、心配性なので、居る時に訪問・調査してほしいです(^_^;)
DMその他を開封せずに玄関に置きっ放しにしちゃうので(^_^;) 今は即捨てるので、
すっきりした状態をキープです(^^) 猫さん、片付けたとしても、隠しそう(^_^;)
by middrinn (2019-11-25 21:17) 

tai-yama

競争入札が基本の今の時代ならOUTだけど、昭和40年代なら
グレーだけどギリギリセーフだったのかも。
フライヤーが見えた瞬間、「希望の星」がBGMで流れたり(笑)。
by tai-yama (2019-11-25 23:22) 

ナベちはる

家の中に入られないというのは、安心しますね(^^;
by ナベちはる (2019-11-26 00:18) 

yokomi

 山岳への設置状況を比べて一番の実績が摂津さんに有り、他社が心許ないというなら、内部決裁を経て一者(社)指名の入札も出来たのでは? 集めた場で摂津さんを希望すると言い、三者(社)指名で入札するなんて、不思議ですね。フライヤーを焚いて見通しを確認することも?? 戦時中(戦前?)から電波は金属板に反射することが分かっていたのに、なんで伊豆岳を伝送経路から外すような反射板の設置を考えなかったのでしょうか。これも不思議。「苦労」を求めた!?? 
by yokomi (2019-11-26 02:37) 

middrinn

「プロジェクトX」で再現VTRがあったら、
tai-yama様、たしかに流れてそう(^_^;)
by middrinn (2019-11-26 07:23) 

middrinn

そうなんですよね(^^) この手の訪問調査は、
ナベちはる様、家に入らないなら歓迎(^^)
by middrinn (2019-11-26 07:26) 

mimimomo

おはようございます^^
middrinnさんって面白い生活をされていますね^^
うちは電気の分電盤がお風呂前の脱衣場にあるので、汚れ物が置いてある関係で
ちょっと気を使いますが(^^ゞ

新田次郎もいろいろ面白いことを述べているのですね~
この本探したけれど、見つからななかったわ。ただしネット検索はしないけれど・・・
by mimimomo (2019-11-26 07:29) 

middrinn

指名競争入札ではなくて一般競争入札ですし、予算規模が大きいので、
yokomi様、三社以外にも入札に参加希望企業も当初あった由(^_^;)
素人考えですが、強風の富士山頂に反射板設置のリスク考慮とか^_^;
by middrinn (2019-11-26 07:32) 

middrinn

mimimomo様に「面白い生活」と言われちゃったヤッタネ!!(v゚ー゚)ハ(゚▽゚v)ィェーィ♪
拙宅も分電盤は洗面所=浴室前の脱衣所ですよ(^_^;) 折角キレイにしたので、
いつまで続くか分りませんがキープしたいです(^^) メチャ面白い本(^o^)丿
by middrinn (2019-11-26 07:36) 

Rifle

夏に分電盤の検査で保管協会の方が来られましたが、いきなりのフェイント攻撃だったんで型付けというよりは短時間荷物大移動大会!って感じで焦りました&くたびれました。(汗)
拙者もンンチャッテ公務員時代に何度も入札にかけたので分かりますけど、入札なのに事前に話をした時点で法的にはアウト!です。今なら豚箱行き確定ですなぁ。
そもそも役人に会社の技量を図る力は無いですから、何処が相応しいかなんてぇのは単なる思い込みに過ぎないですが、小説のネタとしては面白いかも。184
by Rifle (2019-11-26 08:40) 

middrinn

訪問日の10日ほど前に投函されてたチラシに訪問日が指定され変更も可能とあり、
その日に備えてコツコツと片付け・掃除をしました(^o^)丿 事前にこーゆー発言
をすれば、入札が公正に実施されるのか疑われてしまいますし(出来レースかと)、
一般常識でもアウトかと(^_^;) ちなみに、wikiの「富士山レーダー」の項には、
典拠も示さずに「・・・気象庁は取引先選定で競争入札は機能しないと判断し、
公共工事としては異例の随意契約により三菱電機と大成建設に発注した。」^_^;
by middrinn (2019-11-26 09:05) 

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