SSブログ

190705読んだ本

都会の流行が東京都シガンシナ区の辺鄙な田舎町にまで押し寄せるとは∑( ̄ロ ̄|||)にゃんですと!?
小生の地元の町にも黒糖タピオカミルクなどタピオカドリンクを売り出す店が出現したヒィィィィィ(゚ロ゚;ノ)ノ

【読んだ本】

丸谷才一『男もの女もの』(文春文庫,2001)所蔵本

このエッセイ集に入っている「菜の葉に飽いたら桜にとまれ」と題した一篇の書き出しを引く(@_@;)

    笑つてはいけませんよ。蝶について、わたしは一つ重大な疑問をいだいてゐた。
    日本には昔、蝶はゐなかつたんぢやないかといふ疑問である。もちろんそんなことは
    あり得ない。もしも蝶がゐなければ菜の花が困る。絶対にゐたはずである。
    蝶が昔はゐなくつて、後世になつて突如として出現したはずはありません。
    菜の花に限らず、いろんな花へ蜜を吸ひに行つて、花粉を翅につけ、それを運んだに
    決まつてゐる。さう打消すたびにわたしは、しかし王朝和歌で蝶が歌はれないのは
    どうしてだらうと思ひ悩むのであつた。/『古今集』には蝶は出て来ない。/
    『千載集』にも、『新古今』にも出て来ない。/『万葉』にだつてないんです。/
    をかしいぢやないか。/・・・

単に例示列挙したつもりだったのかもしれないが、『古今和歌集』『千載和歌集』『新古今和歌集』
『万葉集』は王朝和歌の詞華集=アンソロジーで王朝和歌から秀歌を選び出したものだけど、それは
王朝和歌の一部分でしかなく、アンソロジーに「蝶」が出て来ないからといって、全ての王朝和歌で
「蝶」が詠われていない、とまで言い切ってしまうのは、早計かつ勇み足というものだろう(@_@;)

藤原定頼(藤原公任の嫡男)の家集『四条中納言定頼集』(明王院本)に入る歌&詞書を、森本元子
『私家集全釈叢書6 定頼集全釈』(風間書房,1989)40頁から、【通釈】も一緒に引くC= (-。- ) フゥー

      おなじ月のつごもりの御物忌に籠りて、つれづれなりしかば、
      蝶のかたを造りて撫子の花に据ゑて、小式部内侍のもとに

    こちこてふ ことを聞かばや とこなつの 匂ひことなる あたりにもゐん

       同じ月の晦日の御物忌に籠って、所在なくてしかたなかったので、
       蝶の形を造って撫子の造花にとまらせて、小式部内侍のところに(届けた歌)

     こちらへ来いという言葉を聞きたいものですね。床[とこ]の感じが
     格別のあなたのそばにもいましょうに。

小式部内侍は和泉式部の娘で定頼とも関係があり、「とこなつ」は撫子の異名で「床」に掛ける(^_^;)
さて、同書41頁の【語釈】は初句の「こちこてふ」について次のように解説している( ̄ヘ ̄)y-゚゚゚

    「此方来[こちこ]てふ」(こちらへ来いという)に「胡蝶」をかける。

かなり古いんだけど、佐伯梅友&森野宗明&小松英雄(編著)『例解古語辞典 第二版─ポケット版』
(三省堂,1985第三刷)が立項する「てふ」の「語形」と「要説」という両解説を引いておく(@_@;)

      【語形】

    和語「カハラヒコ」にかわって、平安時代、古代中国語のtiepを語源とする外来語が
    定着したもの。当時の日本語では、いかにも蝶がひらひらと飛ぶようすを連想させる
    語形であったが、音韻変化によって、現在では「チョウ」となり、その印象を失っている。

      【要説】

    伝統的に文学の素材になっていない。右の用例[『源氏物語』の「玉鬘」「胡蝶」]は、
    いずれも中国風の衣装や扮装をさしたもの。

藤原定頼の上記の歌(言うまでもなく、王朝和歌である)の「てふ」も「中国風」なのかしら(@_@;)

コメント(14) 
共通テーマ:趣味・カルチャー

コメント 14

ニッキー

タピオカドリンク、流行ってますねぇ^^
かみさんは1年くらい前に、コンビニやスーパーで買える
タピオカミルクティーをほぼ毎日飲むほどハマってましたが、
最近やっと飽きたらしいですw
でも、世間では今がブームなんじゃないかと思うんですけどねぇ(⌒-⌒; )

by ニッキー (2019-07-05 21:31) 

enokorogusa

確かにそうですね。
そんなことを言ったら、そもそも歌集に詠まれている生物の方が少ないのでは?と思ったりします。
・・・タピオカは喉につまりそうでちょっと怖い(^^;)
by enokorogusa (2019-07-05 21:33) 

Mashiro

タピオカドリンクはやってますねー!
はやってますが、まだ飲んだことがないので、一度、飲んでみたいと思う今日この頃です^^
by Mashiro (2019-07-05 21:39) 

middrinn

神コーチは何でも速いですね(^_^;)
他の方のブログにも書かれてましたが、
ニッキー様、以前にもブームがあった
ようですよ(^_^;) 今がブームである
ことは間違いないとは思いますが^_^;
by middrinn (2019-07-05 21:51) 

middrinn

たしかに、和歌で詠まれる景物は決まっていて、
その約束事を守ることは秀歌の条件の一つゆえ、
enokorogusa様のおっしゃる通りかと(^_^;)
タピオカは喉につまりそう、と_φ( ̄^ ̄ )メモメモ
by middrinn (2019-07-05 21:51) 

middrinn

街で行列は目撃してましたが、タピオカドリンクと知ったのは最近ですし、
Mashiro様、小生も飲んだことがないので、一度飲んでみませう(^o^)丿
by middrinn (2019-07-05 21:52) 

ナベちはる

タピオカドリンク、最近人気ですよね。
飲んでみたいとは思いつつ、並んでまでは飲みたくないなぁとも思います…(^^;
by ナベちはる (2019-07-06 01:13) 

middrinn

ですよねぇ(^_^;) あの行列を見ると、ちょっと尻込みしちゃいますよねぇ(^_^;)
by middrinn (2019-07-06 05:55) 

mimimomo

おはようございます^^
蝶っていつごろからいたのかしらね~
本を書くのって難しいわ^^
「カワラヒコ」って蝶と言う意味だった?
by mimimomo (2019-07-06 07:16) 

middrinn

蝶が居なかったら、お花も寂しがったりして(^_^;)
「カハラヒコ」が蝶という意味で、丸谷才一は同語が
和歌で詠まれてないことを問題にしてました(^_^;)
丸谷によると、『今昔物語』に出てくるとか(^_^;)
by middrinn (2019-07-06 07:22) 

そら

最近やたらとタピオカが流行っていますが
あれは一体何もなのでしょう??
そんなに美味しいとは思えないのですが(^^;
蝶、おそらくいましたよね!
いや、いないはずがない、植物さんたちは皆困りますもの
ん?蜂さんでも良いのか(^^;
by そら (2019-07-06 08:03) 

middrinn

( ^o^)ノ◇ 山田く~ん 特製蜂さん座布団1枚 ♪
たしかに蜂さんもしてくれますね(^_^;) でも、花は
蝶と彩りを競い合いたいかも(^_^;) もしTVから発信
された流行なら小生には分かりませんけど、たしかに
それほど美味しそうには小生にも思えません(^_^;)
by middrinn (2019-07-06 08:19) 

tai-yama

実は蜂も居ないのではと思ったり(笑)。
蝶は居なくても蛾いればOKだったり・・・・
by tai-yama (2019-07-06 21:21) 

middrinn

蜂を詠んだ歌を探せ、と(^_^;)
蛾は美しくないですよヾ(`◇´)ノ
by middrinn (2019-07-06 21:26) 

コメントを書く

お名前:[必須]
URL:[必須]
コメント:
画像認証:
下の画像に表示されている文字を入力してください。