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180527読んだ本

週刊現代6月8日号のグラビア〈我が輩は「立ち猫」である〉、一本足で立つ猫さんまでヒィィィィィ(゚ロ゚;ノ)ノ
二足歩行を始めて、もし人類以上の進化を遂げたら、この星は〈猫の惑星〉になるかも((;゚Д゚)ヒィィィ!
既に猫さんの下僕となってる人間もいるけどv( ̄∇ ̄)ニヤッ 猫さんに仕えるのよオホホホ( ^^)/~~~~ ピシッ!

【読んだ本】

町田甲一『大和古寺巡歴』(講談社学術文庫,1989)所蔵本

他人様のブログにインスパイアされて、寝床で和辻哲郎『古寺巡礼』(岩波文庫,1979)を拾い読みし、
続けて本書に(⌒~⌒) 原文ママで引くけど、実に小気味好い論述ですな○ o 。.~~━u( ゚̄  ̄=)プハァ

    ・・・とする説を唱え出した人がいる。とるに足らない説ではあるが、近ごろは
    新しい説が出ると、自らその説の内容を十分に検討吟味することもなく新説として
    紹介する人がいて、そのため専攻でない人がそれを鵜呑みにして、その結果、
    頼りない新説でも、さも有力な説の如く定着して世をまどわかすことが少くない。
    憂うべきことである。そこで、とるに足らない説だがそのとるに足らぬ説たる所以を、
    少し論証しておく必要もあろうかと思う。そういう点から少し触れておくと、
    この説は、・・・

この一節は、コピペして他の学問分野でも使えそうじゃない(^_^;)ヾ( ̄o ̄;)オイオイ笑い事じゃないぞ!

    ・・・竹山道雄は、この[法隆寺の]中門と南大門との間に、当初からいま見るような
    間隔が保たれていて、南大門をくぐった地点から中門の姿が遠望でき「遠くから眺めながら
    それに近よって」行ける門のように思い込んでおり、いわばそういう前提の上で、
    この中門が多くの門と異なって、正面の中央に柱を立ててその左右に二戸を開く
    独特の形式をもっていること(謎)について、『古都遍歴』の中で、まず次のように
    記している。すなわち、/「・・・/この路をまっすぐ行けば、あの中央の柱に
    つきあたつてしまう。行手の門は、なかば人を通すようであり、通さぬようでもある。
    門でありながら塞いでいる。招じ入れる入口でありながら拒否している。
    この柱はふしぎだった。それは吹き放ちの空間に立っているだけに、その膨らみが
    生きているもののように見えるのだが、さながらこういっているかのようである
    ──ここは門である。しかし、なんじがこれを入ることはできぬ。」/・・・/
    「ここは外界とは隔絶した領域だった。外の原始の自然の世界とは、はっきりと
    限界をつけて考えられたにちがいない。人々はその限界を形の上で明示しようとしたに
    ちがいない。中門は、この要求に答えて、この役目を果たしているのである。そういう
    機能を果すために、この[中門の中央に柱という]形がえらばれたのである。」/
    「これは門であるが、ただの開放的な通路ではない。閉鎖をも暗示している。
    招きながら拒否している。・・・中門の中央の柱は、遠くから歩いてくる人間にむかって
    いっている──『ここは門である。しかし、なんじがこれを入ることはできぬ』。・・・

「解釈も自由だし、表現の自由もあるが、一体、このような解釈に、どれほどの客観性と真実性がある
のだろうか。」として、ここでも「とるに足らない説だがそのとるに足らぬ説たる所以」を指摘(^^)

    ・・・/竹山道雄は、中門を、外界と隔絶した特別の領域を形のうえで明示したもの、
    と解釈しているが、前述のように、南都六宗では、回廊の正面の門を中門といい、
    外界と法域を限る築地に開かれたものが大門で、その方向によって南大門、東大門
    などとよび、南大門がその正面の大門であった。だから「外界と隔絶した特別の……」
    というのは、南大門についていうのならば、まだしも、中門についてはあたらないわけ
    である。前にもふれたが、[法隆寺の再建前の]古い寺では南大門と中門はほとんど
    相接して建てられていて、少くとも中門は、竹山がいうように、遠くから眺めながら
    近よって行く門ではなかった。「招きながら拒否する」という言葉は、観念の遊戯的な
    レトリックとしては面白いが、具体的にはほとんど説得力をもっていない。

「ここは門である。しかし、なんじがこれを入ることはできぬ。」という魅力的なフレーズの所為か、
釣られて飛び付いた人物がいることも本書は紹介している(^_^;)

    ・・・/梅原猛は、この竹山道雄の解釈をとりあげ、「[独文学者]竹山氏の着想の根底に、
    ニーチェがあると思う」といい、ニーチェは彼の著書[で新潮文庫には竹山道雄訳もある]
    『ツァラトゥストラかく語りき』に「この本は万人の本にして、如何なる人の本にあらず」
    と書いたが、竹山は法隆寺の門にそのような言葉が書かれているのを見たのであろう、
    といって、この中門は「万人の門にして、いかなる人の門にもあらず」なのだ、
    と結んでいる。/・・・
    
「その説の内容を十分に検討吟味することもな」い梅原猛の著作の読者たちが、「それを鵜呑みにして、
その結果、頼りない新説でも、さも有力な説の如く定着して世をまどわかすことが少[な]くない」
という負の連鎖は続くC= (-。- ) フゥー ここで思い出したんだけど、武澤秀一『法隆寺の謎を解く』
(ちくま新書,2006)、図書館で借りて読んだのは間違いないけど、内容は忘れてしまった(ノ_-;)ハア…
タグ:建築
コメント(18) 
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コメント 18

ニッキー

確かに今の世の中、お猫様の下僕は多数いらっしゃいますねぇ(⌒-⌒; )
えぇ、私ももちろんですw
「説の内容を十分に検討吟味することもなく」とは
鋭いご意見ですねぇ=(^.^)=
耳が痛い方もたくさんいらっしゃると思いますが、
きっと本当に耳の痛いはずの方は自分のことだとは思わないんでしょうねぇ(*_*)
by ニッキー (2019-05-27 21:25) 

middrinn

ニッキー雅を念頭に置いて、下僕と書きました(^o^)丿
ソレは鋭い御指摘でして、ブーメランと言いましょうか、
拙ブログも本の内容を充分に吟味してないことも^_^;
by middrinn (2019-05-27 21:30) 

tai-yama

ニーチェが法隆寺を見て「この本は万人の本にして、如何なる人の
本にあらず」と言ったならあながち・・・・(笑)。
by tai-yama (2019-05-27 23:52) 

ナベちはる

二本足を通り越して一本足で立つ猫も…驚きです(^^;
by ナベちはる (2019-05-28 01:20) 

ワンモア

古寺巡礼、好きです。門もそうですが鳥居など俗と聖の境界にはなぜか惹かれるものがあります。あ、県境とかも^^
by ワンモア (2019-05-28 03:42) 

middrinn

ニーチェが法隆寺にですかヒィィィィィ(゚ロ゚;ノ)ノ
キリストは実は日本に来てて墓もあるとか
tai-yama様がお好きそうな話ですね^_^;
by middrinn (2019-05-28 06:15) 

middrinn

いずれY字バランスをしたりして、
ナベちはる様も更にびっくり^_^;
by middrinn (2019-05-28 06:16) 

middrinn

ベトナムを始め海外との境ですから、
ワンモア様は成田空港傍に(^_^;)
by middrinn (2019-05-28 06:18) 

そら

うちには猫はいないけど私も下僕であります
猫の惑星、いやいややっぱり人間の惑星が良い(^^;
by そら (2019-05-28 06:31) 

middrinn

小生も下僕で~す(^o^)丿
カワセミの惑星では(^_^;)
by middrinn (2019-05-28 06:44) 

mimimomo

おはようございます^^
>「解釈も自由だし、表現の自由もあるが、一体、このような解釈に、どれほどの客観性と真実性があるのだろうか。」<
こう言う解釈に客観性とか真実性って必要なのかしら?
その人がそう思った・・・人によって撮り方いろいろ解釈いろいろ。まさに自由。
「とるにたらない説・・・」と言うのは確かにそうですけれどね。論証の部分がちょっと納得できないわたくし。
by mimimomo (2019-05-28 07:21) 

middrinn

高名な「文芸家、哲学者」が「客観性と真実性がある」かのように書き、
読者も「客観性と真実性がある」かのように受け取ってますよね^_^;
冒頭の引用部分の論旨のほとんど繰り返しになってしまいますけど、
mimimomo様が疑問に思われた一文の続きを引いときます(^_^;)
「文芸家、哲学者の恣意的な解釈には、その文章に指導力、啓蒙力
があるだけに、人の興味をそそる魅力はあるが、史実の正しい解釈、
芸術の正しい理解をあやまつ危険な棘がかくされている。和辻哲郎、
亀井勝一郎、井上政次といったような人たちの書いたものを、一つの
文学的作品、思想的作品として味わい評価するのならばいいけれども、
芸術をそのように観照し、様式が表出するものをそのように受けとめて
理解することが、芸術観照、古美術理解の正しい態度、方法とでも
受け取られるならば、これは大変困ったことであるし、危険なことでも
あり、明らかに誤りである。」と述べてて、御理解頂けたかしら^_^;
「論証」ですが、よく読んで頂ければ、竹山道雄の文章を全て孫引き
していないこと(「遠くから眺めながら近よって行く門」という件は
孫引きしてない点からお判りかと)、また「前述のように」「前にも
ふれたが」とあるように、この「論証」部分よりも前に詳論した件が
あるので、そこからお読みになられていれば「納得」されたかと^_^;
竹山が言うように中門の中央柱が「外界とは隔絶した領域」であること
の明示が目的ならば、外界との境界である南大門にこそ中央柱を立てる
べきだろうという本書の批判は引用からも読み取れると思いますし、
また竹山は現在の中門と南大門との間に相当な距離がある位置関係を
前提にして遠くから眺めながら近よって行く人々に中門の中央の柱が
「招きながら拒否している」ことが伝わることを意図して設計された
と論じているのですが(この件は孫引きしてません)、もともと中門
と南大門は近接して建てられていたという歴史的事実を本書は指摘し、
そんな設計者の意図はありえないと批判しているわけであります^_^;
by middrinn (2019-05-28 09:04) 

Cazz

猫が立ったら、犬も立つだろうか・・・
両者から下僕扱いは辛いかも
by Cazz (2019-05-28 16:30) 

middrinn

犬はフツーに立つし、二足歩行もしてたような(^_^;)
可愛いゴン様&ハナ様なら下僕3号になりま~す(^o^)丿
by middrinn (2019-05-28 18:44) 

enokorogusa

中門の柱間の件、若草伽藍ではどうなんでしたっけ?
2年ほど前の、若草伽藍の中門のあたりの発掘調査をするという記事は探せましたけれど、その結果どうだったのかという記事は探せませんでした(探し方が悪いだけかも・・・)。
手もとの西岡常一・宮上茂隆『法隆寺 世界最古の木造建築』(草思社,1980)では再建法隆寺の中門について、
「・・・中門の計画も改め、大官大寺と同じく塑像の金剛力士を安置することにしたのです。でも、五間にしたのでは金堂・塔にくらべて大きすぎるので、平面の大きさをもとのままにして、四間にしたのです。中央のふたつの柱間が通路になるのは、金堂と塔を左右にならべた配置とも調和するので、よしとされたのでしょう」
とあります。
純真な小学生だった(^^;)自分はこれを読んで納得してました。
でも今回よく見たら同書に
「中門は仏さまのための門(仏門)で、僧侶らは廻廊の隅の戸口から入ります」
とあり、仏さまのための通路なのに真ん中に柱が立っていることについては特に触れられてません。
法隆寺中門以外に偶数の柱間を持つ門が存在しないのか、ちゃんと調べた人いるのかなぁ(^^:)
by enokorogusa (2019-05-28 20:13) 

middrinn

若草伽藍における中門ことはチト分りませんm(__)m 本書は「回廊内に金堂と塔が
東西に配置された形式であるから、中門の中央に柱が建てられたというのではなく」、
「純粋に造形的な理由」によるものとして、詳論してます(^^) 武澤秀一・前掲書が
インドの例から右側から入ってぐるっと廻って左側から出るとか書いてたような気も
するのですが、何しろ手元に無いので、間違っていたら、ごめんなさいですm(__)m
by middrinn (2019-05-28 20:54) 

そらそら

インスパイ屋されちゃいましたか?(苦笑)( *´ー`)y─┛~oΟ
うろちょろ記事に書こうとしていてうっかり描き損ねてしまいましたが、法隆寺はあちこちでエンタシスが良い味出しておりました。
法隆寺の中門から外を撮った写真もあったのですが、そっちも載せ損ね…。

中門は古代伽藍での正門的な存在の門で、禅宗伽藍では山門(三門)に相当するそうですね(南大門は総門に相当するそうで)
以下、平凡社刊 世界大百科事典 第2版からの出典
【中門】
日本古代の寺院や貴族邸宅などで,外郭と内郭を形づくる築地塀や回廊などがあるとき,内郭の門を中門という。古代寺院では金堂を囲む回廊に開かれた正門で,外郭の正門(南大門など)とともに仏門といわれ,他の僧門と区別された。7世紀末までは中門は重層入母屋造の奥行きの深い立派な門で,両脇に金剛力士など伽藍守護の像を置いた,聖と俗の空間の関門であった。

by そらそら (2019-05-29 19:53) 

middrinn

法隆寺のエンタシスを取り上げられていたら、インスパイアされて
井上章一『法隆寺への精神史』(弘文堂,1996)の再読に(^_^;)
この平凡社『世界大百科事典』の記述、ネット上でも読みしたけど、
上述の如く本書は「南都六宗では」南大門が外界と法域の境と^_^;
by middrinn (2019-05-29 20:18) 

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