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180704読んだ本

芥川賞候補作をHP上で無料公開しちゃったら、受賞作を掲載して文藝春秋誌の売上を伸ばす文藝春秋社の
販売戦略を損ねることになるから、これで受賞は無くなったと見るべきかな(@_@;) 庭でホタルブクロ
発見も強風で揺れちゃって撮れないよ(´ヘ`;) 蛸壺みたいに虫さんとか入っちゃうのかしら(〃'∇'〃)

【読んだ本】

深沢眞二&深沢了子編『芭蕉・蕪村 春夏秋冬を詠む 春夏編』(三弥井古典文庫,2015)所蔵本

坪内稔典が毎日新聞朝刊「季語刻々」で芭蕉の「蛸壺やはかなき夢を夏の月」を次の如く解説(´ヘ`;)

    「海の底の蛸壺の中にはタコが寝ています。夢で夏の月を見たりしながら。つまり、
    芭蕉は、蛸壺の中で眠るタコの気分になっているのです。タコ気分の芭蕉って、
    おかしくて、楽しいですね」。以上は小著「松尾芭蕉 俳句の世界をひらく」
    (あかね書房)の一節。この本、小学生向けの伝記だが、タコ気分の芭蕉を
    描いたつもり。

この句の前書は「須磨の浦伝ひしてあかしに泊る、其此[そのころ]卯月の中半[なかば]にや侍らん」
となっていたことが本書に出てて、「須磨」や「あかし」(明石)という地名は、歌枕として有名(^^)

井本農一『芭蕉入門』(講談社学術文庫,1977)の「十一、『笈の小文』の旅へ」も指摘してる(⌒~⌒)

    芭蕉たちはそれから当麻寺を参詣し、大坂へ出て、須磨・明石の名所見物をします。
    須磨・明石は『源氏物語』にも舞台となっていますし、『平家物語』の舞台の一つ
    でもあります。

「須磨」「明石」とあれば、源氏物語や平家物語を条件反射的に連想しちゃうのが常識だよね(〃'∇'〃)

んで、芭蕉の「蛸壺やはかなき夢を夏の月」という句を、本書は次のように解説している(⌒~⌒)ニコニコ

    前書から想起される古典は、『源氏物語』であろう。光源氏のように流されて明石に
    たどりついた人物の、独り寝の夜の寂しさ、うら悲しさがこの句の主題である。/
    芭蕉は、明石に流浪する光源氏の心情を追体験しようとし、明石に泊まって、
    「はかなき夢」を見た。芭蕉の当時にも、明石では「蛸壺」が名物だった。
    夜が明ければ壺を引き上げられて獲られてしまう蛸どもの、壺の内にあって
    見ている「夢」も、「はかなき」ものだ。そして、「夏の月」があっけなく
    沈むさまが、「はかなき」ことにおいて、人や蛸の「夢」と呼応していると
    言うのである。/だが、この「蛸壺」の語にはそれ以上に俳諧性の濃い仕掛けが
    施されている。それは、本家の『源氏物語』には桐壷とか藤壺とか呼ばれる美女が
    登場するけれど、俳諧をこととする私[=芭蕉]には、「蛸壺」あたりがお似合いだ、
    という発想である。芭蕉は、さまよえる貴公子光源氏に我が身を重ねながらも、
    苦笑混じりに俳諧的謙遜を忘れないのである。/なお、のちに、『笈の小文』や
    『猿蓑』においては、7の句[←この句のこと]の前書は「明石夜泊」に改められた。
    これだとおそらく句のテーマは『平家物語』に描かれた平家滅亡の歴史懐古という
    ことになる。

メチャ面白いよね(〃'∇'〃) ちゃーんと前書も踏まえて、そこから連想される古典作品を知ってれば、
こーゆー解釈が出来るわけだ(⌒~⌒) 「芭蕉は、さまよえる貴公子光源氏に我が身を重ね」てるのに、
「芭蕉は、蛸壺の中で眠るタコの気分になっている」とした、この「坪内稔典」とは何者かしら(@_@)

坪内稔典は、実は2回このブログにも登場していて、その芸術新潮2006年6月号所収の雲英末雄との対談
「俳画今昔」のリード部分では編集部から次のように紹介されていたので、ソレを読んで得心(@_@;)

    ・・・当代を代表する俳人にして正岡子規の研究者でもある坪内稔典氏である。

現代俳句は古典とは無関係の世界だし、正岡子規は和歌の古典である古今和歌集を否定した人物だから、
坪内稔典は二重に古典とは無縁なわけで、光源氏もタコにされちゃうわけよねオホホホ!!♪( ̄▽+ ̄*)

    https://yomubeshi-yomubeshi.blog.so-net.ne.jp/2017-07-19
    https://yomubeshi-yomubeshi.blog.so-net.ne.jp/2017-10-25

前書を無視して句だけで解釈するのは、枕だけ読まれて本文は読まれないブログに似てる(ノ_-;)トホホ…
タグ:古典 俳諧
コメント(36) 
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コメント 36

そら

タコの気分・・・なるほど、そう言うことね!!
何だか可哀想に思えて来ました、タコ(^^;
この強風じゃ虫も迂闊に外に出れませんからねぇ、潜んでいそう(^^)
by そら (2018-07-04 20:03) 

middrinn

ホタルブクロの中で強風が去るのを待ちながら、はかなき夢を
見ている虫さん、食虫植物じゃなくて、良かったねぇ(〃'∇'〃)
by middrinn (2018-07-04 20:17) 

センニン

こんばんは。
まあ、ねえ。
参考文献を明記するかどうかの問題なのでしょうか?
昔『大地の子』もいろいろ言われましたけれど、同じような体験をすれば内容が似ることはあっても不思議ではないというところに決着していたのでしたっけ?
末尾に参考文献を明記するのでなしに文中に引用元とその部分をはっきり分かるようにしたらどうなのでしょう?
それじゃ文学でなくて論文みたいになっちゃうか。
自分の中で消化して自分の文章で書けば良いのかな。

明石といえばたこ焼き (^^;
"源氏" と "平家" を蛸と壺で結びつけるというのは極めて見事ですね。

余談ですが面白いジョークが成り立つためには三つの要素が必要と言われています。
話す人、聞いてわかる人、そして意味がわからない人です。

今回の本文、深く味わわせていただきました。
by センニン (2018-07-04 21:16) 

middrinn

ともに読んでないので、盗用・剽窃かどうかは、判断できません(^_^;)
参考文献明記は当然ですが、そもそも、この作者は「同じような体験を」
してないかと(^_^;) 3日の産経には〈「美しい顔」は津波の被災地を、
被災した少女の視点で描いた作品。東京都在住の北条さんは東日本大震災
の被災地に行ったことはない、と説明していた。〉とありますから^_^;
賭けの対象となっていそうなので、その範囲で興味がわきました(^_^;)
by middrinn (2018-07-04 21:36) 

ニッキー

芭蕉が蛸壺に入った蛸w
スゴい解釈だけど、素人の私にはその方が
親近感も持てて面白くて楽しいです( ^ω^ )
ホタルブクロ、風や雨が強い日は虫たちの避難場所になってるかも=(^.^)=
by ニッキー (2018-07-04 22:05) 

middrinn

たしかにタコの着ぐるみ姿の芭蕉を想像しちゃいますからね(^_^;)
雨宿りするのに良さ気ですけど、強風で酔っちゃわないか心配^_^;
by middrinn (2018-07-04 22:09) 

ちぃ

蛸壺の中で眠るタコの気分(*>艸<)
坪内稔典さんはタコの気分になれたのかな?
占いが出来るタコさんでも出荷されちゃうくらいなのに
タコ気分の人は呑気だなぁ・・・

by ちぃ (2018-07-04 22:12) 

middrinn

「はかなき」を見落としてて、たしかに
「呑気」ですよね(^_^;) 新刊の自著を
宣伝してるし、チト酷すぎるな、と(-"-)
あくまで「小学生向け」の話というなら、
新聞に書くべきじゃないでしょヾ(`◇´)ノ
by middrinn (2018-07-04 22:37) 

tai-yama

明石の宿には「蛸壺のようなお姉さん」しかいなかったよ。
みたいな取り方もできるとは・・・。川柳ぽい気もしたり(笑)。
by tai-yama (2018-07-04 23:33) 

ナベちはる

無料公開した作品以外に実は…なんていうサプライズがあればいいのですが、非常に有名な賞の候補作になるとそれはできないですよね…
by ナベちはる (2018-07-04 23:39) 

hanamura

蛸壺漁で捕まる姿は、まぁ、哀れですよね。
泳ぎ続けるマグロや、サメも捕まるなら、私も寝てよ。
・・・って、じっとしてらんないんですよね。
by hanamura (2018-07-05 05:45) 

green_blue_sky

強風が吹き荒れてひまわりが折れそう・・・
by green_blue_sky (2018-07-05 06:08) 

mimimomo

おはようございます^^
井本農一さんってよほどお詳しいのですね~ わたくしは源氏物語って読み通してないし、俳句のことも入り口に立っただけ。
でも坪内稔典の解釈は「ちょっとね」ですね。やはりいろいろご本は読んでいないといけませんね。
by mimimomo (2018-07-05 06:12) 

やおかずみ

私のブログにも芭蕉の蛸壺の句を取り上げました。何とも言えない癒しの心が伝わります。
by やおかずみ (2018-07-05 07:45) 

middrinn

俳諧は〝おかしみ〟ということで、理解できると、くすりとさせられますね(^_^;)
tai-yama様のコメで思ったのですが、源氏のパロディに蛸壺更衣とかいそう^_^;
by middrinn (2018-07-05 07:48) 

middrinn

ナベちはる様が期待するようなサプライズはなさそうですよねぇ(^_^;)
無料公開したから被災者の手記を無断借用して印税で儲けようという意図
はないですよぉ~というアピールかしらと小生は邪推しております^_^;
by middrinn (2018-07-05 07:53) 

middrinn

蛸壺で見る一夜の夢、その儚さに、
hanamura様も、オロロ~ン涙!
実に哀れですよね(´;ω;`)ウッ…
by middrinn (2018-07-05 08:00) 

middrinn

ヒマワリさんは風をモロに受けてポキっといってそうですよね(;_;)
green_blue_sky様はそーゆーのも撮られたりするのかしら(´・_・`)
by middrinn (2018-07-05 08:04) 

middrinn

井本農一は芭蕉研究では有名ですよね(^_^;) 小生も多分
mimimomo様と同じ程度の源氏物語と俳句の知識ですけど、
「はかなき」を汲み取ってないので不審に思った次第^_^;
by middrinn (2018-07-05 08:13) 

middrinn

モチ興味深く拝読させて頂きましたよ(^^)
やおかずみ様はタコに魅かれた御様子(^^)
by middrinn (2018-07-05 08:31) 

リュカ

芭蕉の「蛸壺や・・・」の句しらなかったけど
これいいですねー。
なんかとっても好みだなあ~(笑)
タコのあの目って、なんかどこか達観してる感じするし^m^
by リュカ (2018-07-05 09:46) 

middrinn

加藤楸邨も好きな句としてたとかネットで拾いました(^_^;)
タコの目は達観してますかぁ( ̄◇ ̄;) 達磨大師のイメージ
かしら(^_^;) 達観してると哀れさが弱まる気もしますが^_^;
by middrinn (2018-07-05 10:11) 

yokomi

 こんにちは。いつもありがとうございますm(_ _)m
 最後の1行に「んだ、んだ!!」と(^_^)v
by yokomi (2018-07-05 10:31) 

middrinn

長文ブログの宿命ですよね(^_^;) ただ、
yokomi様のは速読し易い書き方(^_^;)
by middrinn (2018-07-05 10:56) 

yakko

おはようございます。
雨が降り続いています。ただ市内は被害が出るほとではないので助かっています。 文学の話に付いていけなくてゴメンナサイm(_ _)m
by yakko (2018-07-05 11:09) 

middrinn

被害が出てないのは御同慶の至りです(^^)
アマガエルちゃん増えたのは良かった(^^)
御興味あるとこがあれば小生満足です(^^)
by middrinn (2018-07-05 11:18) 

oko

やっぱり蛍が入ってぼんやりと光るのを
見てみたいです・・・
LEDになって長持ちで明るいのはわかるけど
月の光りや蛍のひかりなんて情緒があって良いです〜
by oko (2018-07-05 13:53) 

middrinn

源氏蛍だと本文に繋がりますね(^_^;)
蛍を入れた虫籠にホタルブクロの鉢も
置いて、じっとカメラ片手に待つ^_^;
その傍らで蛍の光で本を読む(〃'∇'〃)
by middrinn (2018-07-05 14:03) 

☆ミルキーウェイ☆

盗作疑惑で話題になってましたよね^^;
「須磨」や「あかし」(明石)という地名を見て、すぐに明石焼きを連想しちゃいました^^;
あれ、おいしいから大好きで…
by ☆ミルキーウェイ☆ (2018-07-05 14:57) 

middrinn

西明石で、明石焼は食べたかも(^_^;)
サクランボも美味しそうです(〃'∇'〃)
by middrinn (2018-07-05 15:39) 

k-sakamama

源氏物語は、最後まで読んでません。途中、挫折し。。
最初から読み、また、挫折です。(笑
里中満智子さんの「あさきゆめみし」は完読しました。(笑
庭にホタルブクロも咲いてるなんて!素敵だわ~
すご~~く大きな庭を連想してます。小鳥の家もあるでしょう?
そうそう~まだ、空き家のままかしら?

by k-sakamama (2018-07-05 19:30) 

middrinn

空き家のままです(ノ_-;)トホホ… 設置した泰山木の下の古井戸の蓋で猫さんが昼寝したり、
求愛しているんですもの(-ω-、) いつの日か小生も『源氏物語』に辿り着きますので、
k-sakamama様と競争ですねぇ(〃'∇'〃) 絶対に小生は負けませんからねo(-`д´- o)
by middrinn (2018-07-05 19:50) 

Boss365

こんばんは。ご無沙汰してます。
桐壷・藤壺・蛸壺・・・これらの解釈も凄いですね。俳諧的謙遜が具体的にどのようなものか理解していませんが、現代に通じる江戸の洒落言葉見たいです。想像ですが・・・芭蕉が蛸だった場合、蛸は無脊椎動物で最も賢い動物ですし、人間には無害ですが、ほぼ全ての蛸は毒を持っていいます。身分は違えど、賢く?毒舌?
「蛸壺みたいに虫さんとか入っちゃうのかしら・・・」源氏蛍ですね!?(=^・ェ・^=)
by Boss365 (2018-07-05 21:35) 

middrinn

日本の文化・文学の中心は和歌であって、その本説取りの対象が源氏物語なので、
それらに比べたら俳諧なんて・・・と「謙遜」して、源氏物語が桐壷、藤壺なら
俳諧は蛸壺、と自嘲することで「俳諧」らしく〝おかしみ〟を表現したかと(^^)
oko様への返信コメで「源氏蛍だと本文に繋がりますね(^_^;)」と既述(^_^;)
by middrinn (2018-07-05 21:51) 

Boss365

こんばんは。
既述されてますね・・・失礼しました!?(=^・ェ・^=)
by Boss365 (2018-07-05 22:13) 

middrinn

お忙しそうだから仕方がないと、座布団は取り上げませんでした(^_^;)
by middrinn (2018-07-05 22:26) 

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