SSブログ

180120読んだ本

クリスマスローズの鉢、蕾が今は5つだけど、2月末になれば、この数倍の数は花が咲くんだお(^o^)丿
クリスマスに咲かないの?この花のどこがローズ?と思ってたことはナイショだよ(〃'∇'〃)テヘペロ
昨日より気温は低かったけれど、今日は陽射しがあったから、暖かく感じられ過ごしやすかった(^^)

【読んだ本】

   さくら咲く 比良の山風 吹くまゝに 花になりゆく 志賀の浦波

千載和歌集の歌番号89の藤原良経の歌だけど、下句「花になりゆく志賀の浦波」をどう解すべきか(@_@)

久保田淳(校注)『千載和歌集』(岩波文庫,1986)の脚注は、

   花片が一面琵琶湖に散り敷くさま。・・・

片野達郎&松野陽一(校注)『新 日本古典文学大系 千載和歌集』(岩波書店,1993)の脚注も、

   湖面に花吹雪が散り敷くさま。

とした上で、次のように同歌を訳し、

   桜咲く比良の峰々を山嵐が吹きおろすと、やがて志賀の浦波も花の白波となっていくよ。

次のような解説を加えている(@_@)

   比良の山より吹きおろす落花。たちまちに湖面を彩る花また花。
   大景の中、寄せては返す花の波に、しばしは行く春を忘るるの風情。

「春歌下」の巻に入ってるし、前後も落花の歌で占められていること、更に「比良」と言えば、
片桐洋一『歌枕 歌ことば辞典 増訂版』(笠間書院,1999)の「ひら【比良】」の項にも、

   比叡山の北に連なる連山。北からこの山を越して琵琶湖に吹きつける風の激しさは
   有名で、・・・

とあるから、〈比良の山からの強風で散った桜の花片が敷き詰められた湖面〉を詠んだ歌と理解でき、
以上の解釈には一分の隙も無いようにも思われる(@_@;)

ところが、『歌枕 歌ことば辞典 増訂版』の「ひら【比良】」の項は同歌に言及し脚注に斯く記す(@_@)

   「花になりゆく志賀の浦波」は風によって立った白浪が花のように見える
   と言っているのである。

「なみのはな【浪花】」=「浪が白く立つのを花が白く咲くのに見立てた表現。」と解したわけだ(@_@)

湖面に散り敷かれた花片か、それとも風で浪立ったのを花に見立てたのか、どちらなのかしら(@_@;)

今日もサボりのダメ人間(+_+)

[追記180121]

千載集の歌としては前者(湖面に散り敷かれた花片)が正しい解釈だろうが、何故か魅かれぬ小生(..)
勅撰集に撰ばれているように良い歌なのは間違いないのに何故だろうかと思案してたら分かったぞ^_^;
何のことはない、湖面に散り敷かれた花片を詠んだ、もっと素晴しい秀歌を知ってたからだった(^_^;)

宮内卿の新古今集の歌番号128がソレ(^^)
   
   花さそふ 比良の山風 吹きにけり 漕ぎゆく舟の 跡見ゆるまで

久保田淳(校注)『新潮日本古典集成 新古今和歌集』上(新潮社,1979)の現代語訳だと、

   花を誘って散らせる比良の山風が吹いたのですね。漕いでゆく船の跡が
   くっきり見えるほどに、湖一面に花片が散っています。

窪田空穂『完本新古今和歌集評釈』上巻(東京堂出版,1964)の【評】は、

   湖上を花が埋めていることは直写せず、「漕ぎゆく舟の跡見ゆるまで」
   という語句をもって暗示しているのは、例の余情を欲する心からである。

とあるように、ココが千載集の藤原良経の当該歌よりも巧いかなと思うわけですよ(^_^;)

しかも、久保田淳『新古今和歌集全注釈 一』(角川学芸出版,2011)が「漕ぎゆく舟の跡」の語釈で、

   (湖面)を漕いでゆく船の航跡。・・・これはすぐ消えるもの、なくなるもの
   というのが常識[←窪田も指摘するように小舟を暗示してるのだから尚更そう]で、
   「跡見ゆるまで」は、常識の裏をかいた表現である。

と指摘してる点もポイント高い(^^) 素人目には百人一首に入ってないのが不思議なほどの秀歌(^_^;)

千載集の藤原良経の当該歌を意識したか、と新古今集の各注釈書の多くが指摘してたことに気付くorz
タグ:和歌
コメント(22) 
共通テーマ:趣味・カルチャー

コメント 22

そら

クリスマスローズ、そういう事なんですね、ちょっと検索して見ました!
昔の詩人は良い歌を残しましたねぇ
私もこの様な和歌を少し分かる年齢になって来ました(^^)
by そら (2018-01-20 19:53) 

マーヤ

この時期に咲いてるお花を見つけると、
ハッと息をのむほど嬉しくなります(≧▽≦)
by マーヤ (2018-01-20 20:31) 

middrinn

クリローには最初マジ首傾げました^_^;
こーゆー点もまた魅力ではあるのですが、
この歌はチト解釈が分かれすぎかと^_^;
そら様、明日の御嬢様の一般入試に備えて
今夜は早めに寝た方がいいですよ(^o^)丿
by middrinn (2018-01-20 20:37) 

middrinn

健気な感じで、ホッとしますね(^^)
マーヤ様の力作のクロスステッチも
額装されたから、お部屋の壁に飾れば、
眺めてるだけで楽しくなりそう(^^)
by middrinn (2018-01-20 20:47) 

センニン

こんばんは。
前者の方がすんなりと理解できそうですが、例えば千鳥ヶ淵の水面に浮かんだ花びらのような状態と想像すると、近くで見ているならそう見立てることもありそうですが、少し高い位置から見ているとするといかに桜の木が多くても一面が花びらで覆われる様は凄みがありますが花弁が小さいのでただ白っぽくなったと見えてしまい、優雅な光景と見えるかどうかと思えなくもありません。

後者は山一面の花と対比して風によって眼下にも花がいっぱいになる様を詠んでいると解釈するわけで、青空と桜、湖面の青と白波をイメージしているとすればこれはこれで美しく見事なコントラストかなと思います。
by センニン (2018-01-20 21:31) 

middrinn

遠景か近景か、コントラストなど、日頃からカメラで撮影されている
センニン様の解釈にはナルホドと思いましたね(^^) 前者の方ですが、
琵琶湖は日本最大の湖ですから、やはり近くから観たんですかね^_^;
しかし、後者の御説明の方が小生好みですね(^^) 日本文学研究資料
刊行会編『日本文学研究資料叢書 新古今和歌集』(有精堂,1980)の
谷山茂の論文が同歌は千載集入集歌だが「ほぼ艶[=新古今的妖艶美]
といふに近い歌」と評してましたが、新古今集の特色には絵画的な美の
表現もあり、御説明を伺うと、この歌はやはり絵画的な感じですね(^^)
by middrinn (2018-01-20 22:03) 

ニッキー

クリスマスローズ、私も「この時期にクリスマス?」と
過去に思いました(⌒-⌒; )
主張しすぎない色合いが可愛いと、不審者にならないように
他人様の庭を愛でてます( ^ω^ )
by ニッキー (2018-01-20 22:27) 

green_blue_sky

恐竜の骨=リュカさんのアイコンを思い出しますね(^_^;)
にゃんこ鳴き続ける原因がわからないので困ります・・・
by green_blue_sky (2018-01-20 22:39) 

middrinn

ニッキー様ですら、そう思ったと聞いて、一安心(^_^;)
拙宅のは花はキレイなんですが、葉が野性的な色してて、
御近所のお宅の鉢の方が葉っぱはキレイなんですよ^_^;
by middrinn (2018-01-20 22:41) 

middrinn

リュカ様だぁ~と御写真を一見して思いました^_^;
green_blue_sky様が今夜オフ会を楽しまれてる間も
ミッキー様&ミケ様は留守宅で鳴き続けてたかも(..)
by middrinn (2018-01-20 22:44) 

oko

私もクリスマスに咲かないじゃん!!って思いましたよ〜
サボテンにイースターカクタスって言うのがあるんですが
それもイースターに咲かないです・・・
色々、疑問が多いですよねっっ
by oko (2018-01-21 07:31) 

middrinn

oko様もそうだったのなら、もう恥ずかしがらなくていいですね(^_^;)
イースターカクタス、早速ネットで検索しましたけど、いいですね(^^)
アンドロメダという名前のもあるみたいですが、なんかカッコいい(^^)
by middrinn (2018-01-21 08:06) 

にゃごにゃご

クリスマスに咲かないの、レンテンローズ(ヘレボルス・オリエンタリス)だと思います。
家のもレンテンローズです。
by にゃごにゃご (2018-01-21 08:43) 

middrinn

にゃごにゃご様、ありがとうございますm(__)m
早速ネットで調べたら、拙宅のは草丈が高いし、
この別名「春咲きクリスマスローズ」でした^_^;
by middrinn (2018-01-21 08:52) 

riverwalk

クリローは本に出てくる人の名前かと思っていました。
ホントです。
by riverwalk (2018-01-21 10:21) 

middrinn

吉川英治の三国志で孔明に論破される呉の家臣に
陸郎と呼ばれるのが居た(^_^;) 陸績だけど(^^)
by middrinn (2018-01-21 10:34) 

yakko

おはようございます。
クリスマスローズは好きな花です。(^^)
和歌の解釈、どちらも良いですね〜 初めの方が好みです∈^0^∋
by yakko (2018-01-21 10:41) 

middrinn

久万川の鳥さん達、仲良しでしたね(^^)
初めの方が千載集の解釈としては正解で、
勅撰集に選ばれるだけあって良い歌とは
思うのですが、小生がイマイチ魅かれぬ
理由が判ったので、後で追記します^_^;
by middrinn (2018-01-21 10:49) 

mimimomo

こんにちは^^
クリスマスローズってスロベニアでは野草なんですよね。ローズのように見えるからかしらね~気候が違うから咲く時期も違ってくるのでしょうね。
by mimimomo (2018-01-21 16:25) 

middrinn

そうなんですか(゚o゚;) スロベニアの人、羨ましいなぁ(..) 
mimimomo様は、これから夕食をとりながら大相撲を観戦
され、豪栄道の応援で自然に力が入っちゃうのかな(^_^;)
by middrinn (2018-01-21 16:40) 

センニン

こんばんは。
確かに「花になりゆく」は前者の解釈の方が正しそうですね。
by センニン (2018-01-21 19:57) 

middrinn

少なくとも千載集の撰者・藤原俊成は、
前者の解釈で撰んだし、千載集入集歌
としては、前者の解釈が正しいとは、
思うのですが、宮内卿の歌と比べると、
あまりに芸が無いかなぁ、と(^_^.)
後者の解釈の方に魅かれた次第(^^)
by middrinn (2018-01-21 20:06) 

コメントを書く

お名前:[必須]
URL:[必須]
コメント:
画像認証:
下の画像に表示されている文字を入力してください。