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161226読んだ本&買った本

今年を締めくくる読み納めの本を何にするか考えなきゃ^_^; 愉しくタメになる本をチョイスしたい(^^)
その候補の伝記は「これ一冊では全く情報不足で、大いに眉唾の上お読み下さい。」と某ブログに(T_T)

【読んだ本】

池田弥三郎『百人一首故事物語』(河出文庫,1984)所蔵本

藤原良経「きりぎりす 鳴くや霜夜のさむしろに、衣かたしき ひもりかも寝む」の「伝承」の項で「衣を
かたしく、ということも、恋歌の伝統の上にあることで、単に、ひとり寝ということで言い出されたこと
ではないらしい。/いとせめて恋しきときはぬばたまの夜の衣をかへしてぞ寝る(古今・小野小町)/
などは、なにか、呪術的な意味が、ひとり寝のころもに、ありそうな気がする。」とあり興味深い(^^)
この歌を片桐洋一『原文&現代語訳シリーズ 古今和歌集』(笠間書院,2005)で引くと「夜具を裏返しに
して寝ると恋しい人が夢に見えるという俗信。」と脚注にあり、奥村恆哉校注『新潮日本古典集成 古今
和歌集』(新潮社,1978)の頭注にも「寝間着を裏に着て寝ると、恋人を夢で見られるという当時の俗信
を前提にして詠んだ。」とあった(^^) 藤原雅経の「みよし野の山の秋風 さ夜ふけて ふる里寒く 衣うつ
なり」の「伝承」の項で、本歌として古今集の「み吉野の山の白雪積るらし古里寒くなりまさるなり」を
挙げるのは解るが、「しかし、雅経にとって、吉野を古里と言うのは、全くの実感のない知識であって、
古今の歌の方の古里とは違う。」とあるのが理解不能(+_+) 雅経の「ふる里」を池田弥三郎は「ふる里」
と訳し「古里」と理解するが、石田吉貞『百人一首評解』(有精堂出版,1956)も安東次男『百人一首』
(新潮文庫,1976)も島津忠夫訳注『百人一首』(角川文庫,1984改版22版)も同じく『新版 百人一首』
(角川ソフィア文庫,1999新版16版)も皆「旧都」と訳す^_^; 石田と両島津は「応神・雄略天皇の離宮が
あった」、安東は「七、八世紀ごろ、歴代天皇の離宮が造営された。」(^^) 古今集の坂上是則の前記歌
の「古里」も、奥村・前掲書は「この歌の場合は、詞書からみて、奈良の旧都を言う。」と頭注にあり、
両島津の補注(Ⅰ)の十四 or 二十四も同様の指摘をしてる(^^) 長岡京への遷都が784年で古今集の成立
が905年だから120年が経過しており、これまた「全くの実感のない知識」に思えるのだが^_^; 藤原公経
「花さそう嵐の庭の 雪ならで、ふりゆくものは わが身なりけり」を「花をさそって散らす山おろしの嵐
の吹く庭の、花の雲[ママ]でなくて、ふるびてもてはやされなくなっていくのは、わたしの境遇である
ことだ」と訳し、「太政大臣でふりゆく者というのは解せないが、京都と鎌倉との緊迫する政情にあって
鎌倉方であったから、監禁されたりしたこともあり、中年には浮沈みがあったようだ。」と「評注」する
のはそれこそ解せぬ(゚ロ゚;) 石田も安東も両島津も「境遇」ではなく「老い」を歎いた歌で一致するし、
そもそも池田弥三郎は作者の実人生に照らした歌の解釈を本書で再三諫めてきたはず(-"-) そういえば、
光孝天皇「君がため 春の野に出でて若菜つむ わがころもでに 雪は降りつつ」の「評注」の項で「雪が
降るような寒さにもめげずに、君がために、というような、恩に着せているような言い方だが、そうでは
ない。春の雪はめでたい景物であって、いやが上にも、相手の健康と富裕とが、祝福されるわけだ。」と
する点への疑問は石田や両島津を引いて前に記したけど、同じ折口信夫門下で池田弥三郎の指導も受けた
西村亨の『王朝びとの四季』(講談社学術文庫,1979)も「あなたのためにこんなに苦労しました。わた
しの袖はすっかり雪に濡れてしまいました。そう言って、それほどまでにあなたのために尽くしている
誠意を認めてください、と訴えかけている。」としてたぞ^_^; 長期間にわたってメモってきたように、
どうにも本書は信頼できないんだけど、小生が読みもらした点もあるだろうし、実際あったから、それは
「また、つまらぬ物を読んでしまったorz」に昨夜「追記」した^_^; 本書の最後は、「さて、天智天皇に
始まって順徳天皇で、百人一首も大団円である。/智で始め徳で納める小倉山」とあり、本書も読了(^^)

杉本苑子『悲華 水滸伝(二)』(中公文庫,2001)所蔵本

杉本苑子『悲華 水滸伝(三)』(中公文庫,2001)所蔵本

【買った本】

久保田淳『新潮日本古典集成 新古今和歌集』上(新潮社,1979)

百目鬼恭三郎『読書人読むべし』(新潮社,1984)によると、本書は講談社版『新古今和歌集全評釈』
全9巻をただ物理的に2巻本に圧縮したものではなく、「九巻本の注にものっていない指摘」も出てて、
「著者の九巻本以後の研究の成果が盛り込まれている」由(^^) ただ、その後、角川ソフィア文庫から
2巻本の『新古今和歌集』、更には角川学芸出版から『新古今和歌集全評釈』全6巻が出てるからね^_^;
しかも、「注釈にはおわりがない」とおっしゃるだけあって、前にチラっと見ただけでも、久保田淳は
改説を厭わないみたい^_^; 久保田自身の最新解釈より色々な解釈を知りたいので古~い本書を購入(..)
新潮日本古典集成は個人的にベタベタする感があるので古本は避けたくポイント&クーポンを利用して
3割以上の割引になったので注文した^_^; 先月購入した角川学芸出版の『新古今和歌集全評釈 一』は
歌番号284の夏歌までしか入ってないけど、本書は989の羈旅歌までだから、開く機会が増えるかな(^^)
でも、語釈に関しても石田吉貞『新古今和歌集全註解』(有精堂出版,1960)の方が詳しそうだな(+_+)

芸術新潮2017年1月号

大特集は「永遠の美少年~深読みアート・ヒストリー」で、その内容は、西洋美術編、写真編、文学編、
映画編、マンガ編から成ってるけど、小生が唯一興味の持てそうなのは、マンガ編の藤本由香里による
〈「少年愛」の時代~耽美という系譜〉^_^; 吉田秋生『BANANA FISH』も取り上げられてて、読みたく
なっちゃうけど、読み始めると続けて『YASHA』『イヴの眠り』まで読んじゃうことになるからなぁ^_^;
第2特集「デヴィッド・ボウイとアート」も興味ない(..) 新潮社の宣伝記事でもあるけど、「梅佳代の
愛犬写真」(←「嫌」を朱筆で「犬」と校正した巧いタイトル)に出てる「白い犬」が超可愛いな(^^)

毎年のことだが、年賀状まだ一枚も書いてない(+_+) マジで学習機能がない(;_;)
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